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コーギーとお昼寝

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とんかつと車券

「っしゃ!」
喫煙所の前を通りかかると小倉さんが声をあげているのが聞こえ、思わず中を確認するとスマホを手に拳を握りしめていた。
何があったのかと思った瞬間にふと目があって「通りがかりに声がしたので」と言い訳をすると「戸畑、お前昼飯食ったか?」と聞いてくる。
「いえ……これから上がりですけど」
「じゃあちょうどいいな、飯食いに行こう」
「良いですけど給料日前ですよね?」
私達は人間では無いが基本的な待遇は社員と同等なので給料はしっかり出るし、生活費は出ない。
納税義務が無いので実際の手取りは社員より多めとはいえ何かと値上がりのこのご時世ではお金は足早に消えていき、給料日前だというのに奢って貰うのは少々気が引ける。
「さっき小倉競輪の車券が当たってな、100円が5000円になった」
当選結果の画面を見せびらかしながらご機嫌な様子でそう言うので本当に問題はなさそうだ。
「なら有り難く」

***

トンカツ屋に行くのは久しぶりだった。
『トンカツをいつでも食えるくらいがそれが偉すぎず貧しすぎないちょうどいい状態だ』と誰かが言っていたが実際はそうもいかず、何かと多忙な暮らしの中では時間のかかる揚げ物を食べに行く余裕は意外となかった。
「そういえば、小倉さんには何かと悪い遊びばかり教わった気がしますね」
「悪い遊びってなんだよ……」
「賭け事の楽しみや昼酒の良さですかね」
子どもだった私が八幡さんの横に立てるような存在になりたいと頑張っていた時、小倉さんはたまにご飯を奢ってくれたり遊びを教えてくれた。
職員達がやっていた賭け事のことや酒とタバコをいかに嗜みかたなど八幡さんは絶対に教えたりしなかったし、逆に教わってたから自分からやりたいとそこまで思わなかったのかもしれない。
「悪いおっさんみたいに言いよって」
小倉さんが困ったようにぼやいていると、お店の人が注文の品を持ってくる。
「お先に瓶ビールとコーラお持ちしました」
「あ、ビール私です」
瓶ビールとグラスを受け取ると早速一杯飲んでみると仕事終わりの身体にじんわり染み込んできてしみじみ美味い。
「ったく、遠慮しないな」
そうぼやきながら瓶コーラをちびりと飲むので「小倉さんも飲めば良いじゃ無いですか」などと揶揄ってみる。
「午後から高炉の仕事だから呑んだ状態で入ったら怒られんだろうが」
「それは確かに」
どうしようもない雑談をしながらビールを飲み、のんびりとカツがあがるのを待つ。
こんなのんびりした日もまた必要なんだろう。


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戸畑と小倉のしょうもない話。

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