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コーギーとお昼寝

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戦友よ、俺は帰ってきた!

ぴくぶらのお題企画参戦用に書いたもの。
BLと言うかブロマンス寄りのif話です。



その日の東京の空は、まっすぐに青く澄み渡っていた。
雲一つない冬晴れに太陽が燦々と輝いていて、冷たい風に芝生の青い匂いや期待と緊張の気配がうっすらと混ざっている。
「世界中の青空を全部持って来てしまったような、ってのはこういうことを言うんやろうなあ」
隣にいた男がポツリと呟いた。
何度となく繰り返し聞いた神戸訛りの喋り。それをこうしてあと10分後には歓声に包まれる秩父宮の芝の横で聞ける日が来るとは思わなかった。
「でも雪が降るよりは良かろう?」
「俺よりそっちの方が寒さには慣れとるもんなあ、雪降ったら俺の方が不利や」
「東北だから寒いってのは偏見にもほどがあるわい」
「少なくとも神戸よりは寒いやろ、初めて釜スタで試合した時うちの選手らみんな寒い寒い言うてたもん……ただでさえ1部リーグ復帰で20年近く待たされてあの仕打ちは無いわあ」
「あの日はたまたまやませが吹いてて寒かっただけじゃい……」
しかし長く待たせたという点は否定が出来ないのも事実だった。
V7の栄光が終わり、2部リーグ下位にずっと沈んでいた時代もあった。この男もまた、後輩たちに阻まれて優勝にあと一歩届かず辛酸をなめた時代もあった。
お互い災害にも遭い、親会社の事件で生死の淵を彷徨うこともあった。
『大丈夫やて、神戸は復興した。釜石もいつかは復興する』
その言葉に励まされた夜もあった。
『まだお前は第一線で足掻ける』
そんな風に励ました日もあった。
ずっと違う場所にいてもこいつだけは特別な存在で、いつかまたこの秩父宮の芝の上で戦うことを夢見ながら今日まで生き延びてきた。
そしていま、冬の秩父宮にいる。
「でも、ここでまたやりあえる。それでチャラにならんか?」
「ついでに三陸のうに丼も付けてくれたらええわ」
「うちが優勝出来たらな」
「させんわ阿呆」
スタジアムが興奮と歓声に包まれる。
あの頃から何ひとつ変わらない、自分達を奮い立たせてくれる歓声だ。
遠くに東京の風にはためく大漁旗も見える。



戦友(きみ)よ、随分と待たせてしまったけれど俺はここへ帰ってきた!

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