*いつもの常磐=緩行線/急行が出てきます
*常磐緩行→水戸前提の急行+結城というパラレル。
「結城さん」
ふいに声をかけたのは今は家に居るはずの彼だった。
「常磐・・・・・?」
「兄がお世話になってます」
見た目は全く同じだと言うのに妙に丁寧な態度に一瞬の違和感を覚えた。
「兄って、あなたいつもは水戸なんて呼び捨てじゃないですか」
「結城さんもしかして勘違いしてません?僕は急行のほうです」
「・・・・・・ああ!」
彼が密かに愛した人常磐線は日本最長の支線という一面を持ち、茨城県南部から東京方面へと向かう人を運ぶ役割を果たしていた。
それゆえに常磐線には急行線と緩行線の二つがあり、いつも茨城や福島方面にいるのは緩行線のほうで急行線は東京に居る時間が長かった。
取手以南の県南勢は常磐線双子を明確に見分けられるが、水戸や土浦は見分けがつかない。
それは常磐線の兄・水戸線と同居する結城も同じだった。
「それにしても珍しいですねぇ、わざわざ取手以北に顔を出すなんて」
「僕としてもつくばには会いたくないですが水戸支社会議をすっぽかした兄の責任です」
TXことつくばエキスプレスは本来彼ら常磐双子の弟になるはずだったことを未だに気にしているらしい。
まあ緩行線(いつもこちらに居る常磐)はあまり関心が無いらしいが、彼としては会いづらいというのが本音なんだろう。
「まったく、困ったものですねぇ」
「そのとおりです。確かに水戸さんは僕らの兄や父親のようなものですが兄はあれでけっこう執着してるんですよ、本当は東京駐留は兄がやるべきだったのに・・・・・」
「へ?」
「常磐線緩行線は地下鉄と乗り入れてますから、そっちの都合も考えると本当は兄が東京に居るべきだったんですよ」
「それは意外ですねぇ」
いつも常磐の水戸に対する態度はわりとつっけんどんで、兄弟と言うよりも思春期の娘と父に近い。
万事その調子の常磐があれでいて執着してるのは意外だった。
「・・・・・・・・時々、兄が何を考えてるのか分からないんですよ」
「私にも、いや、誰にもわかりませんよ」
ポツリと呟いた言葉にただそう返すのが正解だったのかは誰にも分からない。
ついったで呟いたじょばみとSSです。
うちのサイト的にはじょばみとはパラレルなので、パラレルと付けさせていただきました。
しかし急行書きやすいなぁ。