最後の一球が蹴り出され、試合終了の声がスタジアムに響いた時何故か無性に泣きたくなった。
「あ゛ー゛……優勝出来なかったなあ」
ひと席空けて隣にいたサンゴリアスが伸ばしていた背筋をだらんと後ろに傾けて空を見た。
ここ数日の悪天候からは想像もつかないほどによく晴れた東京は蒸し暑いくらいだ。
「前半うちの優位で進められたのが大きいかもね」
「まあそうだけどな、審判もまあアレだけどそこは選手で合わせられないといけないわけだし」
「何より今日は福岡堅樹のラストゲームだから気合の入り方も違ったのかもね」
「……ボーデン・バレットも今日が最後だよ」
文句を言いたげにそう告げたサンゴリアスに「それもそうだけどね」と呟いた。
そう考えると今日はいろんなものが随分と終わりを迎える日だということに気づく。
「後で試合見返しながらオンラインで感想戦しようよ」
今日の試合は今日だけに留めておくにはもったいない。
節目の試合でありラストゲームだ、骨まで味わい尽くしたい。
「いいよ、ただ先輩が焼肉連れてってくれるって言うからその後でいい?」
「むしろブレイブルーパスさん参加して貰えばいいんじゃない?」
「じゃあそっちも人呼んでよ、アルカスさんとかさ」
「アルカスはちょっと無理だけど人は呼んどく」
これは全ての終わりのゲーム。その舞台に共に入られたことを俺は心底誇りに思っているのだ。
そして、始まりの舞台にも二人で立ってやろうじゃないか。