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コーギーとお昼寝

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ままならぬ世界の隅っこで

「やっ!」と陽気な顔をした鹿島が突然遊びに来たので、「……またサボりか?」と思わずため息が出た。
「サボりじゃないよ、今日は夜勤明けの休みですー!つばさが今北海道に遠征行っててお土産くれたからお裾分けに来たんだけど」
「お前には夜勤明けの疲労がないのか?」
「しっかり寝たからない!」
さっき仕事を終えて家に戻ってきたばかりで疲れの抜け切らない俺は、めんどくさくなってとりあえず鹿島を家にあげることにした。
人んちの台所を我が物顔で漁っておやつを皿に出し、冷蔵庫のアイスコーヒー(結構いい奴)を勝手に開けてグラスに注ぐのを見ながらやれやれという気分になる。
「ちなみにお土産って?」
「三方六と赤いサイロ、これならコーヒーが合うと思ったんだよねー」
三方六をかじってコーヒーを飲むと「うん」と満足げに笑った。
「お前本当常に楽しそうだな」
「此花が『楽しいことと美味いものは多いに越したことはない』って言ってたからね」
住金のちいさな最年長の姿を思い出して、確かにそんなこといいそうだな……と謎に納得してしまう。
「それこそ世の中って納得いかないこと多いじゃん?しかもそれが自分自身のことなのに俺が決められない、なんてことも結構あるし。だからこそ楽しいことと美味いもんは常に多めに置いておけって言うのが此花の教えなんだよ」
鹿島の言う自分のことなのに自分で決められないと言うことにはそれなりに心当たりがあり、確かにそうかもなぁと思う。
(でもこいつ、アントラーズ売却の時に八幡をバットで殴りつけたんだよな……)
本社に行ったうちの元職員から聞いた話をする思い出すが、美味いものや楽しいことだけでは自分を宥められない日もあるのだろうと言い聞かせる。
「君津だってそんな日、あるでしょ」
「……まあな」
東京と最後に会った日のことを思い出せば、その言い分には納得するものがある。
「今日は誰かと美味いもん食いたい日だっだってことか?」
「ま、そんなとこかな」
そんな事を言いながら鹿島が三方六を1人で半分も 以上平らげたので「……俺の分ちゃんと残せよ?」と本気で告げると「まだもう一本あるよ」と言って差し出してきたので、俺も三方六を丸齧りするのだった。


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君津と鹿島と思うところある夏の日の話。

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