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コーギーとお昼寝

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オオサカスターマイン

ようやく片付いた書類仕事の山に思わずふうとため息を吐いた。
「偉いため込みようやったなあ」
若い職員の一人に皮肉めいた言葉と目線を送ると、申し訳なさそうにしゅんとして「すいません」と本日何度目かの謝罪が漏れた。
仕事は好きだけれどこうもずっと夜更けまで仕事ばかりしていると飽きてしまう。
「はよ帰ってゆっくり寝とき」
「ホント俺の仕事に巻き込んでもうてすいません」
「別にええよ、俺らはこの製鉄所のためにおるんやから仕事が生きてる理由やもん」
パソコンの電源を落として荷物を纏めていると、遠くからパアン!と音がした。
設備に何かあったのかと反射的にその手を止めて身体の調子を確認(設備に何かあればそのまま体に出るからだ)すると、横にいた職員が「花火ですよ」と返してくる。
「花火?」
「ほら、大浜公園で毎年イベントやっとるでしょう?その最後に打ち上げる花火ですよ」
パアン!という音とともに赤や黄色の光が建物の中に差し込んでくる。
窓の外、上空に目を凝らせば花火が大きく打ちあがっている事に気付き少なくとも設備の異常ではないことに安堵する。
そうして一度安心してみれば、花火というものはこんなに綺麗なのかと素直に思えた。
「君にとっては夜遅くまで残業したご褒美やな」
「いえ、むしろ堺さんへのご褒美でしょう」
「そんなもん俺に要るんかなあ」
「要りますよって、俺らよりも長く生きるんですから生きることを楽しんだって下さいよ」



堺と夏の夜のお話

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