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コーギーとお昼寝

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灯篭ながしの夕べ

勤行川の上にぷかぷかとロウソクをともした船が流れていく。
「きれいですね」
筑西がうっとりとした声でそう呟いた。
確かにこの景色は幻想的で、不思議な空気が漂っている。
「筑西、」
「はい?」
「……この灯りは死者を弔う灯りなんだぞ」
「ししゃをとむらう」
筑西はまだ分かってないという顔でこちらを見ていた。
別にそれが駄目だという訳でもないのだが、無垢であるという事は無知であるという事なのかもしれないと考えなおす。
「灯篭、ひとつだけ流しとくか」
「はい」
灯篭をちゃぷりと川の上に浮かべていく。
もう遠くへ去った仲間たちの顔が、ロウソクの明かりの下で浮かんでは消えていく。
2人でロウソクに手を合わせながらふとしたことが頭の隅に浮かんでいく。
(……俺ももうすぐ、向こう側へ逝くのだろう)
川の流れに押されるように灯篭は届かない場所へ静かに流れて行った。





筑西と下館。
下館の灯篭ながしの話を聞いてふと思いついた話。

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