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コーギーとお昼寝

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クリスマスソング

まだ11月のはずなのに早くもクリスマスと正月の話をし始める気の早い街並みを歩きながら、ガシガシと頭をかく。
仕事で東京に出張に来たら同じ製鉄所なんだしいいだろと予算の都合で和歌山と海南と同じ部屋に突っ込まれ、居心地の悪い部屋を出て行ったはいいが気の早いクリスマスイルミネーションの下で一人というのもやはり浮いている気がした。
どっかで酒でも飲んで一晩やり過ごしたいが土地勘のない東京では動きようもなく、結局当てもなくふらふらと歩くしかなかった。
「うげ」
「……君津かいな」
イルミネーションの青い光を反射した金髪は昼間会った時よりも随分と切り落とされてさっぱりした君津の彼女と同じ色の瞳には驚きの色が浮かんでいた。
好きでも無いが嫌いでもない、しかし彼女の名残りを探したくなる。君津とはそういう男だった。
「なんでこんなとこに……」
「別にええやろ、というかそっちこそなんで」
「髪切ってもらってた、練習台になるとタダで切ってもらえんだよ」
「ふうん、なら金余っとんのやろ?今晩飲ませてぇや」
「断る」
「なんでぇ」
「……あんたの俺から別人を見ようとする目は嫌いだ」
それに奢る義理ねえし、と君津は言い切る。
やっぱり、この男は彼女じゃない。
彼女の残り香を帯びながらも違う存在だ。
「あと、この先の3つ目の信号右折して100メートルんとこに安くてうまいバルがあっからそこで飲んでろ。酔いつぶれたら泊めてくれるし」
そう言ってさっさとどっかへ行く君津の背中を見送る。
……ああくそ、今ちょっとグッと来た。




君津と堺のめんどくさい関係が好きです。堺の言う「彼女」についてはおいおい。

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