忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

夢が散れども二人は生きる

「腑に落ちんな」
いつものように黒を纏ったブラックラムズのじーちゃんがそう呟いた。
本当ならファンがつどっていたはずの秩父宮はお詫び文が張り出され、来場してくれたファンには頭を下げるしかできない。
「俺かて腑に落ちんわ、要するに協会のミスやし」
「ミスは誰しも犯すものだが今回ばかりは同意見だな」
特に俺にとって今日は特別な一戦だった。
「きょうがD1でやる最後の試合やったのにな」
再編成によるD3への自動降格が決まっている身にとって、泣いても笑っても今日がD1でする最後のゲーム。
死ぬ訳ではないとしても最後の日にケチついたみたいでけったくそ悪い、というのは飾らぬ本音。
「非公式試合でも組むか?」
「それもええかもな」
魔法瓶から出てきたコーヒーを一口飲みながら、ほうっと軽く一息つく。
ちょっと怒りは落ち着いた気もするが今やるべきことは皆に詫びる事だろう。
「協会への文句は後回しやな」
「ああ、仕事は未だ有るしな」



------
レッドハリケーンズとブラックラムズ。
今回の試合中止ホント……協会がクソ……(口癖)

拍手

PR

Adoの歌声を聞きながら

「まだおいは死んどらんぞ」
試合後に着ていたシャツを指差してブルースさんがそんな事を言う。
ブルースさんへの感謝を込めたThanksシャツが気に食わなかったらしく「間違えました?」と聞く。
「あくまでうちは活動休止やけん、5月以降に新しく面倒見るっち言うてくれる人が見つかればすぐ戻る」
この不景気真っ盛りの時代にできるのかも分からないことを口にする。
「さすがにそれは夢見過ぎじゃないっすか?」
「プロが夢見れんでどぎゃんするとね」
当然のような口ぶりでブルースさんが告げる。
(マジでこの人夢見がちのガキンチョのまま死んでくんだな)
親から一度切り離された時の絶望感は知っているけれど、ここまでくそポジティブに生きて行こうなんて思った覚えはない。
まあ今は良いんだけどね?親会社のくくりから外れることで得られた自由も気に入ってるんで?
「ブルーシャークス、おいにありがとうだの尊敬だの言う前に勝ち点よこせ」
「それは無理ですねえ」
すっかり癖になった人当たりのいい笑いに「へらへらしよるな」と叱られる。
うっせえわとがなり立てる歌手のようにまだこの人は足掻くのだろう、本当の死を迎えるその日まで。


-----
ブルーシャークスとブルース。
私の脳内青さんはこういう感じです。

拍手

ホームセンター擬人化

そういやホームセンターの擬人化って見ないねえという思い付きから生まれた産物。

・ジョイフル本田
茨城を愛し茨城に愛されし俺女。
ガーデニングやDIYに強みを持ち、関東から一歩も出ていないのに国内上位の売り上げを誇る。
店一つ一つがアホみたいにデカいのが特徴。
-
どう見ても元ヤン風の見た目をした茨城弁男装巨女。
見た目と一人称が俺で茨城弁特有の粗雑な印象から、周囲からは男だと思われている。
近年はじわじわ素が出てきていて、インク沼に落ちたりマスコットを愛でたりしている。

・カインズ
生活を楽しむ上州女。
群馬ではお馴染みベイシアグループの中核的企業であり、プライベートブランドが強い。
最近とにかく好調で地元のサッカーチームにドンとグラウンドをあげたり自前のウェブメディアを作ったりしてる。
-
おうち大好き系オフィスレディ。
インドア趣味で暮らしをよくするものを考えるのが好き。たまに変なところに凝つて呆れられるのが玉に瑕。
群馬ももちろん好きだし庭キャンも好き。

・ビバホーム
物腰柔らか目の埼玉お兄さん。
元トステム系の企業だが現在は同業他社傘下。
結構リフォーム好き。
-
家の改造が好きなふんわりお兄さん。
大柄で優しく、人当たりも良い。

拍手

東京は初夏の陽

カレンダーを見て、ああそういえば今日だったと思いだす。
年度初めの忙しさにかまけて大事なこどもの二度目の誕生日を忘れるとはなあ、と思う。
「八幡はいつも覚えててすごいよなあ」
「手帳に書いてあるので」
久し振りに東京の本社でふたり、机を並べてそんな話をしている。
「今日何かありましたっけ」
「シーウェイブスの2度目の誕生日が今日でな」
去年はどうしただろうかと記憶を掘り返すと、ラーメンを奢ったなと思い出す。
「よく覚えてますね」
「お前さんはいっぱいいるからなあ」
八幡のところには部活が結構あるのでいちいち覚えてられないのだろう。
ただうち、というか釜石という土地にとってシーウェイブスは特別な存在だった。
一万人以上の署名活動によって生き延びた愛し子にとって今日は新しく生まれなおした日なのだ。
「ただいまー、とりあえず適当に買ってきたよー」
室蘭が弁当の入った袋を下げて戻ってきた。
「おかえり、遅かったな」
「大丸行ったからねー。あ、叙〇苑弁当俺のだからね」
「別にコンビニでも良かったんだけどな」
専門店のおにぎりとお茶を受け取ってパクリとかじる。
そうか、帰りに東京駅の中でシーウェイブスにプリンを買って行こう。
あいつの好物であるちょっといいプリンを誕生日お祝いに持って行けば喜んでくれるだろう。
ひと仕事落ち着いたら調べてみようと思いながらおにぎりをもうひとくちかじると、中からから揚げが出てきて思わずほくそ笑んだ。


-----
釜石と八幡と室蘭。

拍手

愛する人に薔薇と本を

「遊びに来ましたよ」
マスクを一瞬外して笑顔を見せると「直接会うのは久し振りだな」とつぶやいた。
世田谷の自分の部屋で冷やし中華を啜っていた手を止めて部屋に自分を招き入れる。
あいかわらずモノトーンに揃えられた部屋はモダンだがもう少し差し色があってもいいだろうに、なんて思う。
「今日はこれを渡しに来たんです」
選んだのは一本の赤い薔薇と一冊の本。
本は最近読んで面白かったカメラの漫画なのだけれど、リボンをモチーフにしたブックカバーをネットで見つけて印刷して自分で巻いてきた。
それを受け取って嬉しそうに笑いながら「一輪挿しが無いのが申し訳無いな」とつぶやく。
「男一人で生活してると使う機会無いですもんねえ、花瓶ならまだ事務所のほうにあったりしますけどね」
そう言いながら洗面台へ行き、手持ちの酒瓶で薔薇をリビングに飾ってくれる。
モノクロームの部屋に赤い花が咲くだけでちょっと彩が出るし、何より赤は僕の色だ。
この人の生活に僕がちょっと混ざるようで少し気分がいい。
「にしても薔薇と本か、変わった組み合わせだな」
「明日のサン・ジョルディの日に乗っかってみました」
「……知らない行事だ」
ブラックラムズ先輩が申し訳なさそうにそう告げる。
「スペインのカタルーニャ地方のイベントですからね。聖ゲオルギウスの日が明日なんですけど、その日に好きな人に赤い薔薇や本を渡す日らしいです」
「それに乗っかってみた訳か」
面白そうに眼を細くして僕に笑いかけてくるのが嬉しくて、今回は正解だったなあなんて思う。
「明日の試合で薔薇を配る予定だったので自分の分も注文しておいたんです」
「世界には未知の行事が在るものだな。代わりと言っては何だが時間があるならアイス珈琲を淹れよう、今朝がた水出ししたものが丁度頃合いのはずだ」
「じゃあ一杯だけ頂いていきますね」




------
イーグルスとブラックラムズ。
サン・ジョルディの日にちなんで薔薇を配るイーグルスさんにちなみました(ちなみすぎである)

拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ