忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

前途多難だ神栖さん!6

*いい加減謝罪文出した方がいい気がしてきた神栖と銚子のあの話です。



年が明けて2006年。
「よぉ、新年明けましておめでとうだなぁ」
「・・・・・・おせちは」
「頼まれたとおり作ってきたぜぃ?」
ぼん、と大きな包みを渡される。
この件の発端は前日にさかのぼる・・・・・・。

前途多難だ神栖さん!

12月31日15時30分
(駄目だ頭痛がする・・・・・)
たちの悪い風邪が周囲に流行っていたせいなのか、俺はものの見事に体調を崩していた。
「よぉ」
「・・・・・・またお前か」
「橋の関係でこっち来たらおめぇさんが風邪で休みだと聞いてねぇ。年末にぶっ倒れるっつーのも大変だろうと思ってなぁぃ、適当に差し入れをな」
俺が追い出そうと立ち上がると病人は寝てろと止められ、差し入れを枕元に並べた。
「今日、31日か」
「そうでぇぃ、初詣に鹿島の神宮に行く人も多いんでその関係の話をなぁぃ」
「・・・・・・しまった」
「どうしたんでぃ」
「鹿島や猫たちと食べるおせちの準備をしていない」
元旦になると毎年鹿島の家に工場地帯に出る猫たちと周辺自治体(つまり俺と鹿島だ)が集まって、今年も何の災い無く過ごせるようにと今年一年の安寧を祈る。
その際に出すおせちは毎年俺の担当だった。
「なら俺が用意してやるかねぇ」
「作れるのか」
「香取あたりを巻き込めば十分できるでしょう?あいつぁ潮来潮来言ってるけどねぇぃ」
「あいつなら変なものもら無そうだな」
「俺ぁどんだけ信頼されてねぇんで?」
香取とは三社参り華やかりし頃、鹿島を通じて様子を聞いているのでたぶん大丈夫だ。
今でも鹿島とは仲がいいようだから、鹿島が食べるものに変なものは盛らなかろう。
まあ潮来がいたらまた凄いことになってしまいそうだが。
「それなりに信用してない、とりあえずおせち頼んでいいか」
「・・・・・・もちろんなぁ」
耳のそばでそう言って去っていく男が、微妙にカッコいいと思えた。

*         *

で、冒頭に戻る。
「着物なのか」
「おめぇさんとこに顔出すんなら鹿島まで足伸ばして手ぇ合わせとこうかとねぇぃ、一回地元でも手ぇあわせてはいるんだけどなぁ」
「ならついでに車に乗せていけ、鹿島と一緒にてべるんでな」
「それぐらいの我がままなら聞いてやりましょうかねぇぃ」
「何がわがままだ」
「へーへー、可愛い姫さんの言うことにゃ逆らえないからなぁぃ」
「階段から突き落とすぞ」
「・・・・・おめぇさんに突き落とされるなら文句は言えねぇなぁぃ」
少し腹が立ったのでグーで一発殴ってやった。









少しデレて参りました。
銚子はいい男なんだよ、これでも。

拍手

PR

残り時間は紙パックのなかのコーヒー牛乳の量に比例する

空が青いなぁ、とかしょうも無いことを考えながら空を見上げている。
「・・・・・・何してるんですか」
「結城」
「あなた人の家に書類忘れていったでしょう、本業の方にいないからすぐこっちだと予想がつきましたが」
そう、ここは県立高校の空き教室。
ここの学生になるのは7回目なので一番人が来にくい場所で授業をサボるのは慣れっこだった。
「良くここだって分ったな」
「勘ですよ。しかしサボり魔の癖してよく何十年も高校生続けますね」
この国に学制が敷かれてから100年ちょい、俺はずっと学生を続けていた。
高校を出たらまた入試を受けて、卒業したらまた高校を受験して高校生に。
延々と高校生活を続けるあいまあいまに市町村としての役目を果たしてきた。
「だって退屈しないし、それに学ランとかブレザーみたいな制服の方がしっくりくんじゃん」
「保護者のふりをするのも面倒なんでいい加減やめて欲しいですけどね、筑西の面倒に全精力をつぎ込んで欲しいところですが」
「・・・・・・・笠間が面倒見てんじゃん」
紙パックのなかのコーヒー牛乳はもう残りわずかになっていて、自分に残された時間もこれっぽっちなのかと少しだけ悲しくなった。







おわり




拍手

春を歌にして

冬の終わり、太平洋の上に浮かぶ太陽の明かりに眠気を誘われる。
晴れた日には仕事を早めに終わらせて海辺でぼんやりしながら、毎日のことを思うのは最近の日課だった。
「・・・・・眠いですねぇ」
『何言ってるんだ、那珂』
「眠いものは眠いんですよ、瓜がいなくなって以降は毎日」
「那珂と瓜連なんだぜ!」
『大洗、どうかしたのか?』
「那珂はどこだって東海のところに水戸が怒鳴り込んできたんだぜ」
『じゃあ原発関係か。ほら、いくぞ』
「瓜はよく人の事こき使えますねぇ」
『関係ない、ほら』
瓜の手が自分の手を掴もうとして、するりと抜けていく。
・・・・・そうだ、もう彼はいないのだ。
幽霊として存在してはいても、瓜連町は存在しない町なのだ。
かすかに風景を透かしてはいるが、間違いなくここにいる。
「那珂、早くなんだぜ?」
「・・・・・わたくしとしたことが、感傷にふけってしまったようですね。行きましょうか」
確かにこの場所に瓜はいない、だけれどここにいる。
彼を感じられる。









タイトル曲がイメージのはずなのに何故こうなったし。

拍手

夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く

*新成人おめでとう小話



「~~♪」
「北茨城、何でいるんだよ」
「会いに来た」
俺は呆れたようにため息をついても、この懲りない奴はそれでも楽しげに笑った。
今日は日本全国の20歳を祝う成人式の日で、自分だけで泣くこいつもその日のはずである。
「自分のトコの式典の準備はいいのかよ」
「うちは日曜開催ですから」
地元のイベントホールの窓から、振袖や袴姿の若者がいる。
毎年こういう式典には不埒な若者がいるが今年はそれも自粛らしい。
まあこっちとしては永遠に自粛してくれというところだが。
「春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く」
「・・・・・ユーミンのあれか」
「そう、希望の春でしょ?いわきさんにはさ」
そうだ。
あの日から失ったいろんなものを、一つ一つ取り返していかねばならない。
「・・・・・まあ、そうだな」
「夢をくれし君、になるからさ」
「あんま調子乗るな」
どうか来年も、この日が祝えますように。と小さな声で呟いた。










新成人の皆さんおめでとう、とかいいつつ県内はほぼ日曜に行うので全然意味が無いと言う。
いろんなものを失って取り返す過程の中にあるいわきにとって行政主催のイベントである成人式が何かの意味があればいいなと。

拍手

そんな頃の昔話

朝6時。
ピンポンが五月蝿く音を立てる。
ああよだきぃ、と呟きながらもう一度布団にもぐる。
お布団まじぬくい。幸せ。
「常陸太田ー、お前がここにいるのはわかってんだぜー」
「よだきぃから大洗は帰りかえ」(~かえ=~しなさい)
「しーごーとーしーろーよー、って水戸が言ってるんだぜ」
「やけど断るから帰りなさい」
「うぇー?」
そういうと呆れたように日立の声がした。
「・・・・・子供じゃあるまいし」
「ガキでいい。よだきぃ。寝たい。それに仕事なら牛久がいるし」
「牛久に呆れられるよ」
大分からのお客と過ごした数日間は楽しかったし、よだきぃと思う暇すらなかった。
だけどおととい帰ったからいないし、臼杵市も牛久いい奴だし、家にいるときは寝ていたい。
「牛久やからしょわなあ」
「・・・・・・柚子こしょうあるんだけど」
「分った、ちょこっと待っちて」
あいつには思い出がある。
いい奴だし、湯布院に招待してくれたし、ご飯美味しかったし。
その柚子こしょう1本で折れてあげよう。






(でもよだきぃわ)






拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ