ひたちなか海浜公園は人でごった返し、賑わいのさなかをいつもの三人が縦横無尽に走り回っていた。
「なあ水戸、日立とひたちなかは?」
「常磐も手伝いに来てくれたの?」
「そりゃあうちも臨時列車出したりして稼ぎ時だからなー・・・・・ロックインジャパンは」
日本有数の巨大フェス・ロックインフェスでひたちなかが燃えていた。
***
「・・・・・・夏、ですね」
「夏だねぇ」
休憩も兼ねてきゅうりバーを片手に会場の人ごみを歩く。
朝からずっとひたちなか市のブースで働きづめだったのでたまに休まないと持たない、まして日立はほぼ部外者に等しい。
いくらひたちなかの同居人とて働かせるのも周囲の気がとがめると言うものだ。
ちなみに日立は基本的に市役所よりも日製の工場にいる時間のほうが長いし、書類仕事よりもこちらのほうがよほど気質に合っているらしいので一切気にしていない。
「日立、なにかじってるの?」
「水戸殿はどちらにいらっしゃったのですか?」
「運営ブース、市ブースどこか分からなかったしさ」
「なるほどね・・・・・・きゅうりバー要る?」
「食べる食べる、とりあえず3人で巡って来ようよ」
日立のきゅうりバーを奪い取って、3人でいつものようにまたどこかへと歩き出す。
夏はどこまでもすがすがしい音に包まれていた。