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コーギーとお昼寝

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丸の内コズミック

東京駅を出てすぐに広がる丸の内。
企業のオフィスが立ち並ぶ整然とした街並みは、整いすぎて嫌になるときがある。
「さっむ……」
久しぶりの東京がこんなに寒いとは思わず、小さく背中が震える。
薄手のコートを持ってくるべきだったと後悔してももう遅い。行きがけに温かいコーヒーでも買っていこうかと考えていると「八幡?」と声をかけられる。
「釜石、久しぶりですね」
「久しぶりの本社集合だからな」
コートなしで春ものの布で仕立てた着物に身を包んだ釜石はあまり寒く感じないようだった。
室蘭もそうだが北国育ちの釜石はわりあい寒さに強いほうなのであまり気にならないようだった。
「寒いのか」
「風が思ったより冷たくて」
「ほれ、懐炉使っていいぞ」
そう告げると懐から使い捨て懐炉が出てきて、こちらに手渡される。
「すいません」
「いいさ、新幹線の中じゃ暑くて持て余してたくらいだ」
初春の東京は寒の戻りなのか冷たく乾いた風がビルの隙間をびゅうびゅうと通り抜けていく。
まだ富士製鉄と八幡製鉄だったころは、冷たい風に吹かれながら二人で御幸通りを歩きながら途中で必ず別れることになった。
丸の内のまっすぐな道は遠くまで見渡すことが出来て、釜石が歩いていく背中をずっと見ていると冷たいビル風が体の芯までしみるのだ。
「にしても丸の内も変わったよなあ、買い物できる店がずいぶん増えたろう」
「温泉も出来ましたしね」
今はこうして並んで本社まで行くことが出来る。
どれだけ話していても道がまっすぐなので迷子になることが無い。
「まあ、一番変わったのは私があなたと一緒にこうやって通勤できるようになったことですけど」
「そうだな」


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オチのない八幡釜石

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