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コーギーとお昼寝

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残りの日々を数えて

最近退職願や異動届の書類を扱う事が増えて、ああもうすぐ僕はいなくなるのだなあと思う事が増えた。
その寂しさに慣れていくしかないのだろうと分かっていても無性に寂しくなってしまう。
何となく飲みたくなって貰い物のジンを炭酸水で割る。
今までお世話になったからと言って渡してくれた関連会社の社長の顔を思い出すと泣けてきてしまい、慣れない風味の酒を無理やり流し込んだ。
「呉、生きてる?」
突然玄関のほうから広畑さんの声がして「生きてますよ」と返す。
そういえば昼間暑かったから玄関を開け放して風が通るようにしていたんだった。
「せっかく呉の所に来たのに今日早番でいない言うから家まで来ちゃったんだけど、あがって大丈夫?」
「どうぞ」
周南もいないひとりきりの夜だ。
広畑さんは夕飯のついでに買ったというコンビニのケーキセットを持ってきていた。
「ケーキですか」
「デザートに買って来たんだ、ショートケーキとチョコケーキどっちがいい?」
「どっちでもいいですよ」
「じゃあショートケーキで。お酒も付き合おうか」
「……ジンって飲んだことあります?」
「あんまり。でもまあジュースで割れば行けるでしょ」
広畑さんは買って来ていた数本のジュースから何が良いかとスマホで調べて、オレンジジュースとジンを混ぜて飲むと「うん」とつぶやいた。
「これなら思ったより行ける」
「一口貰っても?」
試しに受け取って見らば確かに思ったよりもジンの癖が和らいで飲みやすい。
こちらのほうがケーキにはあうかもしれないなと納得して「次からはオレンジで割ってみます」と告げる。
幸か不幸かまだ口を開けたばかりのジンはたっぷり残っているから次の機会に試そう。
「呉、またこっちに来る機会があったら一緒に呑もう」
「……僕で良ければ喜んで」

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呉と広畑

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