土浦の庁舎移転先が正式に決まった。
正式に消えてしまうイトーヨーカドーのマークを眺めてみる。
「ちょっと」
「・・・・・・取手」
「珍しく家にいないと思ったらここにいたんですね」
手持ちの書類をいくつか受け取って軽く目を通す。
すべて常磐線関係の資料であることだけ確認して受け取る。
「市庁、イトーヨーカドー跡地にに移転するんでしたっけ」
「ここは最後まで残ってくれたんだけどね」
かつての繁栄の時代の名残となった建物を見ながら、どうしようもなく寂しい気分になる。
たった30年前はこんなことあり得ないくらいの賑わいを見せた町も寂れつつある。
もうあの日々は遠くへ去ってしまったのだと言うように人の声があまり聞こえない。
「盛者必衰の理、ですよ」
長い繁栄はあっても永遠の繁栄はない。
その通りだけれど、どうにもそんな気分になれない。
あの繁栄の日々がこんなにも遠くへ行ってしまうなんて。