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コーギーとお昼寝

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梅雨空にきみは孵る

新しい名前の書かれた企業登記簿に刻まれた新しい名前をもう一度見つめながら、これが今日からの新しい自分の名前なのだと思うとなんだか妙な気分になる。
自分を指す名詞であるはずなのにまるで新しい兄弟の名前みたいにきらめいている。
「ジュビロ……だよな?」
「ヴェルブリッツさんとシャトルズさん」
ドアから距離を取って僕を見てきたのはヴェルブリッツさんとシャトルズさんだった。
「今日からはジュビロじゃなくてブルーレヴズですけどね。静岡ブルーレ・ヴ・ズ、です」
レヴズという難しい発音部分を強調して告げると「きんにょ(昨日)と別人みたいだがや」とシャトルズさんが呟いた。
昨日からわざわざうちに来て事務作業の手伝いを手伝ってくれていたヴェルブリッツさんとシャトルズさんから見ても、この新しい姿は異質なようだった。
「正直僕も起きたらこれでびっくりしたんですけどね」
「急に変わるもんなんだな、昨日までこんなに髪の毛真っ青じゃなかったし肌も浅黒くはなかったろ」
指摘された通り、僕の髪の毛はずいぶん真っ青になった。
海や空のような原色のブルーに根元だけが雪が降ったように白くなった。いわゆるプリンヘアーのような感じだ。
肌だって以前よりも焼けた浅黒い感じになって、目前のふたりと比較して自分のほうが色黒になったのが分かる。
「目の色も青くなっとるに」
「あ、そうですか?鏡見たときは気づかなかったです」
「……いち企業になるって言うとずいぶん変わるもんだな。ワイルドナイツやシーウェイブスの時とは段違いの変わり方でびっくりした」
「僕もまさかここまで変わるとは思ってなくてびっくりしましたけどね。でも新しく出来たのもあるんですよ」
右側の半袖のシャツを肩までめくりあげると脇から肘までタトゥーが刻まれている。
直線で構成されたトライバルタトゥーと自社の音叉マークを組み合わせた独特のデザインの大きなタトゥーには正直まだ困惑しているところだ。
「このパターンは初めて見たな、サモアンタトゥーに自社のマークを組み合わせてるのか」
「たぶん、そうですね。詳しくないので何とも言えないですけど」
こうしたタトゥーの入るパターンは見たことが無いのでいちおう親にも相談したが『自然に出たのなら仕方ないんじゃないのか?』という反応だった。
「これだけはちょっと扱いかねるとこなんですよねえ」
「……別に気にすることじゃないだら」
シャトルズさんは僕のタトゥーに手を伸ばして告げる。
「どこん国でもタトゥーは成人した男の象徴だに、それにおまんのことはみんな知っとるで、おうじょうこく奴はおっても離れる奴はおらんに」
濃厚な三河弁ではあるけれど気にするなという意志だけは伝わってきた。
「これも大人になった証拠なんですかね」
「だな。でもたぶん変わりすぎてビビる奴続出すると思うから写真だけ関係者LINEにあげとけよ」




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ジュビロ改めブルーレヴズさんとヴェルブリッツとシャトルズ。

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