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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

洒落にならない嘘はやめましょう

年度初めの仕事はどうしてこんなに憂鬱なんだろう、そんな気持ちを込めたため息が思わず出てきたのはきっとみんな同じだろう。
四月一日の夕方、少し無理して定時で上がったあとにふとLINEの着信音が響いた。
そこには見知らぬ女性と並ぶ結城さんの写真と共に、結婚しましたと言う挨拶が並ぶ。
「は?」
思わず取りこぼしそうになったスマホをぎゅっと握りしめ、もう一度画像をしっかり検分するがタチの悪い悪戯の可能性をいまいち感じられない。
(……やっぱり本当っぽいな?)
この見知らぬ人は福井県福井市だと言うが、そもそも接点あったっけ?と思わず確認すると姉妹都市なのだという。
「あ゛ー゛……」
正直結城と言う人のみならずあの土地の人間が自分以外の誰かを愛するイメージが持てなくて、だからこそ今ものすごく俺はモヤモヤしている。
土地としてはともかく個人としては絶対に俺以外の人を愛さなさそうな人が、タチの悪い嘘だとしても俺以外の誰かと結婚するなどと言って欲しくなかった。
「これが嘘なら明日思川に投げ捨ててやる……」
「すいません120%嘘です」
ひょっこりとどこからか出てきた結城さんが逃げようとしたので反射的に襟首を捕まえると、思い切りコブラツイストをかける。
「あだだだだだだた!!!!!すいませんちょっと嫉妬して欲しくてやりました!!!!!というかラーメン祭りに向けてプロレス技練習してるからって私使うのはだだだだた!!!!!」
俺のモヤモヤと怒りを込めたコブラツイストによる悲鳴はその後10分近く役場前に響いていた。


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エイプリルフールの結城小山。
基本的に小山さんって結城さんからの愛を信じてそうだよねと言う幻覚。

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結局カレイは煮付けにした

「今日天神講ですね」
福井が突然そんなことを言うので「ああ、そういえば」とつぶやいた。
つくばのほうのイベントのついでに顔を出してくれた妹分が切り出した行事はこちらではなじみの薄いものである。
「今夜泊めて頂くのでカレイ2匹お持ちしたんですけど、カレイお好きですか?」
「嫌いじゃないですけど、なんでカレイ?」
「いや、天神様のお供え用にカレイ焼いてると食べたくなるから2匹あればちょうどいいかなーって思ったんですけど」
「……少なくともうちにはそんな風習ありませんよ」
「えっ」
福井が困惑したようにこちらを見てくる。
試しに天神講で調べてみると福井や富山といった北陸周辺の情報しか出て来ず、その辺りの文化だろうと察せられた。
「天神講の日にカレイを焼いてお供えするのってうちだけ……?!」
「少なくとも北陸周辺だけでしょうね」
同じ日本といえど日本海側と太平洋側、文化の違いは仕方がない。
それにカレイもしばらく食べてない。多めに作って小山さんに明日持って行ってもいいだろう。
「まあせっかく持ってきて貰ったわけですし今夜は私がカレイで何か作りますよ」
私がそう告げると「ありがとうございます」と福井が嬉しそうに微笑む。
いつもは愛する隣人のために振るう腕もたまには妹分のために使うのも悪くはないだろう。



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結城+福井。今回は結城視点なのでこっちのくくりです。
福井は時々マジで知らん文化が出てくるので本当にビビる。

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STAYHOMEに伝書鳩

全国的なSTAYHOMEの波は北関東にも伝播し、昨年はまともに小山さんに会いに行けない日々が続いた。
そして、2021年のバレンタイン。
「チョコは出来てるのに何で会いに行く理由がないんでしょうね」
逢いに行けずに溜まった情念は美味しい生チョコとケーキになったものの、何の理由もなく人に会うのが難しいこのご時世ではそれだけでは会いに行くのは難しい。
隣とはいえ他県であるので、他県との気軽な交流はご法度なのである。
そうこうしてると足元からコツコツと音がした。
小石とガラスがぶつかったような音の音源は、玄関からだ。
開けて見るとそこには袋を背負った伝書鳩が一匹。
「久しぶりに見ましたねえ」
昔は県庁や群役場の連絡用に県庁や大きな都市などが伝書鳩を飼っているという事がよくあった。
久しぶりに見たなと思いながらその鳩の様子を観察すると、足元の標識がかつて小山さんが使っていたものと同じだった。
「ちょっと失礼」
荷物を取り外すと鳩はバササッと飛び立っていく。方角は栃木方面だ。
袋には手紙とハトムギ入りチョコレートが一つ。送り主は確かに小山さんだ。
「……やられましたねぇ」
まったく、これではやっぱり会いに行きたくなってしまう。
とりあえず電話をかけて見ると『届きました?』と返される。
「ええ」
『麦子はちゃんと初仕事をこなしたわけだ』
「むぎこ」
『鳩の名前ですよ』
「はとのむぎこ、はとむぎこ、鳩麦粉……まんまじゃないですか!」
『しかたないでしょうよ、名前の候補がこれとぽぽぽーぽ・ぽ・ぽぽだったんですよ?!』
「後者もひどい!!!!!」



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結城小山のバレンタイン2021

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ケーキとワインとクリスマス

「という訳でワインとケーキ持って来たんで一緒に食べましょうか」
それはそれは実にいい笑顔で結城さんがやってきたのは、クリスマスイブの夕方の事であった。
「……この年末の忙しい時期によく来れますね」
「時間は捻出するものですよ」
大きな風呂敷包みが実に重そうだし、何よりこの人の手料理が美味しいことは長い付き合いで十二分に知っているからそれを捨てるのはもったいないという精神で結局家にあげてしまう。
重箱に詰め込んだクリスマスのオードブルに、ブッシュドノエル、足利の某有名ワイナリーのハーフボトルワインが2本。
「二人分にしちゃ多い気がするんですけど」
「残ったら冷凍して食べれば年明けまで持ちますから」
実に楽しそうにワインをグラスに注ぎいれるので、なんかもうすべてがどうでも良くなってワイングラスを受け取った。


「メリークリスマス、私の最愛の人」
「……こちらこそメリークリスマス」


最近ずっと製鉄とラグビーで忙しくて久しぶりの結城小山です。

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もう結婚するしかないのでは?(しません)

ただのしょうもない会話文


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