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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

黒煙と石炭

小山駅のホームもだいぶ寂しくなってしまったものだ、と思う。
2年ほど前に水戸線と両毛線から立ちそばが撤退して自販機と椅子しかない状態になってしまって、鉄道の利用客も年々減少傾向が続いている。
昨日渡されたチラシを見返して、ふっと薄い笑みをこぼす。
今年のゴールデンウィークにJR東日本大宮支社主催の栃木ディスティネーションキャンペーンの一環で、約半80年ぶりに小山~下館間でSLが走ることになったのだ。
「……楽しみですね」
半世紀以上離れていたの石炭と黒煙を想うと酷く懐かしい気持ちになる。
結城さんや下館さんにもこのことをお知らせしておかないといけない。
遠くからレールのきしむ音がする。
帰ったら、ちゃんと報告しよう。



水戸線にSLが来るよ!と聞いてワクワクを止められなかった。

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Spring has come

ここ最近、水戸線沿線が妙ににぎやかだ。
いつもよりも人が多い気がして首をかしげていたら、水戸線が「廃止前ってのはどうしてこんなに人が多いのか……」とぼやいた。
「あなた廃止にならないでしょう?」
「私じゃなくて車両です、415系……私が長いこと使ってた白い顔にステンレスの奴が引退するんですよ」
その言葉になるほどと思わず納得する。
「終わりと始まりは誰にとっても特別なんですよ」
「それなら乗ってくれればいいものを……」
ぼやく水戸線の気持ちは分からないでもなかった。
それでも彼が愛されているということは沿線自治体である自分にとってはとても喜ばしいものだ。
「お茶でも淹れましょうか」
窓から差し込む日差しは春の陽気だ。
春の足音が新しい電車とともにやってくる。





水戸線415系引退、地元民からすると寂しいものですね。

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どこまでも、どこまでも

「ケーキ買ってきました」
突然、東京まで来たから迎えに来るようにと指定されたのは上野駅の改札口。
そこまで迎えに来て渡されたのは二つの箱に入ったケーキ、どちらも茨城の有名店のものだ。
「……また、なんでだよ」
「いてもたってもいられなかったんですよ、帰りを待つのも億劫でしたから」
一日適当に観光して回って帰ります、と水戸が告げる。
何故水戸がそんな行動をしたのかの見当はついていた。
「全線復旧って言ったって、まだ何年も先の話だぞ」
「それでもです」
常磐線の全線復旧のめどが立ったとはいえど本当に動き出すのは何年も先の話だ。
予定がまた一つ増えたとある意味酷くドライに考えていたのは、取り戻すべき日常がもう一度帰ってくる喜びを爆発されるには今はいささか多忙すぎたのだ。


「あなたの二度目の誕生日ですからね」

「だからケーキ二つか」
「ええ」
どこまでも、どこまでも歩いていく。
そうして帰ってくる場所は、この目の前にいる兄貴分の前でありますように。



常磐線全線再開決定記念

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水戸支社は真岡鐡道を何だと思っているのか

水戸の自宅。
今日は珍しく随分と人の大集合したリビングには路線と市町村がまとめて集まっている。
「あのさ、一つ聞いていいかな」
「水戸が聞きたいことあるみたいだな」

「……なんで真岡と益子がいるの?」

「なんでって真岡鉄道もときわ路スタンプラリー参加するからですよ」
そう、今回のは水戸支社の秋のキャンペーン・女子旅ゆる散歩とほぼ同時期に行われるときわ路スタンプラリーの会議なのである。
「いや益子と真岡は栃木でしょ!」
「師匠が参加してるのに弟子が参加しないわけないじゃないですか」
「って訳だ、気にすんな」
「いや他県……焼き物師弟何なの……なんなの……」
他の追随を許さない師弟愛に水戸は頭を抱えていた。
日立が無言でそっと頭を撫でる。あいも変わらぬいい嫁っぷりである。
そして他の全員は一斉にツッコミを放棄したのであった。



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白い日に生まれた君へ

うちに帰ったら、鹿島と鹿島臨海が愚痴大会を始めていた。
「理不尽だ」
「確かにそれは理不尽だよねえ」
「……鹿島、臨海線いつのまにうちに」
「あ、お帰りー神栖」
鹿島が何でもないようにこちらを向いて笑うので、どうしようと思わず視線を逸らす。
そもそも勝手に人んち不法侵入するなって話である。
たぶん何を言ってもどこ吹く風な事は長い付き合いで察しているが。
「ねー、神栖。臨海が大洗鹿島にプレゼント渡したら叩かれたんだって」
「何渡したんですか」
「……前から欲しがっていたガルパンのゲームと、バレンタインのお返しにマシュマロ」
機嫌があまりよろしくないようだが、そりゃあ叩きたくもなるよね。
バレンタインにマシュマロ渡すのは嫌いって意味だからね。まあ臨海線の事なんで知らなかったんだろうけど。
「何なら良かったんだろうねー」
「……クッキーかキャンディ渡せばよかったんじゃ」





後日、鹿島臨海が「兄さんからホワイトデーのお返しに飴貰ったんだけどこれは押し倒してもいいのか」という旨の相談を受けるのはまた別の話。


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