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コーギーとお昼寝

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結局、君は何を望んでいたのか。

「・・・・・結城、さん」
僕は知っていたはずなのに。
水戸さんのことも、結城さんの思いも。
「大丈夫ですよ、私は。愛のひとつ断ったからと言って私の扱いを酷くする様な小さい男だと思えませんから。」
「そう、ですけど・・・・・・」
そして結城さんは、僕の部屋にあるベージュ色のソファーに横たわった。

結局、君は何を望んでいたのか。

「・・・・・・ここは。」
僕は何も言わずに二人分の焼きそば(たまたま多めに買っていた)を焼きながら静かに結城さんの紡ぐ言葉を聴いた。
「居心地のいい場所です。家も好きですが、それと引けをとらないほどに落ち着きます。」
焼きそばに粉ソースを絡めながらも、なお紡がれる言葉に耳を傾ける。
「私はどうしようもないんです。人生のネジがどこで狂ったかも分かりませんが、貴方を愛したことで何処かのネジが狂いましたよ。でも、こんな生き方も面白いと思いませんか?」
「どうしてですか?」
「だって、私が愛した物語たちにも化けそうじゃないですか。」
「そんなことを言われても困ります。僕は貴方に幸せになって欲しい。僕が狂わせた人生だと言っても、僕に与えられた運命は離れることを許さないんですから。」
焼きそばを皿に載せると、少々焦げてるようで焦げ臭い気がした。
「・・・・・・・なら、いっそ二人で幸せになってみますか?」

*                       *

二人で幸せになる。
それは『越県合併』のことだった。
不可能だと分かっているのに。
もう一人の隣人からの誘いを断って、彼は一途にも奔走して僕は切り捨ててしまった。
僕にそんな力は無い、利益も無い。
「・・・・・結局、貴方は何を望んでいたんですか?」
「分かりません。市民生活の向上か、あの人たちに嫌気が差したのか、それとも・・・・・・・貴方と幸せになることか。」
そういって、あの日と同じ少々焦げ臭い焼きそばを食べた。







                     おわり




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