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コーギーとお昼寝

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ふたりでひとつ

千葉で事故が起きたという話を聞き、情報の確認のため急いで様子を見にいくことにした。
事務所で事故のことを把握して電話でうちの事務所側へ連絡すると千葉くんがいないことに気づく。
『千葉くんはどこですか?』
「実は事故の時に倒れてしまわれて、今は医務室の方にいらっしゃいます」
そう聞くとありがとうと軽く頭を下げると急いで医務室へと駆け込んだ。
消毒液の匂いに満ちた医務室の扉を開けるとベッドに横たわる千葉くんの目がこちらに向いた。 「京浜さん……?」
『倒れたって聞いたけど大丈夫?』
走り書きでそう聞くと「実は事故現場が高炉だったせいで軽い心筋梗塞みたいになっちゃって」と言いながらへらりと笑う。
事故現場は銑鉄をトーピードカーに乗せる場所だったと聞いている、場所が高炉に近いので心臓に異変が出たようだった。
『しばらく無理しないでいいからね』
「京浜さんが気にすることでもないでしょ、まあしばらくあの高炉使えないだろうけど他は生きてるし……」
『設備は修理すればすぐ動くけど肉体は案外脆弱だから無理すると他にクるわよ』
この辺の経験は渡田を見て知っている。
私たちの肉体は人間の肉体とそう変わりがないから、心臓をやられたとなると肉体にかかるダメージの大きさは計り知れないのだ。

『私たちはふたりで東日本製鉄所だもの、千葉くんが出来ない時は私がやる。それが分業だと思わない?』

千葉くんがその言葉に目を見開いた。
私たちの付き合いはまだ20年ちょっとに過ぎないけれど、今見せたへらりとした笑顔が私を心配させないために無理にした笑顔だということくらいその20年の付き合いでわかる。
『だから、しばらく無理せずしっかり身体を休めて』 「京浜さん……」
私は大丈夫だからと軽く撫でると「身体治ったら頑張りますね」と答えながら心からの笑みがこぼれ落ちていた。


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京浜と千葉。千葉の事故を聞いて。

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