冬の終わり、太平洋の上に浮かぶ太陽の明かりに眠気を誘われる。
晴れた日には仕事を早めに終わらせて海辺でぼんやりしながら、毎日のことを思うのは最近の日課だった。
「・・・・・眠いですねぇ」
『何言ってるんだ、那珂』
「眠いものは眠いんですよ、瓜がいなくなって以降は毎日」
「那珂と瓜連なんだぜ!」
『大洗、どうかしたのか?』
「那珂はどこだって東海のところに水戸が怒鳴り込んできたんだぜ」
『じゃあ原発関係か。ほら、いくぞ』
「瓜はよく人の事こき使えますねぇ」
『関係ない、ほら』
瓜の手が自分の手を掴もうとして、するりと抜けていく。
・・・・・そうだ、もう彼はいないのだ。
幽霊として存在してはいても、瓜連町は存在しない町なのだ。
かすかに風景を透かしてはいるが、間違いなくここにいる。
「那珂、早くなんだぜ?」
「・・・・・わたくしとしたことが、感傷にふけってしまったようですね。行きましょうか」
確かにこの場所に瓜はいない、だけれどここにいる。
彼を感じられる。
タイトル曲がイメージのはずなのに何故こうなったし。