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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

キックオフ手前の季節

ゆるゆる短編集です

・海は遠く仕事は近い(ライナーズ+レッドハリケーンズ)
「仕事全然終わらへん……」
例年であれば上富田での合宿に同行しているというのに、仕事を片付けても新たな仕事が追加される惨状のせいで行けずにいる。
「おじいちゃん元気ー?」
「俺んことおじいちゃん呼ばんといて……」
まだ若者ぶりたい俺を容赦なく年寄り呼ばわりするレッドハリケーンズに思わずため息が漏れる。
レッドハリケーンズが持ってきた書類を積み上げると、左手にぶら下げられた袋からたこ焼きのフネが出てくる。
「千日前寄ってわなかのたこ焼き買うてきたんやけどなー?一人で食おかなー?」
「もうおじいちゃんでええわ、たこ焼き食お」

・白河の関と一関(シーウェイブス)
ここ数日ラジオで高校野球の中継を聞いている。応援するのは無論岩手を中心とした東北勢だ。
岩手県勢敗退後も東北勢を応援していたが最後まで残ったのは仙台育英で、その決勝戦の中継をラジオで聴きながら昼食を食べていたその時だった。
『仙台育英初優勝!優勝旗が白河の関を越えました!』
「おい、仙台育英優勝したぞ!」
思わず近くにいたスタッフに声をかけると「やりましたね」と軽くタッチする。
「次はシーウェイブスさんの番ですよ」
その言葉で昔やった優勝パレードのあの晴れやかな空を思い出す。
優勝の栄冠をもう一度この地に呼ぶのが、己に課せられた役割なのだ。

・秩父宮問答(サンゴリアス+ブレイブルーパス)
新しい秩父宮の建設担当が決まったので、挨拶に行くことになった。
今回は秩父宮をホームで使う俺と先輩、ブラックラムズさん、レッドドルフィンズくんの4人。
「サンゴリアス、運転丸投げして良かったのか?」
「先輩あんまり車乗らないのに都心の狭い道の運転なんて出来ないでしょ」
「まあそうだけどな」
早速ジャケットを脱いで半袖シャツ一枚になった先輩が「後でコーヒー奢るわ」と返す。
「こうして色々決まってくとあそこをあと何回使えるか考えちゃうよね」
「まあなぁ」
聖地と呼ばれて久しいあの場所は、色々気になる点はあるけど(日当たりとかアホみたいにデカい便座とか)あれはあれで好きだったなーなんて思ってしまうものだ。
「人工芝なのは気に食わないけど都心の屋根付きスタジアムだもんな」
「まあ新しいスタジアムでもいい思い出増やせるようにしないとね」
そう言いながらエンジンをかける。
新しいスタジアムでの新しい日々は近い。

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花火の夜を愛する

3年ぶりに利根川の空に花火が上がると聞いたので、久しぶりにファンを招いてみんなで花火を楽しむことにした。
シャイニングアークス改めDロックスは多忙で断られたけど、姉さんも遊びに来てくれるというしファンもたくさん来てくれた。
ファン向けイベントが落ち着いたタイミングで来てねと伝えたおかげで姉さんもいいタイミングで来てくれた。
「楽しそうだねえ」
「当然でしょー?」
3年ぶりの花火に合わせて購入した淡い緑の甚兵衛をヒラヒラさせるこのミラクルセブンに、スピアーズが呆れたように笑う。
「まあ久しぶりだもんね、花火も。あとお土産のスイカ、お姉さんの分もあるけど食べるかな?」
「食べると思うよ」
クーラーボックスに入ったこだまスイカを受け取って、スタッフさんに果物ナイフを持ってきてもらう。
「さ、早く座らないと花火上がっちゃうよ」
夏は儚く消えていくものだから、いま思い切り楽しまなきゃね!


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グリーンロケッツとスピアーズ

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新しい名前

新しい名前の発表会見を見ながら、ちょっとため息が漏れる。
「全部あいつに持ってかれたな」
シャイニングアークス改めDロックスの新しいスタッフ陣や選手陣の多くがうちの主力なのだ。
無論それは仕方のないことであり、分かっていても本当に全部持っていかれた感じがしてため息が漏れる。
それが少し悔しくてスマホを立ち上げて一言嫌味を送ってやることにした。
『お前うちの主力みんな持ってったんやからすぐD1戻らんかったらぶん殴るからな』
送信完了を確認してからアプリを閉じる。
D3という新しい舞台へ移ることも選手の移籍も既定路線としても文句の一つ言わないと気が晴れない。
「落ち着いたらD1戻れへんかなあ」
もう戻るのも難しいかも知れない。
けれど、まだあの場所を惜しむ気持ちが残ったままなのだ。

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ビアガーデンはじめました

熊谷に引っ越して迎える夏はやはり過酷だった。
「これ、一歩間違えたら死ぬんじゃない?」
「夏だからね」
まだ朝の9時だというのに30度超えの外気温のなか、ストレッチの時点で汗がダラダラと吹きだしてくる。
「夏ってこんな死と隣り合わせだっけ?」
「そういうもんでしょ」
根っからの熊谷人だからなのか、それとも昭和の夏を知らずにいるからなのか、アルカスはそういうものだという口ぶりだった。
さっさと日陰に逃げ込んで出ていった分の水分を補いつつ、改めてグラウンドを見返す。
広く青い芝生に面した俺のクラブハウスにアルカスのいる管理棟。
そのはす向かいにはカフェやショップ、そして大きなホテル。
「つくづく、良いもん貰ったな」
「ホントにね。あんたのおこぼれとはいえ私も助かってるしね」
「そりゃよかった」
そんなことを話しつつ水分を取り体を冷やしていると、アルカスが思い出したように口を開く。
「……今度ホテルのほうでビアガーデンやるんだって」
「ビアガーデン?」
「そう、オープンは1日なんだけどその前に練習も兼ねてプレオープンやるから来ないかって支配人が」
「初耳なんだけど」
「今思い出したから、明日一緒に飲みに行く?」
「奢り?」「奢りというかただ酒」「じゃあ行く」
熊谷の暑い夏の夜に冷たいビール。
想像しただけでなかなかおいしそうだ。




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ワイルドナイツとアルカス。
ビアガーデンで思い付いたネタでした。

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ワイルドナイツのすこし多忙な休日

キックオフ10分前に滑り込んだ秩父宮立見席の最前列にはいつもの顔なじみがビール片手に俺を待っていた。
「ずいぶんギリギリに来たな」
駆けつけいっぱいの冷たいビールをサンゴリアスから受け取って飲み干す。
「っはー……」
「今日は随分と遅い到着だったな」
珍しく紅白に包まれたブラックラムズ先輩の問いかけには「午前中仕事だったもので」と返す。
「土曜日だと云うのに一苦労だな」
「優勝記念イベントが重なったもんで」
地元のお菓子屋さんからいただいた生サブレを二人に渡すと、これまでずっとカメラ小僧だったイーグルスがふと顔をあげた。
「あ、ワイルドナイツさん」
「ちょっと写真見せて」「どうぞ」
生サブレと引き換えに写真を見せてもらう。
うちの選手たちの練習の様子を写真で見た限りでは好調そうだ。
「国内戦が終わったと思ったらすぐ代表戦で心配だったけど調子良さそうだね」
「気になることがあるとすればこの湿気ですよね、雨降らないといいんですけど」
「天気予報だと降らないって話だったし大丈夫だと思うけどな」
冷えたワインとカリーヴルストをつまみながらサンゴリアスが言う。
選手入場を眺めながら思うのは一つだけ。

「今日は勝ちたいよね」
「一戦目だもんな」

カリーヴルストをぱくりと口に放り込むと、梅雨の湿った風の向こうから試合開始のカウントダウンが始まった。


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ワイルドナイツとサンゴリアスとイーグルスとブラックラムズ。
昨日の試合良かったね……

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