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コーギーとお昼寝

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もらいもの

「合宿の間、お世話になります」
シーウェイブスから深々としたお辞儀とともにお菓子を貰った。
(世話ったってうちで管理してるグラウンド貸すだけなんだけどな……)
かといって断る理由もないのでとりあえず受け取っておくと、1人分にしてはいささか量が多めに見える。
「ありがとう……でもこれ、多くないか?」
「かずさマジックの分もと思って少し多めに用意しておいたので」
「あー、でもあいつ今大阪なんだよな」
「大阪?」
「社会人野球の日本選手権、だからグラウンド貸せたってのもあるんだけどさ」
完全にそのことが頭に無かったらしいシーウェイブスは「あー」と納得した声をあげる。
いま釜石のとこには野球部いないから頭から抜け落ちてたんだろうなあと察すると「ちゃんと帰ってきたら渡しとくよ」と付け足しておく。
「じゃあ、よろしくお願いします」

****

そんな話をして一週間ちょっとで、かずさが帰ってきた。
「と言う訳で無事帰ってきました」
「うん、お疲れ」
かずさとしても二回戦敗退と言う結果は色々思うところがあったのか、口数は少なめだ。
自分の家に荷物を置かず直接うちに来たらしいかずさを家にあげる。
「飯食った?」
「いちおう食べたんで大丈夫です」
俺の布団にのそっと横たわりながら大丈夫と言われても全然信ぴょう性がない。
(慰められたい気分なのか?でもあいつの試合ちゃんと見れてねえんだよなあ)
今日はちょっとバタついてて試合中継を見られずにいたら負けていた感じなので、慰める文句が出てこない。
そんなことを考えていると、ふとシーウェイブスからのもらい物の事を思い出す。
「かずさ、お菓子食うか?お茶もお前の好きな奴淹れてやる」
「……ラプサンスーチョンで」
「ラプサンスーチョンな、ミルクは?」
「アリで」
ラプサンスーチョンは燻製香が強くて割と好き嫌いの分かれるお茶だけど、俺は時々あのスモーク感が欲しくなるから買い置きしてある。
いつものようにお湯を沸かして濃い目に抽出したものをミルクで割れば完成である。
ミルクティーとシーウェイブスから貰ったお菓子を目前に差し出すと、のそりと起き上がってお茶を受け取る。
楕円形のホワイトチョコ的なものがかかった焼き菓子をパクリとかじり、熱いミルクティーをちびりと飲む。
中から出てくる白あんの甘さと生地のしっとりした感じが妙にミルクティーによく合う。
「……勝負は時の運とはいえ、負けるのはいつも新鮮に悔しいんですよねえ」
「勝負が仕事だからな」
ちびちびと焼き菓子を食らえばその悔しさも多少薄れてくれるだろう。
(まあ新鮮に悔しがれなくちゃ勝利に貪欲になれないのかもしれねえけどなあ)
そんな思いを抱きつつぼんやりと焼き菓子をかじる夕べは静かに更けていった。



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君津とシーウェイブスとかずさマジック。
今回の君津合宿で使ったのが親会社のツテらしいと小耳にはさんだので考えてたネタでした。
作中のお土産はラガーボールです。

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