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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ある土曜日の点描

・優勝の花束を空に(スティーラーズ)
「はー……」
祝勝会を抜け出すともう全ての気力を使い果たされてしまってベッドにぼすんと倒れ込んだ。
ほろ酔いの頭のなかにぐるぐると回っているのは『18年ぶり9度目の優勝』という言葉だけで、久しぶりの優勝の感覚がじわじわと指先を巡っているのが分かった。
昨年の苦境からは思いにもよらない状況に包まれている、そう思うと少しだけ泣きそうになる。
「生きてて良かったなあ、俺」

・転んで、走って、もう一度(サンゴリアス)
近年稀に見る完敗に心は今も薄暗く沈んでいる。
今回の試合は本当に自分の良さを出せなかった試合だったから、それでなおさらのような気がした。
日本選手権歴代最多失点ということばを今日のスコアと共に思い出し、それをごくりと飲み込んで脳裏に刻み付けた。
(……この敗北は忘れちゃいけない)
次こそは、勝つと決めたから。

・立てなかった彼らの話(ジュビロ+ヴェルブリッツ)
「今年は決勝、立ちたかったですねえ」
ジュビロがぽつりとつぶやきながら最後の酒を飲み干した。
「いつもそう思ってるだろう?」
「ええ。でも今年、うちの監督辞めちゃうんですよ」
「準決勝の後に新聞で読んだ」
「僕はその前から知ってましたからね、サドンデスでミスした時そのことが頭をよぎったんです」
「そうか、でも監督がいなくなっても名選手が引退してもチームは続いていくんだ」
俺たちはきっとこれからも何度だって優勝の二文字に手を伸ばす。

・空に吸われるボールの行方(ワイルドナイツ)
今年もあの舞台に立つつもりでずっとボールを追いかけていたのに、実際に辿り着いたのは全く違う場所だった。
地面に置いた楕円球の下側を蹴り上げるように飛ばせば、ボールは美しい放物線を描いて吸い込まれていく。
(何人でも抜き去って、何度でもボールをゲインして、何本でも正確にゴールを決めて、来年はあの場所に君と立ちたいのだ)

・走れ!(スピアーズ+ブラックラムズ)
「リーグ戦も終焉か、寂しくなるな」
試合後の飲み会でブラックラムズが寿司を口にしながらぽつりとそう呟いた。
「何言ってるの?まだカップ戦があるじゃない」
「嗚呼、すっかり忘れていたな
「リーグ戦の優勝は取れなかったけど、おれカップ戦は勝つよ」
「自信満々だな」
「だって今、おれカップ戦じゃ勝ち点で1位取ってるもん。少しぐらい自信持っても良いでしょ?」
日本選手権は終わったけれど、まだラグビーの季節が終わった訳じゃない。
全力で駆け抜けていれば、きっとその先に勝利はあると思うのだ。

・九州コンビの夜(レッドスパークス+ブルース)
シャトルズたちと別れ帰りの新幹線ホームで二人きりで行うささやかな二次会の隙間に、入れ替え戦の組み合わせを確認して小さくため息を吐いた。
「今年も入れ替え戦デスネー……」
「仕方なか、おいたちが弱かことが悪かろう?」
淡々とした口ぶりでそう告げるこの子の強さにしみじみ恐れ入ってしまう。
駅のホームで飲み干したワンカップのグラスをごみをまとめた袋に入れると冬の風がふわりとそよいだ。
「でも、おいはずっとこの舞台におりたかっち思う」
「エエ」
「……入れ替え戦、おいは勝つ。勝って、トップリーグば残って先輩が上がってくるのを待ちたかっち思う」
「奇遇ですネ、ワタシもですヨ」
コーラ味の缶チューハイを手渡すとブルースが薄く微笑んだ。
「次の勝利ば誓って乾杯じゃな」
「そうですネ」
缶チューハイで小さく乾杯すると、まだ見ぬ残留の味がすうっと喉を通って行った。



日本選手権とリーグ戦の結果を踏まえてのお話

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