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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

まだスイカの季節じゃない

出光と昭和シェル、別に付き合ってないし別に擬人化である必要性もないような話。


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特に大したことのない休日の話

よく晴れた金曜日だった。
金曜日が休みなら映画でも見に行きませんか、という誘いを貰ってのこのことハーベストウォークにきた僕と結城さんは何故かアイスを食べていた。
シングルコーンのアイスが二個、彼の手元に並んでいる。
「とりあえずバニラと季節限定のさくらにしたんですけどどっちにします?」
「じゃあ、さくらで」
淡いピンク色のアイスは確かにこの季節らしい色をしていて、惹かれる気持ちはなんとなく分かる。
「それ、少し味見させてもらっても?」
「どうぞ」
刺さっていた匙でアイスをひと掬いして差し出すと、それを受け取らずにそのままぺろりと口に放り込んでいく。
「……なんか、塩っけありますねこれ」
ぱくりと食べてみると確かに塩っ気がある。
しかし桜の風味がしっかり香り、祝い事の席に出されるさくら茶を彷彿とさせた。
「どうぞ、」
「どうも」
バニラアイスがひとさじ差し出されると、口直しにひとくち貰った。
……うん、普通のバニラだ。
「下手にチャレンジするもんじゃないですね」
「嫌なら私食べますけど」
「結構です」
さくらアイスをもくもくと飲みこみながら、なんだか今日は妙に平穏な気がした。




特に何てことない結城小山。
某ピンク色のアイス屋のさくらアイスはマジでさくら茶の味がしました(食べた感想)

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いつかの夜の話

そのひとは、悲しいことも苦しいことも全部煙草の煙と一緒に飲み込んで暮らしてきた。
「新しい煙草、カートンで買っといたよ」
「あんがと」
ねーちゃんはべりべりと包装紙を破いて新しい煙草の封を切る。
ワンカップの空き瓶にたまった煙草の吸い殻を俺に突き付けてくるので、黙って吸い殻を捨てておく。ほんの少し水を入れておくことも忘れない。
社員寮の小さな庭に繋がる窓のサッシに背中を預けてぼうっと月を眺めている。
「……なあ、」
「うん?」
「明日には、住友じゃなくなるんだな」
住友金属と新日鉄の合併の話が出たとき、一番複雑そうな顔をしていたのはねーちゃんだった。
俺たちに決定権はないから覆すことも出来ずにこうして見守っていくほかなく、多少揉めたりはしたものの結局合併は決まって明日からは新しい会社になる。
「釜石さんたちといっしょは嫌?」
「別に嫌いではないけど、ただ住友から切り離されるってのが上手く受け止めきれないだけだよ」
とんとん、と煙草の灰を空き瓶に落とす。
灰は水に落ちて小さな音を立てて沈んでいく。
「時代の流れってのは残酷だと思わない?」
「それを見守っていくのが俺たちの役割なんじゃないのかな」
「まあそうだけどさ」
お駄賃代わりに買った缶チューハイを開けると、秋の匂いがする。




此花と尼崎。姉と弟が見てきた一つの歴史の終わりの話。

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丹南と春の食卓

冬と春を繰り返しながら、町は春へと近づいているのが分かる。
久し振りに丹南で集まって食事でもしようと言う武生の誘いで久しぶりに市街地まで来てみたが、市街地らしいガスの匂いにわずかに梅や桃の匂いが混ざる。
春めく町の片隅の一軒家の車を止め、助手席に置いていた能面とビニール袋を掴んで車を降りた。
「いっちゃん!」
「越前ちゃん、今立と武生いる?」
幼い少女がきらきらとした笑顔を向けながらこちらに寄ってくる。
「なかでごはん作ってる!」
「そう」
手土産は役に立つだろうか、とちょっと考えていると越前の後ろからひょっこりと眼鏡の彼が顔を出してくる。鯖江だ。
「池田、ひさしぶり」
「鯖江くんもおひさだね。越前ちゃんとあそんでた?」
「俺と南越前と越前で七並べしてた」
「七並べかあ、あとで入れて貰おうかな」
「そうだね。入りなよ」
丹南で集まって食事をするとき、会場はだいたい武生の家になる。
武生の言動に思うところはあれど幼いほうの越前に罪はないし、集まって食事をするのは楽しいものだから誘いを受けることはよくある。
「池田か」
「久しぶり、武生」
台所に入ると威風堂々とした立ち姿でフライパンを振るう武生がこちらに気付く。
若き料理人といっても違和感のないすらりといた体つきに男性的な顔つきのせいで誤解されがちだが、武生にはのどぼとけは無く女性であることに一目で気づける人は少ない。
「お土産あるんだけど」
「少し待っててくれ、もう少しで焼きあがるから」
フライパンに盛りつけられたのは大きな白身魚のムニエルだ。
小さなボウルから盛られるのは何かのソースらしい。
「あ、池田ひさしぶりー」
「今立も元気そうで」
後ろからひょこりと声をかけてきたのは今立だ。
いつも通りののんびりした雰囲気ではあるが、お盆を持たされているので配膳を手伝わされているという事だろう。
「今立、ムニエル並べておいて」
「はぁい。あと何か作るの?」
「池田のお土産次第だな。で、お土産は?」
「春の山菜の詰め合わせだよ。新タケノコに、フキノトウと、コシアブラと、タラの芽。全部今朝収穫したからあく抜きしなくても食べられるよ」
「おお……とりあえず天ぷらにするか。残りは鯖江や南越前へのお土産に」
「了解」
そう言うと早速調理台に向かい始め、タケノコやフキノトウを軽く水洗いし始める。
それを確認して広間の方に向かうと鯖江や越前ちゃんたちがトランプ遊びを始めていた。
「池田さん、お久しぶりです」
「南ちゃんおひさしぶり、越前くんの方も」
畳の床に丸く座ってトランプを切る南越前の横に腰を下ろし、越前ちゃんを膝に乗せる越前君に鯖江という顔ぶれだ。
「越前ちゃんと越前君が揃うと兄妹って感じがするねえ」
「似たような名前だと顔つきも似るのかもね」
「……それ、僕への嫌味ですか」
越前君がほんのりと苦い顔をする。ちなみに誰にも悪気はない。
同じ名前をした別人がいるというのもなかなかややこしい事だと丹南で集まるといつも思う。
「トランプ切ったんでどうぞ」
南越前が切ったトランプを数枚づつ手渡していく。
「ねえ南ちゃん、こればば抜きでいいの?」
「じじ抜きですよ。まあルールは一緒なんで問題は無いですけど」
そんな調子でじじ抜き始まりあーだこーだと言いあいながら、トランプを巡っては一喜一憂する。
「あげもののにおいがする!」
「ほんとだ、そろそろかもね」
2人の越前が笑いあっていれば、ふいに広間の扉が開いて「「天ぷら出来たよー」」とやってくる。
春の賑やかな食卓の中心で、山菜が笑っていた。




丹南を書きたいなと思って書いていたらどんどん収集付かなくなってきた産物。

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