忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

100万本の薔薇ではないけれど

お届け物です、と届いた花の匂いに思わず顔をしかめる。
送り先は北九州・八幡となっていて贈り主の顔を思い出して深いため息が漏れた。
「……あいつは人を何だと思っとんかね」
別に花が嫌いな訳じゃないが、いかんせんあまりにも多すぎる。
煙草の匂いの染みついた男に大量の薔薇を送るなどどうかしている。
とりあえず何本かづつに分けて人に譲ろう、と思ってとりあえず10本づつに分けて薔薇を纏めてみる事にした。
10本の薔薇の束は10組完成したので100本薔薇を送ってよこしてきたのかと気づく。
もはや一昔前のものになってしまった携帯を開いて電話を鳴らしてやる。
『もしもし』
「八幡、なんで薔薇を送ってきた?」
『贈りたいと思ったから、じゃ駄目ですか』
告白されてから八幡は自分への好意を隠さなくなった。
時に奇行とも思える好意の発露を受けるのはいつも自分で、それを拒むこともなくただ淡々と受け止めている。
「こっちの迷惑も考えてくれ……こんなもんどこに置いたらいいのか」
『事務所にでも飾らせてもらえばいいじゃないですか』
「100本も飾れるような花瓶なんぞ無いわ!」
『……花瓶もセットで送った方がよかったですかね』
「その発想がおかしいぞ」
『じゃあ何ならよかったんです?』
「もう勝手にしてくれ……」
だんだん頭が痛くなってきて電話を切る。
本当は構われたくてこの薔薇を贈ってきたのだろうか、と疑心暗鬼になる。
人前では官営として気を張る反動か自分への依存心は昔から強烈だった。
「寂しいなら寂しいと言えばいいのになあ?」
きっと切り捨てられないのは、結局自分も八幡が可愛くて仕方ないのだ。




ぴくぶらのイベント用に投げたお話1つめ。
八幡に甘い釜石さんの話。

拍手

PR

財閥関係メモ

大雑把な私見メモのようなもの。
たぶん書くとしたらこの辺のイメージが反映されるかなあと。

拍手

遠雷

窓を打ち付ける雨と遠雷の音で目が覚めた。
時計を見れば午後4時前になっていて、ああしまったなと思う。
特殊な身元故にあっても無くてもいいような部署に置かれているとはいえ、いちおう割り振られた仕事はしないとならないというのに3時間以上寝ていたことになる。
とりあえずお茶でも飲んで目を覚ましてから仕事するか、と給湯室に足を延ばした。
唐突に携帯が鳴って取ってみれば、それは遠くに住まう友であった。
『もしもし、福井です』
「どうかしましたか」
『今朝送った交流事業の件のファックスの返事が来ないので確認の電話を、いつもなら夕方にはお返事来てるみたいなので……』
「分かりました、確認してきますんでいったん切りますね」
給湯室へ向かう途中にある担当者の机に向かってみれば今日は風邪で休みだという。
なるほどそれなら仕方ないと思いつつ電話をかけなおすとすぐにつながった。
『もしもし』
「もしもし、ファックスの件確認しましたけど担当者病欠みたいなんで返事明日になりそうです」
『そうでしたか……』
「ところで、随分と後ろが騒がしいですけど何か?」
『熊本への災害派遣でいま人が足りなくて』
「それで本来閑職のあなたに仕事が多めに割り振られてると」
『はい。彼は大切な友人ですから』
その言葉に思わず納得の声が漏れる。
「あまり無理はしないでくださいね、あなたが倒れたら大変ですから」
『……はい、そう言っていただけるなら幸いです』
「事実を述べたまでですよ、それじゃあ」
電話を切って窓の外を見る。
まだ、遠雷は止まない。




結城さんと福井ちゃんの何てことない話。
熊本さん頑張って……。

拍手

えふいーにおけるカプまとめ

だいたい全部自分のためのまとめです。
たぶん読まなくても本編楽しめると思います。

2016.8.30追記と修正
2017.8.4また追記と修正

拍手

大阪の桜

久しぶりの大阪の街には満開の桜が待ち受けていた。
「小倉さん」
「ひさしぶりたいね、和歌山」
時々、息抜きにこうして大阪まで行くことがある。
今や小倉から新大阪まで新幹線で2時間もあれば行く事が出来る、毎日あの偉そうな元官営の顔を見ないとならないのだからこれくらいは許容範囲だ。
自ら高炉技術を教えた和歌山は自分が大阪に行くというとこうして迎えに来る。
ついでに飯も奢ってくれるので大阪に行く和歌山に一声かけるのは食費を浮かすためなのだが本人のプライドのために黙っておく。
「飯食っとーとか」
「ううん、まだ食べてないよ。うどんでいい?」
「よか」
大阪の街をふらふらと渡り歩きながら、和歌山も随分とでかくなったものだと思う。
住友に連れてこられてすぐに半ば押し付けられるように育てた弟子もこんだけでかくなれば立派なもんだ。
『私らが求めてるのは高炉技術なんだ』
最初に出会ったとき、じっと此花はこちらを見据えて言った。
『お前が住友に馴染む気が無かろうがそれはお前の勝手だ、仕事さえ確実にこなしてくれれば何をしてもいい』
「……今思うと、よく此花もお前を俺に預ける覚悟しとったな」
「何の話?」
「昔の話」
「信頼されてたんでしょ、きっと」
そうなのだろうか、と考える。




(まあ、これも信頼なのだろうなあ)

うどん屋に入る和歌山を追いかけながらそんなことを考えていた。


小倉さんと和歌山さん習作。

拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ