忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

家族の風景

短いお話の詰め合わせです



1:釜石シーウェイブスの場合
兄の眼はいつも前を見ていた。
白球を真っすぐ遠くに打ち返すこと以外ほとんど考えてなくて、仕事よりも野球のことだけを考えていた。
「あいつは天才だからなあ」
そう言って仕事しないことを容認していたのがうらやましかった。
だから数千倍努力していつか見返してやろう。そんな風に走っていた時代がいつかの俺にもあったのだと、たまに思い出す。
---
天才と努力家

2:NECグリーンロケッツの場合
たくさんの兄弟と雑魚寝した夜のことは、今でも鮮明に思い出せる。
同じ顔の色違いなんてからかわれていたけれどそれがあまり不愉快には思えなくて、適当に怒鳴り返したこともあったっけ。
今ではここに住むのは赤い姉と自分の2人ぽっちだ。
(またいつか、みんなでギャースカ言いながら雑魚寝したいよねえ)
---
喪われた風景

3:東芝ブレイブルーパスの場合
「あの人は俺のことなんて心底どうでもいいんだろうな」
久し振りに会った兄弟はどこか恨めし気にそう呟いた。
「でもちゃんと面倒見てくれる人がもう見つかってるんだからいいだろう?」
「まあな、でも最後ぐらいちゃんと別れの言葉を言って欲しかっただけだ」
---
彼の遺言

4:近鉄ライナーズの場合
今でもどんな顔をすべきか分からないでいる相手がいる。
野球のニュースをぼんやり眺めながら、どうもあいつは元気らしいと安心してテレビを切る。
(べっつに俺が悪い訳やないんやけどなあ)
生き別れた弟のあの最後の顔が、今も脳裏に焼き付いたままだ。
---
忘れ得ぬ人へ

拍手

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

バーコード

カウンター

忍者アナライズ