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コーギーとお昼寝

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走れ!

外出自粛制限が解かれた日、久しぶりに靴箱からランニングシューズを引っ張り出した。
いつものランニングセットの入ったカバンを背負って走り出す。
五月晴れの風の中、人と距離を取りながら多摩川の河川敷を目指すと赤い布マスクの先輩がフラッと手を振った。
「あ、先輩久しぶりー」
「直に会うのは、だけどな。……サンゴリアス、お前やっぱ太ったろ」
外での練習が自粛になってから、先輩とちゃんと会う事は全然なくていつも画面越しだった。
「先輩も太ったとか言ってたじゃん!」
「お前が余ったもんうちに持ち込むからだっての!」
軽い雑談とともに息を整えると、ランニングウォッチやスニーカーのひもを確認する。
「……じゃ、行くか」
「はあい」
今日は久しぶりに長距離を走る。
多摩川の河川敷をなぞって羽田まで20キロほど、ほぼハーフマラソンだ。
家でのストレッチや筋トレはずっとやって来たけれど長距離ランは久しぶりだ。
以前の長距離走のリズムを思い出すように、心拍数を上がり過ぎないちょうどいいペース配分で、舗装された道を踏みしめるように走る。
先輩も久しぶりなのか時々河川敷のほうに目をやりながら深く息を吸い込みながら走る。
水道橋が見えてきた。ということはもう狛江まで来たから羽田まであと半分くらいだろうか。
(にしても久しぶりの長距離走、きっついな)
前はまだ平気だったのに少し持久力が落ちたのかもしれない。
少しだけテンポを落としてできるだけ酸素を多めに体に送り込むようにすると、体は少し楽になる。
すこし先を走る先輩がちらっと先輩がこちらを見るので、平気だという顔をするとならいいやと言う顔をした。
首都高の高架を超えるとそろそろ二子玉川だ。
少し先で先輩がふいに足を止める。
「どうかしました?」
「ブラックラムズがいたから」
ほら、あそこ。と先輩が指を刺したところには確かに人影がある。
よく見たらラグビーボールの壁あて練習だ。
ふとブラックラムズさんのほうも俺たちに気づいたようで、軽く手を振って来たので俺たちも手を振り返した。
「おーい、そっち行っていいー?」
「良いぞ」
行こうと先輩が言うままに着いていくと、壁あての手を止めたブラックラムズさんがそこにいた。
「こんなとこでやってたんだ」
「ここの壁が色々と都合が佳くてな」
地面に置いてあったスポドリを飲んでくるので、俺もせっかくだしと飲み始めた。
この二人が盛り上がりだすと年下の俺はどうも突っ込めない。
「走って来たのか」
「久しぶりに長距離走って羽田まで行こうと思って」
「羽田か、帰りはどうするんだ?」
「電車で帰るよ」
「……なら我のほうで車を出そう、ちょうどサンゴリアスに借りた容器類を返したいと思っていたしな」
「えっ、いいの?!と言うかタッパー返してくれる気あったんだ」
「返す機会がなくて返せずに居ただけだからな、しっかり洗って漂白もしてあるぞ」
「やった。先輩どうする?」
「んー……じゃあ、せっかくだし便乗させてもらうわ。待ち合わせどこにする?」
「所用を済ませてからになるが其れで良ければ、30分後に穴守稲荷で良いか?」
「俺はいいけど先輩は?」
「少し休んでから帰る感じでちょうど良いかなあ」
「了承した」
それじゃあと言う感じで別れると、再び俺たちは走り出す。
すると先輩が突然走りながら話を切り出した。
「六郷土手着いたら穴守稲荷まで全力で走るか」
「は?!」
「最後の追い込みだと思ってさ」
「15キロ以上走ってラスト5キロスプリントって!」
「イケるだろ、どうせ帰りは車だし灰になってもまだ燃えてこそラガーマンじゃん」
「そんな無茶な!」
ああだこうだ言いあいながら走っているともう新幹線の高架が見えてきた。
この先多摩川はぐにゃりとひの字に曲がって、その一番端っこが六郷土手になる。
「……俺帰ったら筋トレできないじゃん」
「もうこのランニング自体トレーニングじゃん」
これもう俺が何言っても聞いてくれないやつだなと何となく察しがついたころにはもうJRの高架が見えてきた。
「この先の第一京浜道路、あそこからスタートにするか」
「……俺が勝ったらプリンね!」
「おー」
第一京浜道路の柱の前で一度立ち止まると、ここからが最後5キロのスプリント対決だ。
水分を取って息を整えて、汗も軽く落とす。
「んじゃ、行くぞ」



よーい、どん!


サンゴリアスとブレイブルーパスとブラックラムズ。
ただただ多摩川走ってほしかっただけです。

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