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コーギーとお昼寝

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花になんて頼るなら

せっかく東京まで来たのだし、と思い立って総武線に飛び乗って君津に来てみた。
「やあ」
「大阪に帰れ」
「一番最初にいう事がそれ言うんは酷いなあ、俺かて東京本社に呼び出された帰りなんやで?」
君津の手元には小さな小包の箱。
ちらりと見えたあて名は北九州となっていてああそういう事かと悟る。
「八幡さんに贈りもん?」
「うるさい」
「八幡さんは釜石さんに薔薇100本送ったって」
「は?!」
「今日東京本社行ったら釜石さんおってなー、愚痴られたわ。ぶっ飛んどるよなーあの人。一緒になるためなら犠牲も喧嘩も厭わん辺り怖いわあ」
それこそ資産価値の低い釜石と一緒になるために国に喧嘩を売り、自分の一部とも言える施設を外し、周囲の(主に君津)反対を押し切って一緒になったのだ。
あの人は昔からそういう人だ。それはきっと君津が一番よく知っているはずだ。
君津の顔がひどくゆがむ。
「なあ、それ俺にくれへん?」
「何が悲しくてあんたに……」
「俺なら八幡さんなんかより大切にすんで?」
「八幡製鉄時代生まれとは思えない発言だな」
別に軽んじている訳じゃない、君津のように妄信的になれないだけだ。そう反論してもきっと届くことは無いだろう。
理由は単純。君津にとって八幡は世界の中心で彼の正義で彼が愛されたいと願う唯一の存在だからだ。
ただ八幡は君津が八幡に向けるのと同じ量の愛を向けてくれない。そこには不平等な感情のやり取りがあるだけだ。
釜石に対して奇行めいた好意を向けるしかできないこの感情の不均衡を理解していない八幡と君津とが結ばれるはずがないのだ。なら諦めて自分に落ちてくればいい。
四日市の名残りが欲しいだけならわざわざ会いに来るはずがないのだ。
「好きやで、君津」
花言葉なんてものに頼らなくたって簡単に愛は伝えられる。




ぴくぶらに投げたお話その3。
全部分かってる

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