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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

STAYHOMEに伝書鳩

全国的なSTAYHOMEの波は北関東にも伝播し、昨年はまともに小山さんに会いに行けない日々が続いた。
そして、2021年のバレンタイン。
「チョコは出来てるのに何で会いに行く理由がないんでしょうね」
逢いに行けずに溜まった情念は美味しい生チョコとケーキになったものの、何の理由もなく人に会うのが難しいこのご時世ではそれだけでは会いに行くのは難しい。
隣とはいえ他県であるので、他県との気軽な交流はご法度なのである。
そうこうしてると足元からコツコツと音がした。
小石とガラスがぶつかったような音の音源は、玄関からだ。
開けて見るとそこには袋を背負った伝書鳩が一匹。
「久しぶりに見ましたねえ」
昔は県庁や群役場の連絡用に県庁や大きな都市などが伝書鳩を飼っているという事がよくあった。
久しぶりに見たなと思いながらその鳩の様子を観察すると、足元の標識がかつて小山さんが使っていたものと同じだった。
「ちょっと失礼」
荷物を取り外すと鳩はバササッと飛び立っていく。方角は栃木方面だ。
袋には手紙とハトムギ入りチョコレートが一つ。送り主は確かに小山さんだ。
「……やられましたねぇ」
まったく、これではやっぱり会いに行きたくなってしまう。
とりあえず電話をかけて見ると『届きました?』と返される。
「ええ」
『麦子はちゃんと初仕事をこなしたわけだ』
「むぎこ」
『鳩の名前ですよ』
「はとのむぎこ、はとむぎこ、鳩麦粉……まんまじゃないですか!」
『しかたないでしょうよ、名前の候補がこれとぽぽぽーぽ・ぽ・ぽぽだったんですよ?!』
「後者もひどい!!!!!」



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結城小山のバレンタイン2021

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出来ない日々と出来たこと

試合が終わり一通りの片づけを終えた後の手指消毒とマスクももはや日常になってきた。
勝利に浮かれながら飲む酒もうちにつくまでお預けだ。
「ウォーターガッシュ、今日はありがとう」
「こちらこそ遠路はるばるの移動ありがとうございました」
握手のために手を伸ばそうとして「今は握手じゃないほうが良いのか?」と聞くと「海外だと肘が主流らしいですね」と告られる。
「じゃあ肘で」
こつんと肘を合わせると「なんかこういうのあったな」と口からこぼれる。
「2700?」
「いや、それじゃなくてnhkの……何だったか」
いまいち思い出せない事を引っ張り出すのは諦めた。

「開幕戦も無事できて良かった」

無観客の寂しい会場ではあったけれど、画面越しの声援コメントを時々覗き見ればやはりラグビーができる嬉しさが募る。
未だ出来ない事も多い日々でようやくラグビーのある日常を取り戻せた喜びは大きい。
「終わったことはどうでも良いでしょう、次は負けません」
「……そうだなあ」
ラグビーのある日々を続けていく。
そのための努力の日々はまだ続いていくし、それでもラグビーをするという熱意はまだ胸の奥で燃えている。


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シーウェイブスとウォーターガッシュ。
トップチャレンジ無事開幕!!!!!

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仲間外れと苦手意識

スポライブからの賑やかなトークに耳を傾けながら、先月分の活動費用の総計をテキストにまとめていく夜。
長いパソコン作業で固くなった身体をストレッチで軽くほぐしながら選手たちのトークに耳を傾けていると、やはり参加できる人員を探すべきだったのかなどと悩んでしまう。
どうしても都合が合わないからと断ったオンライントークイベントの誘い。
主催であるシャイニングアークスさんからではなくブレイブルーパスさんから先に聞いていて、数日遅れで誘いが来たときもしかしてそう言う事なのかもしれないなどと思ってしまう。
トップリーグ歴の浅いので自分と親しいものは少なく、どうにも厳つい雰囲気や身内のイメージもあって苦手に思われてるような気はしていたので仕方がない。
(……ほんわか、と言う柄ではないのも自覚済みだしな)
もちろん選手個人でなら向いている人もいるが、選手たちの予定も埋まっていたのだから仕方ない。
『結局お前オンラインイベント来ないのね』とブレイブルーパスさんに言われたときはちょっと申し訳ないような気がしたが、長い付き合いの面々で楽しくやってもらうほうが良い。
ストレッチを終えてから、小腹をココア風味のプロテインで満たす。
リーグを盛り上げる事だけが仕事じゃあない。こうした裏方の雑務も必要なのだと呟きながら、両手をキーボードにそっと置いた。



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ダイナボアーズさんの独り言。
赤カントークイベント不在の裏側を勝手に捏造しただけなので実際のところは知らんです(重要)

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ひとりライド

人生には往々にして事態がマイナスに動くこともある。
けれどもそれはそれとして諦めて生きていかなくちゃいけないし、それなりの折り合いの付け方も必要なのだ。
「……さてと」
印刷し終わった新しい試合の日程表をカバンに詰めて、ホワイトボードに『関係各所へのあいさつ回りのため4時ごろまで不在』と書き込んでおく。
私物の大型バイクにスマホを取り付け、ナビアプリに予定のルートを入れていく。
近隣の小売店や宣伝用施設、応援してくれてる地元のお店を回りながら浜松方面へ。
親戚の所にも新しい日程や応援のあいさつもして、11時頃には浜名湖近くの舘山寺温泉で昼休み。
午後は浜名湖を散歩したり、少しのんびりして3時ぐらいに出れば余裕で間に合う。

(こういうのをサボりって言うんだろうけど、たまにはやらなきゃやってらんないよなあ)

バイクの調子を確認しながら開幕延期に落ち込む心の奥のもう一人の自分をなだめてみる。
ヘルメットをかぶり、手袋をつけ、リュックをしっかり止めてエンジンの鍵を刺す。
大型バイクにまたがって走り出せば冬の冷たい風が吹きつけてくる。
荒馬のような自社製の大型バイクは僕の動きにだけはぴったり寄り添ってくれる。
バイクは西へ、ちょっと寂しい心をなだめながら走り出す。

***

12時過ぎ、舘山寺温泉に到着。
ちょっと話し込んだりしたせいで予定より遅くなったけれど誤差の範囲内だ。
ぶらりと入ったうなぎ屋さんでは、浜名湖のよく見える席に通してもらえた。
「うな重並とうまき1つお願いします」
ホカホカのお手拭きで手を拭いながら冬晴れの浜名湖が綺麗だ。
いつもなら見ることのないこの季節の浜名湖をのんびり見れるのは嬉しいような、寂しいような。
試合の隙間時間に海外の試合や過去の試合を見たり練習メニューについて改めて考え直したりしてみたけれど、やっぱり試合がしたいという気持ちは募っていく。
(今年があの人最後だもんなあ)
全部流行り病のせいだけれどせめて最後の試合ぐらいはちゃんとさせてあげたい。
延期された試合だって本当に開幕するのかも分からない。
ラグビーの失われた日常がじわじわと自分をおかしくさせていくみたいな、この感覚が怖くてたまらない。
もちろんいつかこの状況は終わる。けれどこの異常事態が終わる前に、休部-それは事実上死ぬという事だ-となれば?
遠くからうなぎの香りとともにお店の人の気配がする。
「お待たせしました、お先にうな重です。う巻きは現在焼いていますのでもう少しお待ちください」
「ありがとうございます」
うなぎの甘辛い匂いとごはんの匂いは幸せだ。
いただきます、と小さく呟いてたれの染み込んだごはんを思いきり口に放り込む。
甘辛いたれと炊き立てごはんの甘さがほっこりと気持ちを明るくさせる。
ほんと、美味しいものの前に人はあらがえない。


「……そうだ、デザート買って帰ろ」

今日だけは思う存分好きなことをしよう。
不安な未来を正しく怖れるためには、きっとこういう事も大事だろうから。


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ジュビロ弟のサボり。
ゆるキャン△見てたら浜松行きたくてしょうがない。

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ただのさぎょいぷ

オンライン会議にもすっかり慣れた今日この頃、ちょっとした事務作業の時にもオンラインで話ができるように設定してから事務作業に勤しむことが増えた。
『はー……釜石、今何時でしたっけ』
「17時34分、もう夜勤組が仕事しだす頃合いだな」
パソコンの隅に出ている時刻を読み上げるともう良い頃合いだ。
完成させた紙資料は明日にでも郵送して、残った仕事も明日に回そう。
『じゃあ今日はこれぐらいにしますかね』
「おう、それじゃあ『まだ切らないでくださいよ』
「……お前さんここのところ毎日ネット電話しとるじゃろ」
『仕方ないじゃありませんか。気軽に逢いに行けない状況ももうすぐ一年、こうして声を聴く以外の楽しみがないんですよ』
八幡もこの一年、うちに押しかけてくることが無くなり色々と我慢してるのだろう。
そういう不満の一つや二つ、年長者として聞いてやるのもやぶさかではない。
「じゃあアレだな、オンライン飲み会ってことで。酒はあるか?」
『あー、ちょっと待ってください』
幸い自分のほうは先週末に買った浜千鳥の寒造り新酒があり、つまみは貰ったイカの塩辛と漬物がある。
今日は晩酌を飯代わりにしてゆっくり寝よう。
『ありました、壱岐焼酎・天の川!酒の棚開けたら奥のほうに眠ってた奴ですけど』
会話画面にでかでかと焼酎の瓶を映してきて思わず苦笑いが出る。
これじゃあ完全に酒飲みだ。
「だからうっすら埃っぽいのか」
『正直ちょっと忘れてたんで、ちなみに釜石は?』
「日本酒、地元産の寒造り新酒に知り合いの作ってくれたイカの塩辛と漬けものだな」
そうこう言ってると八幡が酒瓶をずらして『見てくださいよ』と何かを映してくる。
『牡蠣小屋のプリン!糸島の牡蠣小屋でしか買えないレアものなんですよ』
「珍しいな、でもプリンで酒は飲めんじゃろ」
『まあそうですけどね。すきっ腹のお酒は身体に悪いですから』
そう言いながらさっそくプリンを食べ始めるのを穏やかな気持ちで見つめる。
まだ会えない日々は続くが、こうして声を聴くだけでも楽しいものだ。
いかの塩辛を日本酒で流し込むとほかほかと温まっていく。
「……今度お前さんと飲む時は、画面越しじゃないといいな」
『ええ』
なお、10分後揚子江の肉まんを買いに走らされた小倉が領収書片手に怒鳴り込んでくるがそれはまた別の折に。



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ただの八幡釜石

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