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コーギーとお昼寝

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苦い福豆

終わってから「やっぱりああするべきだったのかなあ」悔いてしまう。
クロスボーダーマッチの結果がひどく心に重くのしかかったまま最寄駅で降りると、携帯電話が着信を知らせてきた。
『もしもし?サンゴリアス今どこ?』
「京王府中だけど」
『じゃあ大国魂神社まで来れる?お前の分の福豆もらったんだよ。ほら、今日節分だからさ』
そう言われて初めて節分のことを思い出した俺は「わかった」と答えて電話を切る。
なんとなく重い足取りで呼ばれた通り大国魂神社へと足を伸ばすと、冬物のコートを着込んだ先輩が「暗い顔してるな」と声をかけてきた。
「試合見たんなら分かるでしょ」
「まあな、スタメンの時点で少し手を抜いたなって感じはしたし案の定というか」
「リーグ戦のこともあるからあんまり本気出し過ぎるのもなって思ってああしたけど、やっぱ負けると悔しくてさ」
まして今回俺の応援に来てくれた人達は本当に多く、その期待を裏切ってしまったような後悔が口の中で残っているのだ。
「やっぱり俺もちゃんとベスト揃えて本気で勝ちに行くべきだったかなぁって」
実際ワイルドナイツはかなり本気で勝ちに来ているし、あれを見てると妙な後悔と申し訳なさが少しだけあった。
「でもそれはお前が決めたんだろ。勝っても負けても、悔いても悔いなくても、それを選んだのはお前なんだからお前の責任だと思うよ」
「……うん」
「まあ俺もサンゴリアスと同じ立場だったら完全ベストで揃えられるかって言われると自信はないけどさ、それでも自分で選んだことだから仕方ないだろ」
先輩は慰めるように言って俺の手を取って連れてこられたのは大国魂神社の本殿、賽銭箱の前のお祈りスペースだった。
「その悔いを神様に洗いざらいぶちまけて、次を向いとけ。それを引きずったまま次の試合出られたら相手に失礼だろ」
先輩はもしかしかして最初からそのつもりで俺を大国魂神社まで連れてきたのだろうか?
「……うん。お賽銭ないけどいいかな」
「良いんじゃないか?」
手を合わせて思いの丈を吐き出す。
ここにいないはずの神様が聞いてくれるような気がして、ほんの少し気が晴れた。
「あとこれ、お前の分の福豆」
お参りの後先輩は袋入り大豆を俺に渡してくる。
袋には大国魂神社の名前が印字されておりほんとに福豆だと分かる。
「たぶんこれで足りるよな」
「うん、ありがとうね」
今日はこの苦い豆を噛み締めながら反省会だ。
次はもっと本気で頑張らなくちゃ、俺はみんなの前に立てなくなってしまうから。


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サンゴリアスとブレイブルーパス。
クロスボーダーマッチと節分のお話でした。

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