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コーギーとお昼寝

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何度目かの春を君と

ぺら紙に記された退団者と新規入団者の一覧に目を通す。
この紙が届くたびにもうそんな季節なのだということを思い出す。
「ブルースサン、元気してまス?」
ふいに扉が開き、ふわっとした柔らかな表情でやってきたのはコカ・コーラレッドスパークスであった。
「……なぁに仕事抜け出してこげな場所来とーとね」
「暇なんでスよ」
「年上ん癖に仕事ばサボるんは褒められんっちゃ」
「私達ニ仕事って言えるようなものないデショウ?」
どこかから持ち出してきたらしいコーラの缶を渡してくるので大人しく受け取っておく。
隣に腰を下ろしてコーラを飲み始めるが書類を覗こうとはしない。
「興味なかとね?」
「公式リリースしてないものを覗き見はしまセン」
「そか」
いちおう紙を裏返して見えないようにしてから、持って来たコーラの栓を開けた。
窓の外は静かなグラウンドが広がり、窓を開ければ春風と共に潮の香りが入り混じる。
「……福岡、もう桜が開いたんですヨ」
「今年は桜があくのが早いっち聞いとるが」
「ホントですよネ、時間の流れって早いでス」
桜の季節になると思いだす奴の影がいる。
一緒に過ごした季節の数よりも一緒に過ごせなかった季節の数の方がそろそろ長くなって来たが、それでも思い出してしまうのだ。
同郷の先輩だった神戸の鉄人よりは傷は浅いが、春はどうしてもそういう感傷を連れて来てしまう。
(……いや、こげなこと考えてもどぜなかなる(寂しい気持ちになる)だけっちゃ)
「スパークス、ちとパス練習こく(する)っち付き合ってくれ」
「いいですヨー」
そうしてその男はへらりと笑って俺を見るのだ。





ブルースとスパークス。
春は桜と一緒に感傷を連れてくるけどゆるい先輩がいるので気が抜けるという話。

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