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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ハロウィンに食べたいかぼちゃのほうとう

スティーラーズが通販で全身黒タイツを買ってきた。
「なにそれ」
「ハロウィンの仮装ですよ、ほら毎年選手が仮装する写真ネットにあげとるやないですか」
「もうそんな季節なのねえ……去年のムキムキ赤ちゃんとかすごかったわよね」
「此花さんは何でかハロウィンとかクリスマス明るいですよね」
「あれはお隣がUSJだからよ」
そんな話をしていたら、ハロウィンっぽいものを食べたくなった。
ハロウィンと言えばジャック・オー・ランタン、つまりかぼちゃ。かぼちゃと言えばー……
(かぼちゃのほうとうかしらね)
いきなり和に転がってしまったけどこのところ夜はめっきり寒くなってきたのでちょうどいい。
うん、かぼちゃのほうとうにしよう。

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ハロウィン当日。
スティーラーズが全身黒タイツに猫耳をつけて帰ってきた。
ふさふさの尻尾もついてるし耳にはオレンジのリボンもついているのだが、絶妙にかわいくない。
「……なんかキャッツみたいね」
「あれ黒猫出てましたっけ?」
そんな事を言いながら台所で手を洗い、プロテインを準備しながら私を見た。
大きくてムキムキの猫コスプレおじさんと思うとあんまりかわいげはないが、ビジュアルとしてはまあまあ面白い。
(あとで加古川に写真送っておきましょうか)
「姐さんもう鍋ええんとちゃいますのん?」
プロテインを一気飲みしてシェーカーをすすぎ始めたスティーラーズに言われてコンロを見ると、鍋が沸騰しかけていた。
ばっとコンロの火を落として煮え具合を見るともう余熱で大丈夫そうだ。
「食卓拭いといて」
「はーい」
副菜は作り置きの秋野菜のマリネ、あとは季節限定のビールが一本あればいい。
全部並べればもう十分な夕食である。
「ハロウィン言うか秋って感じですねえ」
「でも元をたどればハロウィンは収穫祭なんだし、ちょうどいいんじゃない?」
「そうですねえ、ほないただきます」
「いただきます」
なおほうとうを啜る黒猫のスティーラーズの絵面が面白くて、こっそり写真を加古川に送ったらものすごくもめたのはまた別の話である。


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神戸ネキとスティーラーズ。
ハロウィンのコスプレはスティーラーズの公式インスタで見れます。

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パウンドケーキでお祝いを

合同練習の隙間に国体の様子を確認していたら、スティーラーズにキレられた。
「人との合同練習中によーそんな浮ついた表情しよるなー?例の彼女か?うん?怒らへんから正直に言うてみ?」
マジでガチギレ5秒前なその表情に「それマジで怒られる奴じゃん」とぼやいたら、強制的にスマホを取り上げられた。
「ちょ、俺のスマホ!」
「……栃木国体の中継か、女子のラグビーって事はやっぱお前の彼女の件やないか」
呆れ気味にため息を漏らすとスティーラーズは勝手にスマホの電源を切ってスタッフに投げ渡した。
「練習終わるまで預かっとくから練習に集中しぃや」
―その日の夕方―
合同練習が終わり、ようやくスマホを返してもらうとパールズからLINEが来ていた。
『優勝したよ!三重県がラグビーで二冠!』
一緒に記念写真も送られてきて思わず変な声が出そうになりながら『おめでとう!』と返事を打つ。
「その顔は優勝したんか」
「うん、帰りにお祝いのケーキとか用意したいんだけどお勧めある?」
「そんなすぐに帰って来れへんやろ、どうせなら手作りでもしたらええんやないか?」
「俺お菓子作りとか自信ないんだけど」
「パウンドケーキはどないや、惚れた相手の手作りほど嬉しいもんはないで?」
スティーラーズの言い分には納得させられるものがあり、結局押し切られるようにパウンドケーキを焼くことになったのであった。

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金曜日、きょうは休みだったので一日料理を試してみることにした。
スティーラーズに紹介されたレシピサイトの記述を元にパウンドケーキを作ってみると、思いのほかうまく出来た気がする。
「確かパールズが戻るのは土曜日だっけ」
妙に紅茶に詳しいスティーラーズに勧められたお茶と一緒に色んなパウンドケーキを作ってちょっとづつ出してあげたら喜んでくれるだろうか。
「……うん、たくさん作ろ」




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ヒートとパールズとスティーラーズ。
ラグビー三重県勢アベック優勝おめでとうございます!

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これは「好き」のはなし

*直江津が住金に来た直後ぐらいのお話

直江津はうちに統合される前から感情や欲求が希薄で、いつも淡々とした印象がある。
何が好きとかこうしたいって言う発言がほぼゼロみたいなタイプだったのでちょっと特殊なタイプでもある。
なので時々直江津が楽しそうにしてるのを見ると俺もその対象に目を向けて見たりする。
すると自分の作った製品が使われているのを日がな一日眺めたり、チタンに処理をして美しい色を作ることに妙な情熱を燃やしていたり。
要するに仕事が好きなのだなあという感想しか抱けなかったりするのである。
「直江津って仕事が好きなんだねえ」
「……好き?」
そう言って理解しがたいと言いたげに俺を見る。
「俺にはそういう風に見えるって話」
「そもそも仕事に対して感情が付随してたのか」
「え、まさか俺たちには感情ないと思ってたの?」
「だって必要ないだろう」
直江津がしれっとそう答えたので、俺たちの間には随分齟齬があったことに気づく。
というか俺や八幡さんとかにも感情がなかったらもっとコミュニケーションは円滑だったと思うんだけどな~~~~~~~!!!!!!!(俺の心の叫び)
でも確かに製鉄所の神様として祀られてる俺たちには本来感情は不要だ、というのは分かる。
神様なら神様らしく黙って人間の営みを見守ってあげればいいのに、感情や欲求を持って周囲の職員や関係者と日々わいわいやっている訳だ。
「少なくとも俺や此花にはあるはずだよ、感情」
「そうだったのか」
意外そうに直江津が呟いた。
「そうじゃなきゃ俺は海南を愛したりしないもの」
俺のその言葉に直江津はそれもそうかという風に頷く。
好きとか愛するとかが不必要だとするなら、製鉄所を動かすのに必要な物って何だろう?
脳裏に浮かんだ疑問に対してある冷たい答えが出る。
「そもそも俺たち自身が不要な物なのかもしれないね」
製鉄所を生み出したのは人間だ。
その人間たちは分担して健全に操業・管理ができるはずで、俺たちが手助けせずとも円滑に機械を動かしてその役割を全うできるはずなのだ。
「不要なのに在るのか」
「根本的にはね。でも俺たちがいることで職員は余裕を持てるでしょ」
「……不必要と余裕は紙一重か。その余裕のために感情があり、感情があるために好きや愛があるのか」
「たぶんね」
「俺には感情という余裕がないのか」
「余裕は余裕だよ、無いことが悪なわけじゃない」
直江津は感情や欲求が希薄で、いつも淡々とした印象がある。
けれどそれもまた直江津という個を構成する一部なのだ。

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和歌山と直江津。

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日程さんに振り回されて

*今回も短編集です

・新潟に行きたい(スピアーズ+Dロックス)
「なんで今年の新潟ゲーム担当俺じゃないのぉ?!?!?!?!?」
『苦情は協会にどうぞ』
電話越しに冷静なシャイニングアークス、じゃなくてDロックスのツッコミが来る。
ここ数年必ず一度は行っていた新潟ゲームを持っていかれたので思わず電話してしまったのだ。
『それに新潟ゲームの代わりに大分アウェイあるじゃないですか』
「俺は新潟の美味しいお米が……」
新潟で食べてきたおいしいものが次々と脳裏をよぎる。
おにぎりに日本酒、おかゆ、飲んだ〆の海鮮丼もよかったなあ~!
『大分なら温泉とか魚あるじゃないですか』
「う゛~」
『……お土産、買いませんよ』
「お土産は欲しい……新之助とこしいぶき5キロづつね……」

・日程まとめは大仕事(ワイルドナイツ)
発表された日程表とにらめっこしながら今シーズンの試合にマーカーで線を入れる。
なお全部紙に出力するのは俺の趣味である。
「……これ手作業で入れるの面倒だよな」
ぼやきつつもサイトのテンプレートに日付・場所・時間・対戦相手を全部手入力しておく。
しかも新しく導入されたホスト制でのお陰でホストかビジターかも入れておかなくちゃいけないので面倒さが三割増になる。
かちかちと手入力しながら誰が熊谷に来るのかを頭に叩き込む必要がある。
(まあこのご時世だしサシ飲みは難しいけど)
特に遠方から来たメンツだけでも俺としても来た相手は全力でもてなしてやりたい。
手入力を終えると誤字脱字の確認だけしてサイトにアップロードしておく。
「……もてなしの内容でも考えておこうかな」
まだ気は早いけれどシーズンは間違いなく近づいてきている。

・真冬のイーハトーブ(シーウェイブス+ヒート)
日程表とにらめっこしているとヒートから電話が来た。
『釜石の初雪っていつぐらい?』
「……同じこと聞いてくるな」
先程シャトルズからも3月の岩手の積雪についての問い合わせがあったが、やはり冬の岩手=寒いというイメージなのだろう。
『雪に不慣れだとどうしてもね、で雪中試合になったりする?』
「天気の事だから分からんが時期的に雪が降ってる可能性はある」
この辺りも冬になれば雪は降るし積もりもする。
スタジアムは芝だからグラウンドが凍るようなことはたぶんないと思うが、雪に慣れてない奴は苦労するだろう。
「まあ本格的に寒い時期じゃないだけましだろ」
『2月の岩手はさすがにちょっと……』
その素直な反応にちょっとだけ笑ってしまった。

・広島ダービーの冬(レッドレグリオンズ+スカイアクティブズ)
「開幕から兄さんと試合できるなんてついてますよね」
思わず僕がフフッと笑うと「嬉しそうだな」と返される。
兄さんとの試合は好きだ。地元の良き先輩として慕う気持ちもあるし、一緒に試合できるのは嬉しい。
「勝ち点プレゼントでD2に戻してくれりゃあなおいいんじゃが」
「それはちょっと……あ、でも一緒に昇格すればいいのか」
「ほいじゃあ、楽しみにしとるけん一緒に勝とうか」

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月夜に逢引き

金曜日の東京のオフィス街はもうすぐ日の入りを迎えようとしていた。
ずっとじっとりしていた東京からようやく地元に戻れる、と考えていた矢先の事である。
「釜石、帰りの新幹線いつですか」
「17時56分発だな」
「もう帰るんですか?!夕飯も食べずに?」
これはめんどくさい奴だな、と何となく察した。
もしかすると事前に店でも予約していたのかもしれない。
「釜石」「うん?」
八幡が財布の中身を確認すると「新幹線を日曜の夜にしてくれませんか、お金は私が出すので」と言い出した。
「日曜日は試合があるんで無理だな」
ちょうど日曜日はシーウェイブスとジュビロ……今はレヴズか、その二人の試合がある。
金曜の夜に戻るつもりだったのは試合を見に行くためだったので日曜夜は絶対に嫌だ、それだと現地観戦が出来なくなる。
「それなら日曜の朝で」
八幡の目があまりにも本気だったのでここが妥協点だろうと察した。
「分かった、確か郵便物あったよな?そのついでに駅で払い戻してくる」

****

土曜日は八幡の行きたいところを回った。
美術館や都内の神社を回り、最近話題だという店に行き、百貨店で戸畑に頼まれたというお菓子を送った。
久し振りの東京は賑やかでみなマスクはつけているが楽しそうに見えた。
「二人でたっぷり一日遊んだの久しぶりですよね」
今日は十五夜で、しかも満月。
せっかくの月夜を楽しむため間接照明だけつけた薄暗い部屋は妙に広々としている。
百貨店で購入した地酒のワンカップとつまみを手に「お前が駄々こねた癖に」と言ってみる。
まあ最近は都内を一人で歩くなど全然していなかったし、何より八幡が楽しそうだったので文句もない。
「いいじゃないですか」
こう薄暗いと八幡の目鼻立ちの良さが際立ち、日本酒の芳醇な香りがその吐息に混ざって届く。
「もうずいぶんデート出来ずにいましたしね」
「デートなのか?」
「惚れた相手と一緒に遊ぶんだからデートですよ、好きでもないひとと二人で出かけたりしないでしょう?」
「まあそれもそうだなあ」
まっすぐな愛が指の先からその声色まで余すことなく滲んでおり、しかもそれがすべてこちらに向けられているのが分かる。
こういう時、本当にこいつは自分が好きだと思い知らされるのだ。


(まあそれを拒む気が無いんだからどうかしてるんだろうがなあ)

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八幡×釜石のいちゃいちゃ。

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