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コーギーとお昼寝

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切り分けたオレンジの半分

「ん、」
半分に割られた蜜柑を渡してやれば大人しくそれを受け取ってきた。
馴染みのない東京の夜更けを同じ部屋で過ごすのは何とも奇妙な気分であったが、お互い連れられてきたようなものなのだから仕方がない。
「おーきにな」
蜜柑をひと房摘まんだその男の横でもさもさと蜜柑を齧る。
薄皮の向こうからじわりと甘い果汁が滲んできて、するんと胃に落ちていく。
「んまい、」
「そうか」
「……昔は、兄弟でこういうの一緒に食ったりせんかった?」
「弟とはよくやってたな」
もさもさと蜜柑を食いながらしょうもない事を思い出してしまう。
上の兄の方とは特別仲が良かった訳ではなかったからこうして仲良しこよしなんてした記憶はあまりない。
「俺はようやってたなあ」
「ふうん、」
「『あなたは私のオレンジの片割れ』」
「は?」
「スペインのことわざ、うちの姐さんから教えて貰ろた奴。唯一無二の片割れを指す言葉らしいで」
「そうなのか」
海外のことわざを教える辺りあの神戸の街のお嬢様らしいという気がする、うちの身内なら絶対そんなことはしまい。



「……俺の手元に残っとんのは切り分けてラップしたまま腐りかけたオレンジばっかやわ」

腐ったオレンジなんぞ捨てておけというのは止めておいた。
「まだ腐ってないのもあるだろう?」
「せやなあ」


私もよく分からないV7コンビ

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