「ねぇさばばー」
勝山は焼き鳥を食いながらいつものようにそう呼んだ。
いつもこうだ、勝山の名前のセンスはいまいちよく分からない。
俺もまあ気にせず焼き鳥を食いながら勝山の言葉の続きを待った。
「ふくふくの好きな人って誰なの?」
焼き鳥のかけらが、気管支に入った。
勝山くんと鯖江くん
「おま、福井の好きな人知らんかったんか?!」
「そう言えば聞いてなかったなーって」
ほけほけとした表情で衝撃的な事実を打ち明けられて逆に驚きしか出てこない。
福井が名付け親がかつて治めていた地に恋い焦がれていることは福井の周囲の人間にとっては公然の秘密であり、それを勝山が把握していないことに驚きすら沸いた。
この調子だと大野も知らなかったりするんだろうか、なんかそんな気がするが奥越はどうしてこうもマイペースなのか。
「……結城さんだよ」
「秀康公?人間が好きだなんて大変だねぇ」
「そっちじゃなくて土地の方だよ、茨城県結城市。」
「ああ!前にふくふくが恐竜博物館に連れて来てた、亀甲絣の紬の着物着てる人?」
「たぶんその人だな」
「へー、あの綺麗な男の人かあ」
納得したように焼き鳥をもぐもぐと食い進めていく。
本人が納得したなら何よりだが勝手に俺の鶏皮を食うのはやめろ。
勝山さんのキャラが出来たよ記念。そのうち越前大野さんも出てくるはず。