大分からクール便の荷物が届いた。
『この半年お世話になったのでそのお礼です』という簡素なお礼状と一緒に届いたのは、カボスや冷凍のから揚げととり天に大分の焼酎と言った大分の特産品の詰め合わせだった。
比較的日持ちのするものが多いのはありがたい。大分の妹分である光の入れ知恵だろうか。
とりあえず冷蔵庫にポンポンと押し込んでいくことにすると、箱の奥の方にまだ入っていたことに気付いた。
「……幸水か」
大玉の梨が二つごろんと箱の隅から飛び出してくる。
一つは冷蔵庫にしまうとして、もう一つを水で軽くすすいでから皮をむく。
皮を剥いだ真っ白な身から果汁がしたたり落ちてくるのは食欲をかき立てる。
梨は秋の果物のイメージが強いが、幸水は7月下旬ごろから出回り始めるので今頃がちょうど旬の手前の走りの時期に当たる。
包丁でざっくりと4つに割り、一つを口に運ぶとひんやりした梨の甘い果汁が口の中に満ちていく。
「いい梨だな」
ここ半年ほどずっとバタバタしていたけれど、こういう美味いものが届くなら頑張った甲斐があると言うものだ。
君津と秋。
フォロワさんに指摘されるまで君津の話であることを明確にしていなかったという衝撃。