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コーギーとお昼寝

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秋の海にて

なんだか今日は随分と天気が良いので、久しぶりに釣りにでも行ってみようかという気分になった。
古い釣り道具一式を手に近所の岸壁に腰掛けてみれば秋の凪いだ太平洋が広がっている。
行きがけに捕まえたみみずを釣り針に付けて海に投げ、ぼんやりと秋の空を見上げてみるとなんだか長閑で心地よい。
(……そういやシーウェイブスなんかも割と釣りやるけど、あいつと行ったことないな)
倅であるシーウェイブスは一次産業系の仕事をメインとしており、その過程で釣りや狩猟などを覚えたらしいのだが一緒に行ったことはなかった。
まあそもそもこうして魚を釣るのなど年に1〜2回と行ったところだし、もしかするとシーウェイブスも自分が釣りを嗜むことを知らない可能性すらある。
頻繁にうちへやって来る八幡にも言った覚えはないし、年に1度かそこらしか行かないので職員も知らない可能性もある。
「おっ、きたな」
竿を引いてみればアイナメが一匹、見事に吊り下がっている。
(今日は刺身にでもするかな)
そうして再び釣り糸を海に垂らしていると、ポケットに入れていた電話が鳴り出した。
『もしもし?』
「シーウェイブスか、どうした?」
『鹿肉要りません?冷凍した鹿のモモ肉が少し余ってまして』
「鹿か、ちょうど今釣りしてるとこなんだ。昼くらいまでやってるから正午前くらいにうちに来てくれ。一緒に飯食おう」
『峠の方にいるんでついでに山菜とかきのこ探してきます』
シーウェイブスが嬉しいことを言ってくれる。
豪華なご飯になりそうな予感を胸にしまいつつ、ふと思ったことを聞いてみる。
「峠のほうか、そろそろ紅葉も始まるんじゃないか?」
『まだ始まりかけですよ。あ、峠と言えば道の駅で今日から甲子柿の販売始まってましたけど食べます?』
「じゃあ多めに買っといてくれるか?お代は払うから」
『じゃあ買っときます』
そんな話をしていると釣竿がビクビクと暴れ始め、「釣れたから電話切るな!」と急いで電話を切ると魚との駆け引きが始まる。
今日のおかずになる魚との真剣勝負を制さんとその駆け引きに集中することにした。



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釜石おじじとシーウェイブスくん
ぎじスクの秋のタグ祭り用の短編。

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