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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

笹と鯛

「さっむ……」
仕事を午前中だけ休ませてもらって足を延ばした今宮戎神社は右を見ても左を見ても人でごった返している。
毎年正月明けの9日午前中は仕事を休んでこの今宮戎神社の十日戎に足を延ばしているが、みんな商売繁盛を願いに来てるのだと思うと大阪が商人の街だという事を実感する。
威勢のいい掛け声とともに福笹を配るおじちゃんから笹を1本貰い、人ごみを書き分けて福娘の元へ足を運ぶ。
若くて美しい福娘に貰った笹を渡せば、小判や烏帽子・米俵を模した吉兆と呼ばれる飾りが付けられる。
これでミッションコンプリート、あとはこの福笹を持ち帰るのみで少々予定より早いがゆっくり散策してから帰っても午後からまじめに仕事をするので罰は当たるまい。
ふと周囲の人の流れが変わったのに気づいて目をやれば、仰々しく運ばれていく鯛が見えた。献鯛行事が始まっていたらしい。
私が小さかったころはもっと豪華な行事だった記憶があるが、ずいぶん質素になってしまったものだと思う。
しかし、青竹の担架に乗せられた雌雄の鯛を見ていたら無性に鯛が食いたくなってきた。

(本物の鯛……は調理が面倒だし鯛焼きでも食うかなあ)

福笹片手にあんこのぎっしり詰まった鯛焼きを食べて、あとは元気に仕事に戻る。うん、悪くない気がする。
献鯛行事を眺めながらそんなことを考えるのは罰当たりじゃないと良いのだが。



此花ネキと十日戎

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年末年始の断片

年末年始の短編集です。


・12月23日のはなし
最後のホーンが鳴ったとき、ああやはり自分はここに残れないのだと分かった。
「シャトルズ、いい試合だった。ありがとう」
昇格決定の興奮冷めやらぬダイナボアーズがこちらにそう告げてくるので、皮肉も祝福も口に出すこともできずにただ頷くのみに留めた。
兄弟同然に育ったヴェルブリッツは年末年始の仕事の多忙に追われてか一週間近く過ぎた今でも応援も慰めも寄越して来ず、ただいつものように刈谷まで来て飯を食った。それだけが救いだった。
(……トップリーグの舞台に帰る事だけを考えよう)
そしてダイナボアーズにもう一度泣きべそかかせてやるのだ。

・12月24日のはなし
『お好み焼き食いに行かん?』というライナーズからの電話で、クリスマスイブの街に繰り出せばそこにはふわふわと浮かれたレッドハリケーンズがいた。
「ようやっとトップリーグの舞台帰ってこれた~~~~~~!!!!!」
ついにスティーラーズのおっちゃんを関西ぼっち脱出させられると騒ぎながら抱き着いてくるのでよしよしと宥めてやれば既に吐息がソースとアルコール臭くて笑ってしまう。
「レッドハリケーンズお前飲み過ぎなんと違う?」
「ええやろ、ちったぁ浮かれさせてやりぃや。昨日の今日やしなァ」
ライナーズはいつもの笑顔よりも少し寂しそうに笑う。
(まったく、自分は昇格逃したくせに俺とレットハリケーンズの祝福先にしよって……)
たかだか1つ2つしか変わらない癖にこういう時だけは年上面してくるライナーズに今日はビールのひとつでも奢ってやろうと思って、ビールを頼もうと手を伸ばした。

・12月27日の話
「サンゴリアス、冷蔵庫パンパンじゃない?」
「クリスマスの残りですよ」
大掃除の手伝いを頼まれて空けた冷蔵庫に詰まったごちそうはすべて手作りのクリスマスディナーだという。
この量を全部作ったのだと思うとつくづく料理の上手い後輩だと実感して感嘆の声が漏れる。
「つくづくお前は料理上手だねえ」
「お酒に美味しい料理は必須なんで、どうせ年越しまでに食いきれないんでなんか持ってきます?」
「じゃあ後でいくつか持ってくわ」

・12月31日のおはなし
仕事も無事に収まり練習もない大晦日の夜更け、ぼんやりと除夜の鐘をききながらひとり年越しを待っていた。
(来年はワールドカップかあ)
待ち望んでいた祝祭がついに日本に来て静岡でも試合が繰り広げられると思うとワクワクする反面、長年指揮していた監督の退任とトップリーグ日程の大幅にずれ込むのは頭の痛い悩みでもある。
だけれど、きっと明るい一年になると信じて突き進むしかないのだ。
「……来年も頑張ろう」

・1月1日のおはなし
「グリーンロケッツ、あけましておめでとー」「明けましておめでとうございます」
スピアーズとシャイニングアークスがふわりと笑いながらうちに来たので「二人ともあけおめ~」と返す。
一緒に初詣に行こうという話をしたのは一昨日の夜、そしてふたりは約束通り車で我孫子まで迎えに来てくれたのである。
「そういや初詣ってどこ行くか決めたの?」
「うん、圏央道で香取神宮行って銚子でお寿司食べよーって」
「常磐道北上して筑波山に行きたいってスピアーズは言うんですけど、山の幸より海の幸の気分だったんですよね」
「アークスの意見なんだ、このミラクルセブンも海の幸に賛成!」
年の初めも腐れ縁の友人たちと過ごせるのは悪くない。いや、むしろ最高かもしれない。
「じゃ、海の幸に向かってレッツゴー!」

・1月4日の話
上手く食事が喉を通らずに無理やり流し込むと、はあと小さくため息が漏れた。
明日に控えた残留をかけた入れ替え戦のことばかりがずっと脳裏をよぎる冬の夜、外はちらちらと小雪舞う年明けすぐの北東北の景色が広がっている。
この5年ほどはずっと残留と降格の不安がよぎる己の弱さにはいつも自責の念のみがあった。
そのせいか、入れ替え戦が近づくとひどく神経質になってしまう自分がいた。
(せめてこの街と人を悲しませないことだけを、考えよう)
大丈夫、外の小雪も朝には止む。きっとこの街に勝利を呼べるはずだ。

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新年のご挨拶

新春あけましておめでとうございます!


結城「なんかえらく派手な始まりかたしましたね」
釜石「中の人の趣味だからなあ」
スティーラーズ「お正月っぽさ全開やなぁ(ほのぼの)」
結城「そういう事なんですかね?あ、そういえば今年も中の人からの手紙ありますよ」
釜石「おお、そうか」
結城「私の方で代読させていただきますね。
『サイトをいつも見て頂いてる皆様、あけましておめでとうございます。昨年はラグビーと製鉄メインで土地組の更新がほぼ無いという状態になってしまい……』いやこれはホントそうですよ、私と小山さんのラブコメメインのサイトだったはずなのに今もう製鉄とラグビーメインじゃないですか!中の人とは10年近い付き合いなのに酷いですよね?!」
釜石「いやわしに言われても……」
スティーラーズ「俺も以下同文やね」
結城「……そうですか。続き読みますね。
『土地組の更新がほぼ無いという状態になってしまい誠に申し訳ありませんでした。しかし、2019年はラグビーワールドカップ日本開催なので、製鉄とラグビー多めでお届けすることになるかと思います。結城さんほんとごめん。』……いや、茨城国体は?!今年いきいき茨城ゆめ国体ですよ?!そっち忘れてません?!」
釜石「そうか、今年の国体は茨城か」
スティーラーズ「ラグビーは水戸やったかな」
結城「ちなみに結城市では少年女子6人制バレーボールが開催予定です!……手紙の続き戻りますか。
『とにかく、そんな感じでゆるゆるぐだぐだ更新していく予定です。頑張って中の人も生き延びるので今年もよろしくお願いいたします。』だそうです」
釜石「わしも頑張って生き延びたいな……(遠い目)」
スティーラーズ「いや歩く世界遺産が何言うてはるんですか。俺も2021年以降も生き延びたいなあ……(遠い目)」
結城「何で死ぬ前提なんですかこの二人。とにかく、2019年もよろしくお願いいたします!」



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年越しそばとふたりのこと

今年は特別ですから、という職員の気遣いで仕事を早めに切り上げて家に戻ると「お帰り」と周南が笑顔で出迎えてくれた。
「ただいま」
周南が仕事納めの後にうちへきてくれるのは毎年恒例だが、今年は平成最後の年越しであり日新製鋼と言う名で過ごす最後の年越しである。
だからかほんの少しいつもと気分が違うように思えた。
「お風呂沸かしてあるから温まっておいで、その間に年越しそば仕上げとくから」
年の瀬の多忙さで出来なくなりがちな家のことを代わりにこなしてくれる周南に心からの「助かります」を告げると「いいんだよ」と返してくる。
(……周南には助けられてばかりだな)
ちゃんと大切にしてあげたいといつも思うけれど、助けられてばかりでこういう時は自分の至らなさを思い知る。
風呂で体を清めて茶の間に戻るとそこには大きなかき揚げの乗ったそばがどんと鎮座していた。
「周南、今年もありがとう」
「どういたしまして。そば早く食べよう」
いただきますと年越しそばに手を合わせながら、今年も二人でいられた幸福を祝うのだ。



年の瀬の呉周南

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ケーキとワインとクリスマス

「という訳でワインとケーキ持って来たんで一緒に食べましょうか」
それはそれは実にいい笑顔で結城さんがやってきたのは、クリスマスイブの夕方の事であった。
「……この年末の忙しい時期によく来れますね」
「時間は捻出するものですよ」
大きな風呂敷包みが実に重そうだし、何よりこの人の手料理が美味しいことは長い付き合いで十二分に知っているからそれを捨てるのはもったいないという精神で結局家にあげてしまう。
重箱に詰め込んだクリスマスのオードブルに、ブッシュドノエル、足利の某有名ワイナリーのハーフボトルワインが2本。
「二人分にしちゃ多い気がするんですけど」
「残ったら冷凍して食べれば年明けまで持ちますから」
実に楽しそうにワインをグラスに注ぎいれるので、なんかもうすべてがどうでも良くなってワイングラスを受け取った。


「メリークリスマス、私の最愛の人」
「……こちらこそメリークリスマス」


最近ずっと製鉄とラグビーで忙しくて久しぶりの結城小山です。

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