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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

別に恨みはないのよ?

東京・大手町。
此処には日本最強の祟り神の首塚がある。
そう、新皇・平将門である。
そんなところにちょいちょい顔を出す不思議な人がいる。
白衣の若い男だ、名前を坂東市と言う。
「下妻さん」
「こんにちわ、坂東さん。こんなところで会うなんて奇遇ですね」
片手には近くで買ったらしいお饅頭。
たぶん、お供え物だろう。
「下妻さんこそなんで、です?」
「近くに来る機会があったのでちょっと足を延ばしたんですよ」
「あっ(納得)」
お供え物のお饅頭を置いて軽く手を合わせる。
そんな折だった。
「下妻と坂東だー」
「……石岡さ、ん?」
「そうだよー、石岡だよー?」
「石岡さんって将門平気でしたっけ……?」

「んー、嫌いなのパパさん(府中藩)だから俺は平気なのー。国香さん殺された恨みないもん。でもねー、首塚と岩井方面には定期的に塩撒けってパパさんが言ってたのー」

よく見ると石岡の手には塩である。
ああ、この人本気で塩撒いてるな。首塚に。
「……それむちゃくちゃ嫌われてるじゃないですか」
「パパさんの伝言だからー、坂東にも塩撒くー」
そして石岡がいい笑顔で坂東の頭に塩を振りかけた。
にっこにこである。とってもニコニコである。
きっちり坂東の白衣の襟元握りしめてあるから逃げられない。
下妻は思った。






(これ本気で嫌ってるパターンだろ……)

言い伝えって怖いな、心からそう思った下妻だった。



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たぶん正しい夏の過ごし方

夏。
この日の結城の家は大忙しでした。
「……熱中症で筑西が倒れるとか洒落になりませんよ」
「ソウデスネ」
「だいたい子供が倒れるまで遊ぶとか馬鹿ですか?笠間もなんでうちに連れてくるんだか」
「いや、なんか反射的に」
「反射で人を巻き込まないでください、はいかき氷」
かき氷を手渡してから軽く筑西の口に含ませる。
身体全体橋やしているとはいえど、梅雨明けの途端に連日猛暑という状況だ。
熱のこもりやすい子どもは体の中も冷やしておいたほうが良い。
「……しもだて」
「ちくせい起きた!?」
キャッキャと筑西の復活を喜び合う子どもたちを横目にかき氷を一口。
無色透明のシロップのかかったシンプルなかき氷の自然が甘さが美味しい。
「結城、」
「はい?」
「いい加減かき氷すい以外のも作ったほうが良いんじゃねーの?」
「下館、かき氷はすいが一番じゃないですか。余計な味や香料なんていりません。ねえ?」
「別に俺はどっちでもいいがな」
「100歩譲って抹茶の粉末だとか檸檬水を凍らせたかき氷は認めますけど手間を考えたら作りたくないです」
「なんでだよ!」
そんな、ちょっと蒸し暑い7月の午後のこと。





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SUMMERRRRRRRRRR!

ぱしゃん、ぱしゃん、と心地よい打ち水の音がする。
「暑いねぇ、数年ぶりに七夕が晴天って言うのは嬉しいけど」
「その暑さでじじばばが死んだりするけどな」
たらいに水を張って氷を入れ手足をつけると本当に気持ちがいい。
ついでにスイカも冷やしておくのはご愛嬌、というところだ。
「笠間、縁起でもない事言わないでよ。Яのところはただでさえ関東有数の猛暑地帯なんだから」
「熊谷に比べればましなんだろうけどな」
「あそこは暑さを売り物にしてるからねぇ」
ふと思い出す。
今日は七夕だ、七夕になると小山が毎年不機嫌になったり体調を崩したりする。
従って自称:運命共同体の結城が変な方向にでしゃばる。
「……結城と小山がちょっと心配になって来た」
「この暑さじゃあの二人もダウンしそうで怖いよなぁ」
まあそうだけど、そういうことを聞いている訳じゃない。
笠間の変なところにずれた答えは放置するとして、聞こうと思って聞けずにいた質問をぶつける。
「ところで、桜川は?」
「桜川は下舘に預けた、プール行くんだと」
「何か知らぬ間にずいぶん仲良くなったよねえ」
いつの間にか随分と仲良くなった組み合わせに軽いため息。
「でもさ、」
「うん?」
「消える事がほぼ確定した存在と仲良くなるのも、辛いものだよ。消えるときが寂しくなる」
「ま、そうだけどな。そろそろスイカも頃合か」





そして、茨城に夏が来る。


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雨の日、集会、夕ご飯

「なんか結城んち久々だな」
下舘のつぶやきは正しい。
最近、結城があまり人を家に招いていないのは事実だ。
今日は茨城県西にスポットを当てたフリーペーパー・にしもの創刊を祝っての集会だった。
「私の家に自由に出入りしていいのは小山さんだけですから、あと人んちの戸棚勝手に開けないでください」
「何気に小山の私物が戸棚一つ埋め尽くしてるとか完全にストーカーじゃねぇか」
ダメだこいつ末期だ。
分かっている公然の事実とはいえ、末期ぶりが加速している気がして溜息しか出ない。
「ストーカーじゃないですよ、裁縫頼まれたんで預かってるのといつでも泊りに来れるようにです」
「実際に小山が泊まりに来たことあるのか?」
「今年に入ってからはないですけど年1ぐらいでありますよ」
「置いとく必要まるで無ぇな」
とりあえず戸棚は見なかった事にしよう。そうしよう。

***

結城の家の広間には結構な人数が集まっていた。
下舘と筑西、桜川、下妻、古河、今日は珍しく境町と五霞と坂東もいる。
「なんか五霞がいるのがすげー違和感」
「同感だね」
「マヨネーズぶちまけますよ下舘」
「……落ち着け、だから幸手ににげ「それ以上言うと僕にも危害が加わるので勘弁して下さい」
堺のツッコミが五霞の一番触れてはいけないところに入りそうだったのを坂東をきっちり止める。
「オラ!到着遅れましタ」
「常そry
下妻がそう呼ぶ前に白いものと卵が空中を飛ぶ。
白い粉が部屋を覆っていた。口に広がるのは小麦粉の味。
「ブラジル式のお祝いデース!」
部屋中が卵と小麦粉まみれになる。



「……常総、あなた人んちで何してくれてるんですか?」


「だ、だっテ、今日はにし/も創刊のお祝イって」
「今すぐこの部屋を掃除しなさい」
日本刀片手に笑顔で怒る結城によって全員が部屋掃除をやらされ、に/しも創刊どころではなくなったのはまた別の話。


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結城紬と愛しさと

「結城さん、ちょっっとよろしいですか」
「どうかしましたか?」
「……結城紬は僕らの共有財産ですよね?」
髄分と真剣なまなざしでそんなことを聞くのでごく普通に答える。
「ええ、だってそういう約束ですし一部の工程は小山で行っていますしねえ」
「なのに何故あなたは結城紬の歌なんて作っちゃうんですか!」
「だって知名度上がらなきゃ意味ないでしょう?」
「そうですけど」
「大丈夫ですよ、いい曲に仕上がってますから」
そうやって微笑んでみる。
「……もうどうにでもなれ」
彼は何も言えないような顔をして静かにうなだれるだけだった。








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