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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

一人で紡いだかけらはどこに

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こんなにもあの日が遠くなってしまった。
結城と東京をつなぐ列車のあった日々が遠くに離れてしまい、もう夢見ることすら難しい。
じわじわと寂れていく町を静かに見守っていたけれど、あの列車が存在し続けていたらまた違う運命があったのではないかなどと夢を見てしまう。


(私も何無い物ねだりをしているんだか)


もう消えてしまった特急つくばねを、思い続ける。


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前途多難だ神栖さん!7

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*永遠にデレてくれる気がしないシリーズです、放置プレイしてすいませんでした。


正月から早数ヶ月が過ぎ、2006年初夏。
「いい加減優しくしてあげればいいのに」
「禿同」
「・・・・・・・・香取、お前ふざけてるだろ」
「ソンナコトナイヨー」
何故か腐れ縁二人に宥めすかされていた。

前途多難だ神栖さん!

東国三社というものをご存知だろうか。
俺のところにある息栖神社、鹿島の鹿島神宮、香取の香取神社の3つに御参りするという風習だ。
今でこそ廃れた風習ではあるが、その事がきっかけで三社参りの神社を有するこの3人は妙に馬が合った。
「まあそれに銚子はハナからガチの人なんで問題ない!つかむしろ幸福です!」
「鹿島、ちょっくら火力発電所に投げ込んできてもいいか」
「まあまあまあ・・・・・・」
ただどうして香取がこうなったのかは俺には理解できない。
出会ってから200年ほどの時を経て、何故か香取は見事な腐男子となっていた。
「まあ銚子そのものは悪い奴じゃないしさ、神栖もそれぐらいわかってんでしょw」
「分かってても腹立つ」
「でもさー、銚子が『前よりも対応が柔らかくなった』って言ってたし友達付合いぐらいはいいんじゃね?w」
「うん、そこは僕も思ってた。」
「鹿島・・・・・お前もか」
思わず俺の絶望感が口からこぼれる。
「いや、神栖の銚子への対応柔らかくなったと思うもん」
鹿島にまで言われたその言葉に思わず頭を抱えながら正午の鐘の音が俺にあきらめろといってる気がした。

*         *

家に戻れば噂をすれば影という奴なのか、銚子がいた。
「よぉ」
「・・・・・・・よぉじゃねぇだろ」
「茹で蛸おすそ分けしに来た」
「ああ、そういやもう5月か」
箱一つ分の茹蛸を貰い受けていた。
「断わらねぇのか」
「食い物に罪はないだろ」
俺は意外とこいつが好きらしいという事実を受け入れざる終えなくなっていた。








つづく

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さくらさくらしがつのはるに

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その日は小春日和という言葉がぴったりの温かい日だった。
あまりに寒くて、いつだって元気な牛久ですら風邪を引くような今年。
珍しく暖かいものだったのと、ちょっと元気だったので外に出てみることにした。

*           *

市内一の名所の桜は満開だった。
校庭内にはOBOGらしき姿がちらほら見つかり、子供の声も聞こえる。
昨今の小学校の警備体制の強化の流れとは無縁な平和さはほっとする。
(常南は見てるかな、この桜)
遠い遠い場所で、懐かしい同居人がこの桜を見ていることをひっそりと願う。



はっきりとは書いてませんが桜は土浦の真壁小の桜です。

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僕らは誰かのために存在する

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1971年4月、水戸駅
(常磐緩行・営団千代田線乗り入れ・・・・・・・)
数日前に告知された知らせを四つ折にしてポケットに仕舞い込んだ。
「水戸?どしたんだべ」
「ああ・・・・・水郡は気にしなくて結構ですよ」
軽く伸びを一つして、気にしていないという振りをしながらも足は南へと向かっていた。

僕らは誰かのために存在している

取手駅
「何でいんだよ」
「個人的な気まぐれですよ」
緑色の営団車両を横目に見ながら、時代の流れというものを痛感する。
他社の車両がこうも平然と止まっていると営団千代田線との乗り入れ計画があるという小田急の車両も取手に来る日が来るのだろうが。
(ただ存在するだけでは利用されない時代が来たという訳ですか)
時代はあまりにも速いスピードでめまぐるしく変化していく、その速さに追いつけない自分はもういい年なんだろうか。
「気にすんのかよ」
「東京の汚い垢に穢れていくのかと思うと兄として寂しいだけですよ」
「・・・・・・・・千代田に失礼だろ、それ」
「私は面識がないので如何ともし難いですけどね」
「あのさぁ、『鉄道は利用客のために存在する』って最初に言ったの水戸だからな?」
常磐から押し付けられた緑茶缶を開けて、軽く一息ついた。
「よく覚えてますねそんなこと」
「国鉄の鬼門、だからな」
「・・・・・・誰が言ったんですか」
「営団銀座線、東京地下鉄道」
その名前は一応の聞き覚えがあった。
地方路線とはいえこちらもそれなりに長く生きているから、東京の路線の一つ二つは一応覚えている。
「ああ・・・・・早川の息子ですか。ずいぶんひねてるとは聞きましたがわざわざ言いますかねそんなこと」
「そこんとこは同意見」
国鉄の鬼門、それはまあいろいろ後ろ暗いことやら何やらが要因なんだろう。
常磐の数パーセントは私の一部だったこと、複数路線を統合して成立したこと、長距離路線でありながら本線でないこと。
「何を考えてるんだか、早川の息子は」
「さあ」
「純粋にあなたのプラスになるならそれで結構ですけどね」


鉄道は使う人のために存在する。
その裏にどのような意図が隠されていようとも、必要とされる限り存在する。







おわり
常磐・千代田直通記念話でした。
直通にもやもやする水戸さんのはなしでした。

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あなたは俺の好きな人

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東京・有楽町
休日の都心は人でごった返していて、本当に東京は嫌になる。
まあいわきさんの誘いだから良いんだけどね!
「・・・・・・・東京は人が多いな」
「だよねー、でも言いだしっぺいわきさんだし」
「一人で行く気力が無かったんだよ」
「で、俺を案内役と。愛されてるなー!」
「・・・・・うるさい」
強烈なデコピンをくらいつつもめげません。
アンコウもヒラメも基準値超えてても負けないんだからな!
「で、目的地ってどこ?」
「気仙沼のアンテナショップ」
「・・・・・・な「あらら、来てくれたんだ!わいーめわぐだのーねわざわざ」
噂をすれば影と言わんばかりにひょいと登場したのはとうの気仙沼だった。
(相変わらず何言ってるのかいまいち分からない・・・・・)
まあ言ったら怒られそうなので言わないけど。気仙沼も苦労してるし。
「いや、どうってことでもない」
「そったらわけ無いでしょー、オラはここに半分住み込んでるから良いけどいわきさんとこはまだまだ忙しいじゃないの!・・・・・・・トコでその子は?」
「ああ、北茨城だ」
「はー・・・・・やけに仲良さそうな感じだと思ったらお隣さんかぁ。おらは気仙沼、せんばね」
「あ、はい」
「いわきさんはいいけやぐがいていいなぁ、オラのとこはけやぐみんな似たような状況だし。まあうらやんでも意味無いけど、手伝ってくれるんでしょ?」
「ああ」
その言葉の意味は訛りがきつくても大方分かった。
「・・・・・・いわきさんここの手伝いに来たの?」
「ああ、うちの商品をいくつか置かせてもらってるんでな。そのお礼に」
つまり俺も手伝いの一人に過ぎなかったらしい。
うそでしょー!と言いたくなるような状況を俺は即座に受け入れて、いわてさんと無賃労働に励むことにした。

*            *

働いて駅弁もらって働いてを繰り返したらもう夕方になっていた。
「あー・・・・・疲れた」
「いい運動だろ」
「ところでさぁ、いわきさんにとっての気仙沼って?」
「『お互いがんばろう』といってくれたいい友人、だな。
気仙沼だけじゃなくて南三陸や石巻が誘ってくれたから、あそこに協力しようと思えた」
「当たり前でしょ」
俺だけじゃない、いろんな人がこの人を好きでいてくれる。
それがいいことかどうかは別として、いつも世話になってるのに都合が悪くなれば見捨てるような薄情者ではないのだ。
「でも駅弁おいしかったなぁ」
「だな」
水戸発いわき行き最終に間に合うことを祈りつつ、ちょっと小走りで駅へと向かった。








・気仙沼さん
宮城県最北端の漁師系女子。
姉妹都市・友好都市がたくさんいるせいか、おしゃべり大好き人大好き接客業向きの超フレンドリーな女の子。
得意技は「耳がー・・・・でっかくなっちゃったー」っていうアレ。
なまってるのは仕方ないよね!と思ってる。

・南三陸さん
まだちっちゃいけどがんばる男の子、微妙にしたったらず。
気仙沼ちゃんのお隣さん。

・石巻さん
お隣岩手県花巻と名前が似てることを気にする野球観戦と漫画好き高校生。
ネコのピアスは田代島。ひたちなかさんの友人。


おわり
このあいだ東京に行った際に、東北被災地を中心としたアンテナショップがあって、きっといろんな町や人が集まってこんなことしてたんだろうなーと思ったので。
あと石巻と花巻がごっちゃになるのは私です・・・・・orz岩手・宮城の皆さんすいません。

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