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コーギーとお昼寝

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決戦は秩父宮で

「今日という日とかけましてドリカムと解く、その心は何だと思う?」
試合前の設営を終えて一服していた俺にスピアーズが面白半分にそう聞いてきた。
「何その急な謎とき」
「答えは『決戦は金曜日』」
その答えで「なるほど」と思わず納得してしまう。
3月11日という日付でどうしても東北を連想してしまうが、そもそも俺たちはこれから試合なのだ。
リーグ首位と二位の直接対決。しかも金曜夜の秩父宮。
「確かに『決戦は金曜日』だわ」
「でしょー?」
去年の日本選手権でスティーラーズを倒し実力をつけてきたスピアーズにとっては日本選手権制覇への試金石ともいえるこの試合は、まさに決戦。
「まあ勝つのは俺だけどね」
秩父宮三連戦の二戦目、うちには先週の勝利の勢いが残っているしやれるはず。
「うちの選手たちのヤバさを思う存分味わって勝ち点貰ってくね」
「はいはい」
こういう話が出来るのも平和ゆえ。
平和で楽しい決戦の夜を思う存分味わおう。



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サンゴリアスとスピアーズ

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ドキドキ、もふもふ、マスコット

*今回は短編集です

・広島ダービーの場合
「マスコット総選挙?」
「もしかして聞いてなかったんですか!?」
レッドレグリオンズが驚き気味にそんなことを言う。
ようやくマスコット投票の結果が出たばかりなのにそんな流れになっていたなんて聞いておらず、思わず表情が悩み気味に曇った。
「マーズ兄さ、じゃないかスカ兄さんだいぶSNS不精だから……まあ僕の言えた義理じゃないですけど」
僕もたまたま人から聞いて知ったぐらいだから兄さんが知らないというのも無理はない。
「せっかく決まったわけですし人気出るといいですよね、あのヒバゴン!」
「そうだけどな、でもまさか本当にヒバゴンがマスコットになるとは思わんかった……」
僕も名前が決まった時見た目がライオンに寄せられたし、マスコットの決定で見た目がマスコットに寄っていくことが時々ある。
つまり兄さんも見た目がヒバゴンに寄せられる可能性は十分ある。
「どんな見た目になっても僕は兄さんが大好きですよ」
マスコット決定でどうなるのかは分からないけど強く生きて欲しい。

・ダイナボアーズとイーグルスの場合
マスコット総選挙に向けてダイボくんの動画を撮っては編集している。
オレいのししだし~と口ずさ見ながら動画を一つTwitterにあげると、そこそこ反応も来る。
するとすぐにLINEが来たので見ると、送り主はイーグルスだった。
『ダイボくんバク転できてないじゃないですか』
『これからできるようになるさ』
そういえばイーグルスもマスコット総選挙に浮き立っているようで、さっそくTwitterを動かしている。
『カノンちゃんもアクティブに動かしても良いんじゃないか?』
『それもいいですね、検討しときます』

・ブルーシャークスの場合
「まさかマスコットの名前が決まってすぐにこんなイベントが行われるなんてねえ」
そのあまりのタイミングの良さに感謝しつつササッと清き一票を求めるツイートしておく。
鮫太朗と名付けられたうちのマスコットは結構評判もいいし、きっといいとこまで行きそうだなあ。
ついでに他の参加マスコットを確認しておく。
「……あれ、ウォーターガッシュってマスコットいたんだ?」
堅物というか結構真面目なウォーターガッシュの所にも最近マスコットが出来ていたらしい。
今度試合するときはマスコットも一緒に描いてツイッターにあげとこ、なんて思いながらその姿をスクショするのだった。

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ラグリパによるマスコット総選挙、どうなるのか楽しみですね

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きみとのラグビーを愉しむ

暗いニュースが並ぶ新聞を折りたたんでふらりと朝の散歩に出る。
未だ肌寒い冬の風が吹いているが日差しは暖かく、天気予報だと今日は初春の陽気だという。
雨の試合もあれはあれでいいがやはりやるなら晴れているほうが良い。ボールも滑らないし。
熊谷の街へ出ると試合前の興奮が早くも街角から滲みだしてお祭りの様相を見せている。
「……こういう点において府中はまだまだだよなあ」
府中だと先輩や他競技のチームもいるから遠慮してしまってここまで出来ないのだ。
しかし仮にもラグビーの街を名乗っているわけなので本当はこれぐらいやっちゃってもいいのだろう。
そうしてフラフラと散歩していると熊谷のスタジアムに辿り着いていて、ワイルドナイツやスタッフさんがさっそく動き出していた。
「おはよう」
「サンゴリアス、今日は早いね」
「散歩してたら足がこっちに向いたんだよ、俺も手伝おうか?」
「じゃあ骨組み運ぶ出すの手伝ってよ、トラックの横に積んであるから」
「了解」
トラックから荷下ろしされたばかりのテントの骨組みを肩に担ぐとワイルドナイツに指示された通りの場所に担ぐ。
こういう試合前の準備の雰囲気も好きだ。
「サンゴリアスこういうの早いよね、さすがゴリラ」
「……ゴリラって言うなよ」
ベースになった生き物がゴリラなので間違ってはないけど、ゴリラって言われるときだいたいからかいの意味を含むことが多いのであんまり好きじゃない。
「素直な感想だよ。組み立てはスタッフさんに任せて、芝の様子見に行く?」
「おっ、行く行く!」
という訳でワイルドナイツに先導されてまだ無人のスタジアムへと入っていく。
選手たちが通る通路を歩きながら熊谷のスタジアムはいつ来ても広々とした感じがしていいな、と思う。
味スタもそうだけれどやっぱり新しいスタジアムには心惹かれるものがある。
「おっ」
外に出て一番に目に入ったのは朝露をまとった芝がきらきらと輝く姿だった。
もちろんこの冬にあっても青々と育った芝も美しい。
「綺麗なもんだな、青々してて枯れてるのや剥げかけてるのが見当たらない」
「こういうの見るとグラウンドキーパーさんには頭が上がらないよね」
二人ぼっちで美しい緑の上に立っているとワクワクしてくる。
この後最高に楽しいゲームがこの場所で待っているんだと思うと、気分の高揚が止まらなくなる。
「やっぱりワイルドナイツは最高のライバルだわ、俺のためにいい街もいい芝も用意してくれて」
「お前のためじゃなくて最高のラグビーのためだよ」
「それは言えてる」
「さて、芝の生育状況もいいみたいだしもうちょい手伝って貰おうか?」
ワイルドナイツが悪い笑みをこぼしながら俺を捕まえようとするので、反射的に俺は逃げ出していく。
最高に楽しい試合に設営は必要だけど、俺は選手たちに今日の芝が最高なことを伝えたい。
「あっ、こら!」
「やる事思い出したから!」
俺たちの試合を『令和の天王山』と呼ぶ人もいる。
けれど中身はただのラグビーバカたちの最高に楽しいゲームだって、心底思う。
どんなに暗い世界に堕ちようとも俺たちはただのラグビーバカなので。


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サンゴリアスとワイルドナイツ。
日テレの中継もある(関東のみ)ので余裕がある人はぜひ見てください。

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人に頼り神に祈る

今日から仕事前に神社に立ち寄ることにした。
お賽銭箱には五円玉を、ガラガラと鈴を鳴らしてじっと手を合わせて祈る。
「……俺にはこういう事しか出来んくてアレですけど、ブルースの事を何とかしてやってください」
レッドスパークスが死ぬという事になった時はもう覆らない決定的事実だった。
その点ブルースはまだ譲渡やクラブチーム化の可能性がまだ残っていて、出来る事ならばその未来へ行きたかった。
九州でラグビーができる環境を守るためにも、レッドスパークスの想いを受け継ぐためにも、ブルースには残っていて欲しいのだ。
「俺らは無力です、でも出来る限りの事はします。だからなんぞこの祈りを聞き届けてください」
親の決めたことにはあらがえない、ラグビーをすることしかできない無力な存在だ。
そうであったとしても人に頼んだり祈ることは出来る。



「どうか、ブルースにも未来を見せてやってください」

無力な先輩として後輩にできるただ一つの祈りを。

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キューデンヴォルテクスとブルース。
3月10日まで行われる署名活動にもご協力ください

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冷たい雨から逃れて

グラウンドでのあいさつ回りを終えるとブルーズーマーズ、もといスカイアクティブズが寒さに震えながら暖房を占領していた。
試合で走り回っている間はいいが一度動かなくなると寒さが体の芯まで来たようだ。
「ブルー、じゃなくてスカイアクティブズ。まだそんなに冷えるか?」
「体拭いて着替えたのにまだ寒さが体の芯に残ってて」
悪天候も災いしてボロボロだった試合結果で芯が冷えているんじゃないか、という気もするが勝った側のいう事じゃない。
とりあえず乾いたタオルで身体を拭い、着替えて暖房にあたる。
冷たい雨でかじかんだ指先を暖房で少しづつ温め、動かして血流も取り戻す。
「……まだ練習が足りんなって思いましたよ」
「あー、試合終了直前にトライ決め損ねたアレか」
「あれもですけど結局今日の試合3点しか取れんかったでしょう」
スカイアクティブズは今回も負けたことで気落ちが深まってきた。
現時点で唯一の勝ち点ゼロになってしまったのがよほど気持ちとして響いてるのか、気持ちは明るくならないらしい。
「今から落ち込んでたら勝てる試合も勝てなくなるぞ」
とにかく前を向くしかない。
少しでも勝って勝ち点を積んでいけば入れ替え戦で有利が取れる(D3の3位辺りならまだ勝てるかもしれないし)のだし、出来ることをやっていくしかない。
「そりゃあそうでしょうけどね」
チーム名が変わってもどこかネガティブな性格はあまり変わらないらしい。
「この雨が落ち着くまで待つしかないか」
少しでも勝ち点を積み上げて残れるように最善を尽くそう。
そうしていつか上に行く日を虎視眈々と狙うのだ。


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シーウェイブズとスカイアクティブズ

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