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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

八幡さんちはあまりにもうるさい

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新日鐵住金になってから三人で食卓を囲むことが増えた。
私こと八幡製鉄所戸畑地区と、八幡地区、小倉地区の三人である。
大抵は仕事の話し合いも兼ねたランチである。
「……という事なのでお願いします」
「おう、それは分かったが……飯食いながらやる必要性あるんか?」
「そう言う機会じゃないと顔合わせてくれないので」
この中では年少の部類になる私であっても、この二人の仲の悪さは分かっている。
仕事でも必要以上に顔を合わせたくないと思っている男二人を同じ机に並ばせるのは至難の業であり、めんどくさいのでご飯と仕事というクッションは必要なものなのである。それに戸畑ちゃんぽんは美味い。
「戸畑、あなた結構効率重視ですよね」
「そうしないと何も進まないので。あと八幡さん一昨日渡した資料持ってきてくれましたよね?あれ小倉さんにも一応目を通してもらいたいので食後にでも渡してもらっていいですか」
「……わかりましたよ。今は大半の仕事あなたに押し付けてる身としては逆らいようがないですからね」
「お褒めに預かり光栄です」
「それ褒めてるんか?」
「褒め言葉に決まってるでしょうが」
現在、八幡製鉄所の仕事の大半は戸畑が中心となっているため基本的に製鉄所内の仕事は私の裁量で自由にやらせてもらうことが多い。
明治の御代から続く八幡の名を背負うこと自体は決して不愉快な事じゃない、責任ある仕事だ。
「ま、戸畑が気にしてねえなら別にええがのぅ」
小倉さんがポツリと案ずるような声色で呟いた。
「ごちそうさまでした。戸畑、皿はこのままで?」
「大丈夫です」
「書類はここに置いときますね、これから少し出かけてきます」
「わかりました」
そう言って書類の束を置いて部屋を出て行った八幡さんを見送る。
空になったどんぶりはいったん脇へとずらす。
「またちゃんぽんの汁残しよるな、あいつ」
「それはあの人の自由やけ、気にする事じゃないやろっち思いますがね」
「……お前さん、気ぃ抜けると北九弁に戻るんか」
「ですかね」
ちゃんぽんを汁まで平らげてから、ついでに買っておいた安納芋のモンブランと缶コーヒーに手を出す。
「お前さんぎょうさん食うなあ」
「それはどうも」




戸畑と八幡と小倉。

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冬の朝支度

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ここのところ、布団を被っていても寒いと感じる日が増えた。
「おはようございます、釜石」
「……なんでお前人の布団に」
「寒かったので」
当然のように布団に潜り込んでいた八幡の事はもう無視を決め込み、さっさと布団を出る。
というか八幡は仕事をしているのだろうか。もう年末まで2週間程度しかないぞ。
寝間着を脱いで発熱素材のシャツの上から紺の着物を着ていく。
「160亀甲の紺の着物と羽織……それ私が今年の鉄の日にプレゼントした奴ですよね?」
「ウールとか言ってたから試しに着たらあったかくて気に入ったんでな」
帯は白地に青の明るい角帯をさっと縛り、その上に羽織を着てフリースの足袋(これは此花がくれた)を履く。あとは外に出るときに内側に室蘭が箱で寄越してくれた張るホッカイロでも張れば結構何とかなってしまう。
「……来年もウールの着物にしますね」
「おう、でもお前隙あらば着るもん寄越すのは止めてくれると良いんだがな」
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冬の釜石

冬という季節は道産子にとって戦争である。
発熱素材の下着の上にパーカーと半袖、下はカーゴパンツの下に丈の長い靴下も履く。
これぐらい厳重にしないと屋外の寒さに耐えられないが、暖房の効き過ぎた室内や高炉周辺の暑さにも耐えられない。
此花なんかは道産子なら寒さに強いのだろうと言うけれど、僕はとにかく寒さが駄目なので防寒は早めにしておかねばならないのである。
天気予報によれば夕方から雪が降りだすらしい。
(今夜はカレーラーメンが良いなあ……)
兄に言ったら二人分作ってくれるだろうか?
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冬の室蘭

大阪は関西において特に温暖な地域であると言われている。
気温は氷点下を下回ることは少なく、盆地の京都に比べれば滅多に雪も降らない。
こうも寒いとさっさと部屋を暖めて朝ごはんを食うに限る。
暖房をつけてから着る毛布のまま(鹿島がプレゼントしてくれた)台所で湯を沸かし、パンをトースターに放り込み、テレビでざっとニュースを確認する。
「……スポーツニュースはどこもフロンターレ優勝だな」
アントラーズと地元のチームがイチオシの人間としては複雑な心境であるが、こればっかりはしょうがない。
部屋も温まってきたので、着る毛布とパジャマを脱ぐとつなぎの上に室内用の半纏を羽織る。
焼けたトーストにインスタントのスープが一杯。物足りなければ買い置きのお菓子でも食えばいい。
「いただきます」
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此花ネキの朝

「起きろ!」
「んぇ……」
布団を無遠慮に引っぺがしてきたのは君津だった。
やけ酒による二日酔いの朝だというのに残酷な行いである。
「朝飯と着替え準備しといてあるから起きろ」
「……きみつってさ、」
「うん?」
「たまにびっくりするほど新妻っぽいよね」
「お前があまりにも自活できないからな」
「俺はイケメンだから周りがほっとかないんだよ」
「子どもっぽいの間違いだろ」
渡されたのはいつもの作業着である。
アントラーズが優勝を逃そうが何だろうが仕事は仕事なのだ。世の中は残酷である。
本当なら君津とパブリックビューイング後に祝い酒をするはずが(千葉は密かに応援している黄色のお犬様がプレーオフ負けちゃったのでエンリョした)実際はやけ酒の二日酔いである。
アントラーズ本人が特に気落ちしていない(本人曰く『来年優勝すればいい』とのこと)のでそこはまあ救いかもしれない。
朝ごはん食べたらいつもの作業着の上にあのアントラーズのパディットジャケットを着ることにしよう。
(せめて、よく頑張ったって顔で迎えてあげなくちゃダメだもんね!)
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鹿島の朝



みんなの冬支度ばなし。

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【R18】愛はいつでも紙一重

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さあリスタート!

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「さっむ!」
爽やかな冬晴れの下にレッドハリケーンズの声が思い切り響いた。
12月上旬の東京は日差しこそ暖かいが風はひんやりと冷たい。
「この時期ならしゃあないんと違う?」
「寒い寒い騒ぐなら少し走ればいいのに」
「発想がゴリラやないかい!」
「三人とも凍えてなぞ居らずに最初から温まるものを飲めばいいだろう、熱燗とか」
そんなツッコミを入れてきたのは全身真っ黒の服に身を包んだブラックラムズである。
ついでに手元には紙コップが4つ乗せられた段ボールトレイもある。
「試合前に飲んだら酔うわ!」
「冗談だ、ホットコーヒーを買って来たから飲むがいい」
「赤いのがすいませんね」
「我は気にしておらぬぞ、元気な事はいいことだからな」
早速ホットコーヒーを受け取り、各ブースの賑わいをいつものように遠目から眺めて過ごす。
それぞれのサポーターが開幕前の時間を思い思いに過ごすのを見るのは心地の良い気分である。
「にしても、あのゴ〇ラの模型大人気ですよね……」
「まあ人気モンにはあやからんとな、一応プロスポーツやし」
「一応をつけねばならぬところが悲哀を感じるゆえんだな」
「コーヒーごっそさん、羊のおっちゃん」
「……羊のおっちゃんとはほめられた気がせぬ呼び方だな」
「せやかてそう言う名前やんか、今日は勝ち点貰ってくわ!」




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赤の青年は王冠を目指す

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「うちは結局無敗で来ちゃったわけだけど、どう思う?」
夕暮れの瑞穂グラウンド。
先ほど30点以上もの差をつけてシーズン前半戦無敗での勝利を挙げた彼に俺は何と言い返そうか、最初から決めていた。
「次は勝ちにいきますよ」
「……うん、俺お前ののそういうとこホント好きだな」
たとえ相手が上だろうと負けないというこころ、これだけはきっと失ってはいけない。
実力だけがこの競技の全てだから、次は勝てるように実力をあげていくだけだ。
「いちおう俺の方が一回り上のはずなんですけどね」
「芝生の上では誰でも対等だよ」
彼と次にやるまでにやれることはまだある。
勝ち点差8は決して小さな数字ではないけれど、リーグ初代覇者の王冠はまだ伸ばせば手の届く場所にあるのだからここで手を伸ばすのをやめるわけにはいかない。
「……何しとんじゃお前ら」
「あ、シーウェイブズ何してんの?」
「いや、帰ろうと思ったらスタッフの一人が小銭入れどっかに落としたみたいで探してたらお前らが青春してて立ち往生してた」
そうこうしていたら釜石のところのスタッフさんが探し物を始めてくる。
「なんか全然締まらないねえ」
「そう言うのは俺が逆転優勝してからですよ」
「やだなあ、優勝なんてさせてあげないに決まってるじゃん」
「じゃあうちは4位以内に入って入れ替え戦進出してトップリーグに戻ることだけ考えんとなぁ」






レッドドルフィンズとヒート。
TCLファーストステージ終わったので。

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