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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ナイトキャップ

このところずっと体がだるい。
(……駄目だな、頭がさえて寝付けないや)
やれやれと言う心地で重い体を起こして台所に立つ。
人間だったら風邪薬ひとつで治るものも、今も続いている高炉の不調が治らないことにはこのだるさが治らないことを知っている。
マグカップにミルクを軽く注いでレンジに1分。
窓の外には今も動き続ける製鉄所の光と暗い夜更けの海が見えている。
チンと音を立てたレンジからホットミルクを取り出して、はちみつ風味のウィスキーを垂らしてかき混ぜる。
窓の外の景色を眺めようと床にひざ掛けを敷いて腰を下ろした。
まるで心臓のように夜深いこの時間も未だ動くこの場所は俺の一部なのだ。
だからこの場所に支障が起きればこの身体は支障を来す。それはとても不便だけれど、俺はここに働く人々を信じて見守り続ける他ない。
冷えていた指先がミルクのお陰で少しだけ温まってきたのが分かる。
ここで働くみんなが高炉を直せば、俺もこの不調が治る。それまでの辛抱なのだ。



マグカップいっぱいのナイトキャップが空になったらきょうはゆっくり眠れるだろう。


千葉が寝酒する話。高炉の不調と言う話を聞いたらこれしか思いつかなんだ。

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パンプキンパイでお茶を

久しぶりに三人でお茶しましょう、という誘いのメールを貰ったので老舗洋菓子店の焼き菓子詰め合わせを片手に姐さんの元を訪ねることにした。
「こんにちわ、加古川の姐さん」
「お久しぶり」
「神戸の姐さんは?」
「オーブンとにらめっこしてる、紅茶淹れるから中入って」
「せやったら俺お菓子持って来ぉへんでもよかったな?」
「大丈夫、わたしと姉さんで食べるから」
加古川さんが慣れた手つきで紅茶を淹れてくる。秋摘みのダージリンがティーカップいっぱいに注がれるので、それを受け取ってありがたく頂戴する。
(……ええ茶葉やな)
「今日は俺の優勝祝いですのん?」
「そうみたい」
苦笑い気味に加古川の姐さんが告げてきたので、今日は完全にもてなされる側らしいと分かった。
自分で買って来た焼き菓子を二人でつまんでいると台所から何かの焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
「加古川、ドアを開けてちょうだい」
「姉さん出来たんですね」
「ええ、そうよ」
加古川さんがドアを開けると同時に出てきたのはパイを運ぶ神戸の姐さんだった。
焼きたての香ばしい匂いが紅茶の香りの混ざり合ってここちよく、お腹のすく匂いになってきた。
「今日は冬至でしょう?だからカボチャのパイにしたの」
「姐さんの手作り菓子なんて久し振りですねぇ」
「そうかも知れないわね、来年優勝したらまた作ってあげてもいいわよ?」
「ほんなら頑張ります」
パンプキンパイを皿に盛りながら姐さんが笑うので、今年は頑張ったとつくづく思うのだ。





スティーラーズさんと神戸さんと加古川さん。パンプキンパイ食べたい。

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ファイト!

Twitterでお世話になっているヰマチさん(https://raiot.net/imachiwhisky)宅のお子さんをお借りしてのお話。



試合後、ロッカールームに迎えに行くと息子は「ごめん、」と呟いた。
せっかく忙しい合間を縫って見に来てくれたのにと言う意味なのだろうというという事はすぐに分かった。
「……阿呆、よー頑張ったわ」
ラグビーという競技的な性質を引き継いでか縦にも横にも大きくなった息子は、泣くのを我慢しているようにも見えたのでぎゅっと抱きしめてやる。
ぽんぽんと背中を撫でてやるとじわりと肩に湿り気を感じた。
(こういうとこはそっくりやなあ)
今日一緒に見ていたニッカは似ていないと評していたが、負けず嫌いで商売上手なところは実にそっくりだともう。
ぶぶぶと携帯のバイブが鳴り、確認してみると上の息子にあたるサントリーサンバーズからの勝利報告だった。
(申し訳ないけど、サンバースの事は後回しやな)
今日はこの子をちゃんと慰めてやりたい。
「サンゴリアス、これから焼肉行こか」
「やきにく」
半泣きの癖に焼肉には反応するのが妙に現金でおかしい。まあ、息子やもんな。
「おう、今夜はわてのおごりでええ肉食いに行こ。お前さんの好きなビールも好きなだけ飲んでええ。腹いっぱい食ってすっきりしたら、いっぱい練習して新元号初の優勝掴んだれ」
「……ん」
そうと決まったら肉を腹いっぱい食わせてやらねばなるまい。
そうして、携帯で秩父宮から府中までの間にある良さげな焼き肉屋をピックアップし始めるのだった。

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このあとめちゃくちゃ焼肉食った

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ある土曜日の点描

・優勝の花束を空に(スティーラーズ)
「はー……」
祝勝会を抜け出すともう全ての気力を使い果たされてしまってベッドにぼすんと倒れ込んだ。
ほろ酔いの頭のなかにぐるぐると回っているのは『18年ぶり9度目の優勝』という言葉だけで、久しぶりの優勝の感覚がじわじわと指先を巡っているのが分かった。
昨年の苦境からは思いにもよらない状況に包まれている、そう思うと少しだけ泣きそうになる。
「生きてて良かったなあ、俺」

・転んで、走って、もう一度(サンゴリアス)
近年稀に見る完敗に心は今も薄暗く沈んでいる。
今回の試合は本当に自分の良さを出せなかった試合だったから、それでなおさらのような気がした。
日本選手権歴代最多失点ということばを今日のスコアと共に思い出し、それをごくりと飲み込んで脳裏に刻み付けた。
(……この敗北は忘れちゃいけない)
次こそは、勝つと決めたから。

・立てなかった彼らの話(ジュビロ+ヴェルブリッツ)
「今年は決勝、立ちたかったですねえ」
ジュビロがぽつりとつぶやきながら最後の酒を飲み干した。
「いつもそう思ってるだろう?」
「ええ。でも今年、うちの監督辞めちゃうんですよ」
「準決勝の後に新聞で読んだ」
「僕はその前から知ってましたからね、サドンデスでミスした時そのことが頭をよぎったんです」
「そうか、でも監督がいなくなっても名選手が引退してもチームは続いていくんだ」
俺たちはきっとこれからも何度だって優勝の二文字に手を伸ばす。

・空に吸われるボールの行方(ワイルドナイツ)
今年もあの舞台に立つつもりでずっとボールを追いかけていたのに、実際に辿り着いたのは全く違う場所だった。
地面に置いた楕円球の下側を蹴り上げるように飛ばせば、ボールは美しい放物線を描いて吸い込まれていく。
(何人でも抜き去って、何度でもボールをゲインして、何本でも正確にゴールを決めて、来年はあの場所に君と立ちたいのだ)

・走れ!(スピアーズ+ブラックラムズ)
「リーグ戦も終焉か、寂しくなるな」
試合後の飲み会でブラックラムズが寿司を口にしながらぽつりとそう呟いた。
「何言ってるの?まだカップ戦があるじゃない」
「嗚呼、すっかり忘れていたな
「リーグ戦の優勝は取れなかったけど、おれカップ戦は勝つよ」
「自信満々だな」
「だって今、おれカップ戦じゃ勝ち点で1位取ってるもん。少しぐらい自信持っても良いでしょ?」
日本選手権は終わったけれど、まだラグビーの季節が終わった訳じゃない。
全力で駆け抜けていれば、きっとその先に勝利はあると思うのだ。

・九州コンビの夜(レッドスパークス+ブルース)
シャトルズたちと別れ帰りの新幹線ホームで二人きりで行うささやかな二次会の隙間に、入れ替え戦の組み合わせを確認して小さくため息を吐いた。
「今年も入れ替え戦デスネー……」
「仕方なか、おいたちが弱かことが悪かろう?」
淡々とした口ぶりでそう告げるこの子の強さにしみじみ恐れ入ってしまう。
駅のホームで飲み干したワンカップのグラスをごみをまとめた袋に入れると冬の風がふわりとそよいだ。
「でも、おいはずっとこの舞台におりたかっち思う」
「エエ」
「……入れ替え戦、おいは勝つ。勝って、トップリーグば残って先輩が上がってくるのを待ちたかっち思う」
「奇遇ですネ、ワタシもですヨ」
コーラ味の缶チューハイを手渡すとブルースが薄く微笑んだ。
「次の勝利ば誓って乾杯じゃな」
「そうですネ」
缶チューハイで小さく乾杯すると、まだ見ぬ残留の味がすうっと喉を通って行った。



日本選手権とリーグ戦の結果を踏まえてのお話

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二階堂さんからのいただきもの

二階堂さん@Kazuha_Nikaidoから頂きました


えっ……ネキそんな顔するの……?!と全私がざわついた夢絵(?)でした。見返してもやべえな。

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