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コーギーとお昼寝

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偶像(アイドル)の妄執

俺が子どもだった頃の一番古い記憶は、色んな人が俺のところを去っていく姿だった。
砂丘と海と神社しかない退屈な街を去っていく人の多さが確かに俺の記憶にこびりついている。
此花は『お前のせいじゃないさ』と慰めてくれ、和歌山も去ろうとする仲間を引き留めようと苦心してくれた。
でもこれは俺の問題であるのだから自分でどうにかしないといけないと言う気持ちが俺の中には確かにあったのだ。
そんな時、ふと目についたのが当時隆盛を極めていたアイドルを追っかけてあらゆるところに現れる人々だった。
美しい歌声や相貌に魅了された人々は、テレビ局の前から自宅(当時は結構そう言う情報が出てたから)まで追いかけ回してその人の全てを知ろうとしていた。
「ねえ、俺もジュリーみたいになればみんな好きになってくれるかな?」
「お前はもう既にジュリー顔負けの美少年だと思うけどねえ」
此花は呆れながらそう答える。
「違うよ、ジュリーみたいに俺がみんなを魅了する存在になればここに残ってくれるかなって」
此花は驚いたように俺の顔を見てから、少し宙を見て考えた。
そうして考えてから「そうか」とつぶやく。
「和歌山もお前のところの職員がすぐいなくなる問題については悩んでるし、うちからも今度部活をそっちに移そうか考えてるが、お前自身が努力しなくていい訳じゃないよな」
俺がこくこくと頷く。
最高に愛される俺にさえなれば、みんなここにいてくれる。
今となっては妄執のようなその思いは今も俺の中にハッキリと残っているんだ。


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鹿島の昔話。偶像と書いてアイドルと読んでください。

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