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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業擬人化サイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

花火の咲かない夜の空

残暑の残るドラックストアの隅に割引になった花火が積まれていて、それに何となく手を延ばした。
「で、あなたたちを呼んだんですよ」
筑西と桜川がきゃあきゃあと声をあげながら花火が火を噴くさまを楽しむ横で、結城は折りたたみいすに腰かけたままつぶやいた。
「……普通に小山の花火見に行きゃいいだろ」
「それはそれ、これはこれです」
下館もおそらく同じことを思い出してるのだろう。

「もうここで花火は見られないと思ってたんだがな」

少し前まで筑西市川島地区には小さな花火大会があった。
とはいっても近隣の住人しか来ないようなかなり小規模なものだ。
小規模ではあったが大会の日には、空き地に屋台が並び河川敷には花火を見に来る人が集まる近隣の風物詩であった。
その花火大会も鬼怒川の堤防工事と来客数の減少を理由に終了となり、もうこの夜空に花火は咲くことがなくなってしまった。
「花火のない夏ってのはどうも寂しくていけないな」
「小貝川の花火もあるくせに」
「それはそれだよ」
筑西と桜川の見ていた花火の火の勢いが少しづつ消えていく。
「新しいのつけてー!」
「はいはい」
過去は川の流れのように遠ざかる。
新しい時代が積み重なれば遠くなっていくものを、私たちはひそかに記憶し続けている。




いつかの夏の結城+下館。
今年は花火大会が軒並み中止になって寂しいですね。

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雪の夜を歩く

「……随分降りましたねえ」
昼寝から目覚めると時計は夜の7時過ぎを指していた。
窓の外には白い綿のような雪が積もり、雪の止む気配は感じられない。
ぐうっとお腹の虫が鳴くので台所に降りて冷蔵庫を開くと、何もない。
作り置きの副菜が二つ三つ。ご飯やみそ汁の類もない。
「しょうがないですかね」
ぽつりとつぶやいて上着とマフラーをつけて雪の街へ買い物に出ることにした。

***

雪解け水と混ざり合って解けた雪を踏みしめながら、ふうっとこぼしたため息が白くなって夜風に溶ける。
こうも寒いと鍋が食べたくなる。鍋を食べるならば私の愛する隣人もいて欲しい。
(……まあ来ないでしょうけどね)
無理やり押しかけてしまおうかとも思ったが足が無いからやめておこう。同居人である水戸線も今日は不在だ。
下館や古河もこの雪では外に出てこないだろう。古河辺りはかつての城主さながらに雪の結晶の観測でもしていそうだ。
ああ、こう寒い日に一人というのは心がざわめく。





結城さん雪の日の話。

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ある秋の朝にて

まだ朝早い午前五時過ぎの母子島遊水池にはちらちらと人出があった。
「……さっむ」
ぼやきつつも筑西を折りたたみ椅子に座らせて、持って来た熱いお茶を飲む。
「下館市さん」
声をかけてきたのは顔見知りのオヤジだ。
その手元には立派なカメラがぶら下がっており、なるほど相当気合を入れてきたらしい。
「筑西市さんも連れて来たんですか?」
「いちおうな」
そう言えばと思い出して鞄から紙袋を一つ取り出す。
「焼き栗食うか?」
「いただきます」
笠間から貰った栗を昨晩火にかけておいたのだがこれがなかなか美味いのである。
腐っても栗の名産地とでも言おうか。味も良い。
くだらない話をするうちに空が明るくなって来たので、顔見知りのオヤジは隣で三脚を組み立て始める。
(そろそろだな)
隣で眠っている筑西を揺り起こし、スマートフォンのカメラを準備しておく。
「筑西、」
「ふぁい?」
「お茶でも飲んどけ」
目覚めのお茶を一口飲ませれば眼が冴えたらしく、目がしゃっきりしている。
だんだんと朝焼けのオレンジが遊水地の上空に覆いかぶさっていく。
「筑西、もう少しだ」
朝の寒さに白む息の奥で、筑波峰の上にオレンジの火の玉がポンと乗っかっていく。
ダイヤモンド筑波がそこに完成する。
そして目の前の池も、波ひとつ立てずにその姿を鏡のように映している。
「……きれいです」
「だろ?」
まったく、朝早くから起きた甲斐があるというものだ。



下館と筑西。
この間ついったの公式垢が自慢げに動画上げてたのでつい。

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灯篭ながしの夕べ

勤行川の上にぷかぷかとロウソクをともした船が流れていく。
「きれいですね」
筑西がうっとりとした声でそう呟いた。
確かにこの景色は幻想的で、不思議な空気が漂っている。
「筑西、」
「はい?」
「……この灯りは死者を弔う灯りなんだぞ」
「ししゃをとむらう」
筑西はまだ分かってないという顔でこちらを見ていた。
別にそれが駄目だという訳でもないのだが、無垢であるという事は無知であるという事なのかもしれないと考えなおす。
「灯篭、ひとつだけ流しとくか」
「はい」
灯篭をちゃぷりと川の上に浮かべていく。
もう遠くへ去った仲間たちの顔が、ロウソクの明かりの下で浮かんでは消えていく。
2人でロウソクに手を合わせながらふとしたことが頭の隅に浮かんでいく。
(……俺ももうすぐ、向こう側へ逝くのだろう)
川の流れに押されるように灯篭は届かない場所へ静かに流れて行った。





筑西と下館。
下館の灯篭ながしの話を聞いてふと思いついた話。

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カニを食べる

あわらさんからカニを頂いた。
曰く加工中に足がもげてしまった売り物にならない奴なのだそうだが、以前『傷ものでもいいからカニ贈ってください』と冗談交じりに言ったのを覚えてくれていたらしい。
茹でて冷凍されたカニなのでとりあえず解凍するところから始めよう。
同封された達筆なメモ(手紙によると三国さんが書いたらしい)によれば、冷凍カニは一日かけて冷蔵庫で解凍するのが美味しいらしい。
(……という事は今日は食べられないのか)
しょうがないと思いながらとりあえず今日はイオンのレストラン街で夕飯を済ませることにした。

****

翌日、夜。
解凍されたカニを冷蔵庫から取り出し、まずは殻をむいてそのまま食べてみる。
「……美味しい!」
ぷりぷりのカニの身とエキスが口に広がってそのまますとんと落ちていく。
作っておいたぬるめの日本酒を流し込むと、本当に幸せな心地になる。
携帯が軽やかな着信音を奏でて来るので確認すればつくばさんだ。
『下妻、夕飯一緒に食べない?』
「いま貰い物のカニで晩酌中なんで無理ですかね」
『えっ』
「今夜は一人でゆっくりさせてください」
不満そうに了承の言葉を述べてから電話が切れる。
みんなでワイワイするのも嫌いじゃないけれど、やっぱり一人でのんびりしてるのはいいものだ。





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