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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

鹿嶋君の妹ちゃん

ただ鹿嶋と奈良の疑似兄妹が欲しくなっただけ。

奈良市
神様に仕える巫女さん幼女。
愛くるしい見た目に反してかつての首都だけあってかしっかり者。
鹿嶋を「兄さん」と呼び鹿を愛でる(がよく攻撃もされる)


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半夏生の客人

「とりあえず頼まれたのはこれだけだな」
「助かります、」
小浜さんに手渡されたスチロール箱の中身を確認して、ありがたく受け取る。
わざわざ木の芽峠を越えてここまで来てもらっているのは結構助かっているのだ。
「あと、これお礼のヤマメとオイカワです」
「今年は川魚か、ありがとうな」
「いつも届けてもらって助かってますから」
小浜さんは元来京都への出入りが多く、わざわざここへ来るという事はあまりない。
ただ、この夏の時期になるとどうしてもお願いしまう。
「でも、なんで半夏生なのにタコじゃなくて鯖なんだ?」
スチロール箱には今朝小浜の港で水揚げされたばかりの鯖がぎっしり詰まっている。
コンロに魚の焼き網を置いて、塩を軽く振った鯖を焼いていく。
「うちの方は江戸の頃からこの時期になると鯖を食べるんですよ」
「ところ変われば品変わるってことかなあ」
小浜が興味深げにそう呟く。
「そういう事です」
「ま、ヤマメありがたく頂いてくわ。鯖が欲しくなったらいつでも言ってくれていいからなー」
ヤマメの入った袋を握り締めて小浜さんがまたフラリと出ていく。


(……勝山ももうすぐ来るかなあ)

半夏水が降らないことを願いつつ、もう一人の客人を待っている。


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(無題)

『星に届かないことは恥ずかしいことではないが、手を伸ばす星を持たないことは恥ずかしいことだ。』という言葉を教えてくれたのは確か彼女であった。
明治以来の港町の名を掲げ誰よりも気高く凛とした女性が好む言葉としてはこれ以上に最適な物はないだろう、というのは俺と彼女の妹の共通判断であった。
「釜石シーウェイブス、」
「彼はここに居ませんよ」
「ああ、加古川さん」
彼女の妹が困ったように笑いながら紅茶を注いだ。
いい紅茶をティーカップでちまちま飲むよりも安い茶葉でマグカップいっぱいに注いでもらう方が嬉しい俺のため、マグカップになみなみと冷たいミルクティーが注がれている。
「彼の事でも?」
「まあ、そんなとこです」
「新シーズンはいつからでしたっけ」
「トップリーグは8月18日、トップチャレンジが9月だったか……」
「ちょうど一か月遅れになるんですねえ」
「……あいつ(シーウェイブス)は、俺のことを届かない星みたいに言うようになったのはいつだったか」
リーグ開幕までの一か月の差は大して大きなものではない。
しかし、いつの間にか遠ざかったあの男との距離がほんのわずかに寂しい。




加古川ちゃんとスティーラーズ。

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ほたるこい

「名古屋君って、蛍見たことある?」
知多さんがふいにそんなことを聞いてきた。
「……ほたるですか?ないですね」
「やっぱ今どきの子は見たことないのかなあ」
「蛍がどうかしました?」
「うちで毎年蛍の鑑賞会やってるんだけどさ、ほんと毎年結構人来るから蛍なんて割とその辺でみれる気がするのにほんとなんでこんないっぱい来るのかなーって」
テレビで見たような、あの黄色の光が暗闇を飛ぶさまを目前で見たことがあるんだろうか。
それはちょっとだけうらやましい。
「一度見たいですねえ」
「うん、見に行くといいよ。綺麗だし」
「……じゃあ、そうします」




知多と名古屋。

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ジューンブライドの海で

「そう言えばさ、明日大安吉日なんだね」
晩酌のさなかに和歌山が突然思い出したようにそんなことを言う。
出会った頃からこのマイペースさはさっぱり変わる気配がなく、むしろ悪化している気がする。
まあどこぞの官営様方や神戸のお嬢様やらに振り回されていればそれぐらい肝が太くないとやっていられないという事なのかもしれないが、一緒に暮らす身としては正直めんどくさい。
「そうなのか」
「うん、ほら」
携帯のカレンダーアプリをこっちに見せてくると、確かに大安吉日の文字がくっきりと描かれている。
なるほど土曜日の大安吉日ともなればきっと明日はどこの式場も混んでるだろうとぼんやり考える。
「で、思ったんだけどさ」
和歌山が酷く楽しそうな顔をして切り出してくる。恐ろしく嫌な予感しかしてこないのを飲み込んでとりあえずワンカップの酒を飲みこんだ。

「結婚式、やろう」

「……はい?」
真剣に意味が分からない。
「結婚式って何だよ」
「あれだよ、こう、タキシードとかドレスとか着てみんなの前で誓うの」
「いやそれは分かるけどよ」
「記念写真でいいから!やろう!」
「衣装とかどうすんだよ」
「此花のとこ行けばそれっぽい袴とかあるし!写真撮るだけだから!」
「いやいやいや今からあの人んところ行くのかよ」
「ちょうどお酒も切れたし!行こう!」

大阪市内にある此花の家は慎ましやかな古い独身寮である。
此花と西宮(いちおう競合他社なのにこの二人は妙に仲が良い)は突然の来訪者に呆れ半分の視線を向けてきた。
「……という訳で、袴貸して!」
「急だな!」
そうは言いながらもちょっと待ってろと言いながらタンスを漁り始めた此花はつくづく俺たちに甘い。
2人で夕飯を食べていたという西宮もあの赤い瞳を細めて困ったように歪ませるばかりで、なんだか申し訳ない気分だ。
「結婚写真撮るなんて粋なことするんだね」
西宮が俺にそう告げる。
「突然すぎて困るのはこっちですけどね」
「でも、お互い元気だからできることだよ」
「ま、そうですけどね。元気過ぎるのも困ったもんですよ」
苦笑いをこぼしながら雑談なんかしていると、此花がふらっと戻ってきた。
「とりあえず袴と燕尾服あったぞ、サイズだけ確認しといてくれ」
「どうも」
​​​​​​​「海南は気にすんな、後で写真頼むわ」
「分かりました」

****

翌日。
梅雨時の晴れ間に恵まれたにもかかわらず市内の砂浜は人が少ない。
「……写真撮るって、誰がシャッター切るんだよ」
「考えてなかった!まあでも何とかなるでしょ」
やはりこの男はマイペースである。
三脚片手にあれやこれやと調整を始めた和歌山に対して不思議と苦情は湧かなかった。
こんな奴とずっと一緒にいたおかげで苦労も多かったけれど退屈もしなかった。
決していい関係の始まり方でもなかったけれど、これからもきっとこいつがいれば楽しく生きていけるだろう。
ばたばたばたとこちらに戻って来た和歌山が、俺にブーケを渡してくる。
「これからも、ずっとよろしくね」
「……おう」
そうして、シャッターの切られる音がした。






和歌山海南のジューンブライド。

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