忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

新築の匂い

式典を終えて新しいクラブハウスに一歩足を踏み入れると、新築の匂いがふっと漂ってくる。
染みひとつない壁や泥汚れのついてない床がもうすぐ自分の家になるのだと思うと心が躍る。
「シーウェイブス」
製鉄所さんがいつもより少し華やかな着物で玄関の前にいた事に気づき、小走りで駆け寄ると「嬉しそうだな」と微笑む。
「そりゃ嬉しいですよ、もう長い事プレハブだったので尚更ですけど」
「中々綺麗な建てもん用意できなくてごめんな」
少し申し訳なさそうに製鉄所さんが言うものだから「いやそういう意味でなくてですね?」と思わず口を挟む。
この30年どれだけ大変だったか知っている身としてこちらがどうこう言う権利はないし、ようやく会社も業績が良くなってこんなものを作れる余裕が出来たのだ。文句など言うまい。
「あ、これは新築祝いな」
小さな紙袋を手渡されて中身を確認すると、出てきたのは保冷保温機能付きの青いタンブラーと赤と青の真空断熱ペアマグカップ(しかも蓋つき)だ。
あると便利だろうなと思いながらもでも絶対必要と言う訳でもないからと手を出せずにいた商品のチョイスには頭が下がる。
「良いんですか?」
「この間東京で八幡と会った時にお前さんの新築祝い探してるって話したらあいつが少し出してくれてな」
そのコメントで遠くかなたの八幡さんを今だけ拝み倒したい気分になる。
(ただの釜石さん大好きbotじゃなかったんだなあの人……)
貰ったものを丁重に紙袋に戻し「あとで八幡さんにもお礼しておきますね」と答えると、釜石さんが苦笑い気味に答えた。
「あいつはただ単にわしとプレゼント選ぶの夫婦みたいで楽しいぐらいの気持ちだったと思うけどなあ」
微妙に感動が薄れるコメントはやめてほしい。
「ま、お礼よりなによりお前が今シーズン勝ち星を積み重ねて昇格してくれればそれで十分だ」
「……頑張ります」
クラブハウスの内覧会に来た人々はみんな同じように思ってるのだろう。



(来月の開幕戦、勝たなきゃな)

-----
シーウェイブスと釜石。そして何気に存在が匂わされる八幡。

拍手

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

バーコード

カウンター

忍者アナライズ