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コーギーとお昼寝

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戻り梅雨の陰鬱

夏が来たと思ったら急に梅雨の天気に戻ったせいか、どうにもぼんやりとした不具合を感じる。
報告書を一文書いては消してばかりで全く仕事がはかどらない。
東京がいたらぼうっとするなと怒られそうだがいない奴の事を考えても仕方ない。
「君津ー、元気?」
「……急に来るなよ」
後ろからフラッと現れた鹿島に思わずため息が漏れた。
「えー、俺LINEしたでしょ?既読もついてたし」
スマホを確認してみると確かに遊びに行くというLINEに既読がついている。
「あー、悪いちゃんと読んでなかった」
「いきなり天気悪くなったもんねえ」
空いた事務椅子に腰を下ろした鹿島に「お前こそいいのか?」と聞いてしまう。
「俺は大丈夫、至って順調だから職員さんも文句言わないで送り出してくれたよ」
どこか能天気な鹿島の笑顔が今はちょっと快く思える。
やっぱり今日の俺は疲れてるんだろうか。
鹿島が近くにいた職員呼び止めると俺の腕を引っ掴んで突然口を開く。
「ちょっと君津借りてくんで所長さんに伝言しといてください」
日本人離れした美しい相貌を生かしたビジネススマイルには有無を言わさぬものがあり、職員もうんうんと頷くのを見ると鹿島は俺のほうを見た。
「行こう」
そう言って引きずられるがままにうちに帰らされると、そのまま布団に放り込まれる。
クーラーをつけてカーテンも閉め、いつだったか鹿島が持って来た古い家庭用プラネタリウムをつける。
「……なんだよ」
「だっていかにも疲れたような顔してるから」
「東京みたいなこと言うな」
「たまにはね」
そう言って何の遠慮もなく「おやすみなさい」と目を閉じた。
天井に浮かぶ星空を見上げながらほうっと息を吐く。
人口の夜空は今も昔も変わらずに瞬いていて、この部屋の外に溜まる梅雨の空気も憂鬱な報告書も今だけは置いておけと言われてるようだった。


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君津と鹿島

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