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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ねこと休日

半分猫屋敷のようになっている日立の家は冷暖房がしっかりしている。
理由は単純で、夏涼しく冬温かい環境にしないと猫の身体が耐えられないからである。
「……重いよ」
昼寝から目が覚めると、猫たちがわらわらと日立の傍にいた。
胸元のいいところ(?)に陣取る日製に顔の真横に陣取っているJX、そしてありとあらゆる隙間を黒い毛玉たちが多い尽くしている。
「いや、少し冷房が効きすぎてる気がして暖を取っていた」
「温度下げればいいのに」
「別にいいだろう」
確かに悪い気分ではないが、手のひらや足先に至るまで猫まみれというのは正直重い。
しかし日製はそう悪い気分でもないらしく満足げである。
(……まあ、いいか)
冷房の温度は猫たちが目覚めてからでいい。




日製猫と日立さん。
もふもふネタが書きたくなったので。

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或る師弟

「おや師匠、こんなところで珍しい」
本来この国にはないはずの赤と青の入り混じった青年の視線がこちらに飛んできて、思わず顔をしかめる。
「……あなたの師匠と呼ばれると寒気がしますね、浦項(ぽはん)」
「師匠は師匠ですから」
さらりと言い切ったその台詞には怒りすら沸いてくる。
恩知らずのクソガキの手元には付き合いの深い日本一を奪って行った自動車メーカーの封筒。
(分かっていても、殺意しか湧いて来ませんね)
ある時期、国の求めのままに釜石や京浜と韓国で仕事をしていた時期があった。
その時に育てたのがこの目の前の青年であるのだけれど、彼は私たちの誰にも似ることなく育った。
京浜が言うには目や耳のかたちが八幡に少し似ていると言っていたけれど、そんなもん似てたまるかという思いの方が先に出る。
まだらになった赤と青の瞳は不自然さを感じさせるが、この青年が生まれた時からずっとこういう色であったことを私は知っている。ああ憎たらしいったらありゃしない。
「どうぞ、風邪など召されないよう気を付けて」
「あなたは一生肺炎で苦しんで死んで欲しいですけどね」
「嫌だなあ、僕は死にませんよ。韓国鉄鋼業は僕と妹にかかってるんですから」

****

「君津サンのごはん久しぶりですネ!」
大盛りのカツカレーを目の前ににこにこと笑う南国青年……もとい、ミナスジェイラス製鉄所は素晴らしくいい笑顔であった。
技術研修という名目で2年ぶりの来日を果たした(というか適当に言い訳つけては2~3年に1度は地球の真裏から遊びに来ている気がしてならないぞ?)弟子の事は、まあ、可愛いと思ってはいる。
「ええっと、イタダキマス!」
片言の日本語でそう返してくる弟子に「Vamos lá, mastigar(めしあがれ)」と呆れ気味に返す。
今日はあまり腹も減っていないからと選んだ卵サンドとコーヒーをもさもさと口に運ぶ。
(……弟がいたらこういう気持ちなんかな)
俺たちは人間じゃないから、そういう気持ちをちゃんと理解している訳じゃない。
でも「Delicioso!(美味しい!)」と叫びながら飯を食うミナスジェイラスを、可愛いと思うのはきっと普遍的な感情なんだろう。





浦項と八幡の死ぬほど仲悪い師弟と、ミナスジェイラスと君津のげろかわ師弟。

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夜雨は僕らをダメにする

90年代の和歌山×直江津。



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2人は双子ちゃん!(嘘)

割としょうもない小ネタ


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世界で一番美しい呪い

大阪の街は焼野原であった。
ありとあらゆる建物が瓦礫となり老若男女が行き交って暮らしている。
唯一の救いはもうあの耳をつんざくようなサイレンを聞かないで良いことぐらいで、焼野原の何もない街はどん底以外の何物でもない。
まだ小さな和歌山は手を掴んだまま、尼崎は一言も口を開かないまま大阪の街を歩いていた。
「……尼崎、」
「なに?」
「仕事が増えるよ」
「何さ急に」
「この焼野原に新しい街を作るんだ。ゼロから道を、ビルを、鉄道を、新たに作り直す。そのために必要な鉄を生む、それが私たちの存在意義だ」
「……そんなの分かってる」
尼崎の目は何かを堪えるようであった。
それは当然のことであった。
住友家にもう私たちを守る力が無い事も、生き延びるために多くの仲間が去り行く運命であることも、そして自分たちの作ったモノの哀しい末路も、見ないふりなんてしていられなかった。

「俺はこんな未来のために生まれたわけじゃない」

それは本音であった。
全てはまやかしで、その砂上の楼閣はあの雑音まみれのラジオによってただの砂になったのだ。
「ああ、それは私もだよ」
砂上の楼閣はついえた。
「あまがさき、」
和歌山がふいに声をあげた。
「あそこ、おはながさいてる」
指をさした先には一輪だけ花が咲いていた。




旧住金組の話。終戦記念日にちなんで。

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