春の宵闇に花火の打ちあがる音が響くと、自然に歓声が上がる。
「試合後の花火とかよくやるよなあ」
「お客さんに来てもらわないといけませんから」
色とりどりの花火が咲いては散っていくのを見ながら「夏以外の花火もいいもんだな」とブレイブルーパスさんが言う。
選手もスタッフも観客も花火に目を見開くのが嬉しくて微かに頬が緩む。
「そういやさ、花火の歌って恋の歌も多いよな」
「whiteberryとか米津玄師とかそうですよね」
「だから今日選手のコイバナトークイベントとかプロポーズイベントしてた訳?」
試合前にあったイベントの話を持ち出してきたブレイブルーパス先輩に「そんなとこです」と笑ってごまかす。
「俺らは恋とかそんなしてる暇もないけどプロポーズのやつとか見てて幸せな気分になれるよな」
「恋はするものじゃなくて落ちるものですよ」
僕がそんなことを言うと「そういうもんなのか?」と素直に尋ねてきた。
(ブレイブルーパスさんはそういうのと縁遠そうだもんなあ)
その良し悪しは判断に迷うけれど、その問いに対する答えには迷うものがあった。
「うちの社長がそう言ってました」
素直に答えにくくて社長のせいにすると「人の言葉かよ」と返ってくる。
恋というやつが花火のように一瞬で散ってくれるものならばどれだけ気が楽だっただろう。
「あ、いた!」
そう言って駆け寄ってきたアザレアを捕まえると、暖かい家族の匂いがする。
腕に抱えて花火がよく見えるようにしてやるとわあっと嬉しそうな声を上げる。
「花火、うちの妹にも見せてやりたいな」
「僕は歓迎しますよ」
その腕に抱えた温かさと重みを感じながら僕はそう笑った。
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レヴズとブレイブルーパス。試合後の花火見たかったな~(無理)