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コーギーとお昼寝

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君よ光であるために

*2011年ごろのお話です

「どうしてここまで貴方は献身的でいられるんですか?」
かずさマジックがそう問いかけてきたとき、彼はずっとこの問いがしたかったのだろうと思った。
新日鉄の合併話が浮上してきたのはもう半年前になるだろうか?
この数か月はずっと復興支援と釜石さんの看護に追われて半分忘れかけていたが、合併話の進捗情報はこの耳にも届いていた。
「不安か?」
「私めは貴方と同じようにクラブチームですが比較対象が近くにいますからね」
「比較対象?」
「住金鹿島の野球部ですよ、実績はあちらの方が数段上ですからね」
「そうなのか?最近の社会人野球には疎くてな」
兄がいた頃は多少の知識はあったが今の社会人野球となるとあまりよく分からないというのが素直なところなのだが、本人がそう言うのならばそうなのだろう。
「そうでしたか」
「でも自分自身で言うのならそうなんだろう」
「お恥ずかしながらそうなりますね、でも選手たちはみな素晴らしいんですよ?」
炎天下で復興作業に勤しむ選手たちを慈しむような眼で見つめる姿には確かに愛情があった。
「そうだろうな」
「……で、質問の答えは?」
再びモノクル越しに問いかけのまなざしが飛んできて、ああと少し考える。
(献身的でいられる理由、かあ)
自分ではあまり意識していなかった問いの答えをしばらく考える。
そうして数分にわたる熟考の末、出てきた答えはシンプルだった。

「この街とラグビーが好きだからだな」

愛する釜石の街があって、愛するラグビーが出来て、そんな自分たちを愛してくれる人がいる。
献身的であり続ける理由なんてきっとそれだけで十分だ。

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